Sixth Formers

イギリス

  

--Sixth Formers--

   さて、GESEも無事に終わると次にA-Levelの試験が待っています。私の印象としては、英国における教育制度は、生徒が広く浅い知識を身につけるより、狭くより深く、専門的な知識を身につけることができるようにできています。特に顕著なのがこのA-Levelです。日本では同世代の高校生が 10以上の科目数を勉強している時期に、英国では標準3科目(多い人で4科目、少し変わった人(?)でも6科目程・・・)のみ勉強します。ちなみに、私は日本の短い高校生活の中で、必修科目数の多さに辟易していましたので、この制度がすばらしく気に入りました。

このA-Levelは、通常2年間かけて勉強する訳ですが、一般的に日本の大学の一般教養レベルまでの内容が含まれる、と言われています。これが日本の高校生が現地の大学に簡単に留学することができない一番の理由となります。また、A-Levelは、世間一般に通用する「資格」であり、どの学校に通ってA-Levelを取得したかは問題とならず、純粋に科目とグレードのみで評価が行われます。

♦A-Levelの科目

A-Levelの科目には、様々なものがあり、正確に何科目あるかはよく知りませんがかなり沢山あるはずです。私が思い出せるメジャーなもので数学、上級数学、化学、生物、物理(理系のメイン)、政治、英語文学、経済、哲学、歴史、語学類(文系のメイン)、音楽、技術、美術、スポーツ科学などがあります。ちなみに語学類は、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語などのヨーロッパ言語に加えて中国語、日本語まで様々な言語があります。私がとっていたのは、数学、化学、音楽の3科目です。なぜに理系と音楽?と思われる人がいるかも知れませんが、私もよく分かりません。深い理由は無く「ただやりたかったから」なんです。将来的に役に立つか立たないかではありませんでした。もっともこのA-Levelの選択は後々大学への進学を考えた時に、かなり重要なファクターになってきますので、これを読んだ人は私のまねをしないで、よく考えて選択をして下さいね。

一般的には、理系であれば、必ず数学、それから化学、生物、物理の中から2科目または全部 (出来る人なら-日本人にとっては、やはり英語力がネックになります)。文系はそれこそ色々と組み合わせがあります。英語文学と言語系とその他、数学と経済と英語文学、など。大体英語文学が入ってきます。他の、政治、歴史等についても言えることですが、文系は概してPrepが大変です。そもそもA- Levelを始めると、毎日大量のPrepがだされ、それをこなすのが大変なのですが、文系だと、大量に参考文献を読む必要性がでてきますので、通常の日本人には中々厳しいと思います。

このPrepには私自身もとても苦しみました。特に音楽の科目では、音楽史についての作文問題や、音楽理論の問題がでた時はとても時間がかかり、担当の先生には随分お世話になった記憶があります。字が小さな本を何十ページも読んでそれをまとめたり、そこから答えを探し出さなければいけなかったのですから。ちなみに1ページを読むのに10分から15分かかっていましたから、もちろん普通にやっていては間に合いませんので、先生からもう少ししぼった範囲を教えてもらい、そこだけを読むことでどうにかPrepをこなしていきました。ちなみに私の場合、授業中にリアルタイムでノートがとれませんでしたので、友だちからノートを借りてそれを写したりもしていましたので、毎日時間が全然足りませんでした。

数学なら英語がないから簡単か?と問われれば、やはり答えは"YES"になります。しかし、現実にはそう一筋縄にはいかず、結構苦労しました。最近、日本でも計算機を導入する動きがでてきましたが、英国ではすでにこれが実施されています。ですから、計算力はそれほどいらないのですが、逆に問題についての読解力が必要となる訳です。→これがまるで分からないんです。答えを聞くととても易しい問題。計算機など使わずとも簡単に出来ます。(英国人の生徒は一生懸命計算機使ってましたけど・・・)これは悔しかったですね。でも、ある程度慣れてくれば、やはりいつのまにか数学は一番成績がいい科目になりました。蛇足ですが、このように、日本では数学大嫌いな私のような人でも日本の数学教育のおかげで計算力がかなりついていました。

♦日本語の試験

私のとったA-Levelで、変わり種は日本語です。これは、現地にいる日本人の殆どが受験していたみたいですが、実は結構難しいんです。(結局ラクなものはない、ということです)。 これにまつわる面白い経験を私はしています。この日本語の試験、内容は長文の和文英訳と英文和訳がメインになります。しかし、同時に日本語の文法まで出てくるんです。これには困りました。翻訳は嫌いながらも、過去問を使いながら勉強はできましたが、文法はチンプンカンプンです。カ変、サ変…ん…聞いたことはあるぞというような具合です。そこで、仕方がないので日本語試験対策としてレッスンを受けたんです。英国人に英語で日本語を習う。この奇妙な感覚はうまく言葉を使っては言い表せません。私にとっても初めての体験でしたが、相手の先生にとっても初めてで、最初はお互いに笑っていました。結局は授業中にもしょっちゅう私が先生の日本語を直したりしながら、どちらが生徒なのかよく分からない授業を続けました・・・。(苦労の甲斐があって、試験では"A"をとることができましたので、ハッピーエンドということになるのでしょうか?)

さて、A-Levelの試験は通常1回3時間ほどです。これがとてつもなく長い!数学の試験なんて途中で頭の回転が止まりなにも考えられなくなりますから、少し寝たりなんかして時間をつぶす訳です・・・。ちなみに、ここで1回の試験では、と書いた理由は、1科目につき試験が1回であるかというと、そういうわけではないからです。もちろん、1回の試験で全てが決まってしまうような科目もありますが、大体の科目がUNIT制になっています。このUNIT制というものは、A-Levelの1科目の試験範囲を何個かのUNITに分け、これを2年間の間に複数回にわけて試験を行うものです。当然1回の試験範囲は狭くなるので楽にはなります。しかし、1回高得点をとっても次のUNITで得点が低ければ、あまり意味がありません。その結果、コンスタントに勉強することが要求されますので、結構大変です。でも、2年分の試験範囲を全部やってしまうのよりはいいですけどね。というわけで、英国の教育システムが好きになってしまった私です。

イギリス留学

表記について

英国は、正式にはグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国といい、英語表記では"United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland"となります。他にもイギリス、イングランド(・スコットランド・ウェールズ・北アイルランド)などの呼称がありますが、便宜上、当ホームページでは、「英国」または「イギリス」を使用しています。

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