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あきあきに捧ぐ

Tomorrow その後

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 バカバカバカバカ。
 何度言っても足りないじゃない。バカ。
  何でそんな事言うのよ、バカ。
「またアシストしちゃったよ。あきに言われてたのにな。アシストばっかしてないで、たまには自分でシュート打てって」
  何で笑顔で言えるのよ、バカ。
「ごめんな」
  何で謝るのよ。意味が分かんないじゃない。
「あいつの事、ずっと好きだったんだろ」
  何勘違いしてるのよ。私がずっと好きだったのは目の前にいるこのバカよ。何で私のこの9年間の想いを否定するような事言うのよ。何で気付いてなかったのよ。バカバカバカ。
「俺があの子とずっと上手く言ってれば、あきにもチャンス巡ってきたかもしれないのにな。ごめん」
  自分が失恋したくせに、本当は落ち込んでるくせに、何でこんな時まで他人の事考えるのよ、バカ。
「俺? いいヤツなんかじゃないよ。知ってたんだ。ずっと。あいつら二人の気持ち。知ってたくせに自分の気持ち優先した。いいヤツなんかじゃないんだ、本当は」
  何で急にそんな悲しげな顔してんのよ。止めてよ。私の気持ちが揺らいじゃうじゃない。ずっとずっと揺らぎっぱなしだったのに、これ以上揺れちゃったら壊れちゃうじゃない。
 ――ホレちゃったもんはしょーがないよ。誰にも止められないよ。隆一がした事は間違ってないよ。だってホレちゃったんだもん――
 何で私が慰めなきゃいけないのよ。何で元気付けてるのよ。誰に言ってるの? 私の気持ちじゃない、これ。止められない想い抱えてんのは私の方じゃない。
 私の気持ち、こじ開けてくれる人だって思ってたの。ぎゅーっと抑えてた私の気持ち、いつかあなたが解き放ってくれると信じてたの。待ってたの、ずっと。あなたの横顔ばかり見てる私に気付いてくれるのを待ってたの、ずっと。本当は友達になって悲しかったの。仲良く話す度に、自分の気持ち抑える度に、あなたがあの子の話する度に、距離がどんどん近付いていく度に、こんなんじゃないって思ってた。こんなんだったら会わない方がマシって思ってた。ずっとずっと思ってた。
 いっその事、嫌いになりたい。
「いっその事、余りモン同士でくっついちゃう?」
  何でそんな事、こんな時に言うのよ。何で冗談っぽく言うのよ。バっカじゃないの。諦められそうだったのに。嫌いになれそうだったのに。バカよ、バカ、バカ、大バカ者よ。
 もぉー、くしゃくしゃにして捨てちゃいたい。目の前にいるこのバカを新聞紙みたいにひんねり潰して、くしゃくしゃに丸めて空に向かってポーンと蹴り上げたい。私の想いも捨てちゃいたい。こんな鈍感バカに3237日も費やしてきたなんて。信じられない。私も天然記念物級バカだ。
 もし……。もし私が今、「うん」って言ったらどうするつもりなの? 笑ってごまかすつもりなの? ちゃんと責任取ってくれるの? あの子より好きになってくれるの? 言っちゃうわよ。うんって言っちゃうわよ。頷いちゃうわよ。覚悟は出来てるんでしょうねぇ。

  彼の顔が一瞬強張ったように見えた。きっと私の顔の方が強張ってる。私の体や気持ちはもっともっとずっとうんと強張ってる。
  彼の時間が強張ってる。ねぇ早く何か言ってよ。
「付き合う前にさ、確認しておきたい事があるんだけど……」
  何よ?
「おっぱい、大きい?」
 ぶゎくゎぁーっっっっ!