V フリマ現象の心理学
 資源問題とフリマ現象

 フリマがオイルショック後に出現したことから、省資源・省エネルギーの思想とフリマ現象を関連させて説明することも可能です。きっかけが資源意識の高まりだったことに私も異論はありません。事実、現在でも「もったいない」という感覚が、フリマ現象を支えているように思います。しかし、これだけでフリマ現象を説明することはできないように思います。フリマは一面「浪費」と表裏一体の関係にあります。よく考えてみるとそれほど必要ないものまで買ってしまう−−これは資源意識とは相反するものですが、実はこのような購買行動がフリマ現象を支えていることも否定できない事実だと思います。

 セーリングの趣味化
 
 作り手・売り手・買い手の分化が進むのは、経済的合理主義の結果であり、当然といえば当然のことです。しかし、人の心はそれほど合理的ににはできていないように思えます。
 人類はその歴史の長い期間、自給自足の生活を送ってきました。自給自足の生活は、人間の遺伝子の中に刻まれているのではないかとさえ思えることがあります。むかし、畑を耕し、魚を獲りに出かけ、器を作り、衣服を織って生活していました。いま、これらの仕事はみな分業化され、多くの人はその生産に関わっていません。菜園作り・魚釣り・陶芸や染めなどの趣味は、原始の血が騒ぐからなのではないかと思えます。
 買い物ももともとは、仕事の一つでした。ところが、ショッピングは趣味に近いものになっています。
 フリマでものを売るということも、もともとの仕事が趣味化したものと考えることはできないでしょうか。

 コミュニケーション手段としてのフリマ

 「〜してほしい」(相手に対する要求)と「〜だと思う」(意見の表明)は、会話の2大要素です。「お腹が空いた」「おっぱい頂戴」は、2大要素そのものです。「夕ご飯は何」は、「おいしいものが食べたいゾ」という要求の変形です。疑問文で婉曲に要求したり意見表明することもあります。会話の相当部分はこの2大要素からなっています。
 ところが、知らない相手に要求や意見表明はなかなかしにくいものです。そこで、半ば、ものに対して意見表明します。「その花きれい」と。ものを介在させるとコミュニケーションのきっかけが作りやすいものです。
 フリマの背景には、人間関係の希薄化とコミュニケーション欲求があるように思えます。
 


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