TOPです
 BBS  アンケート
 メール リンク

さくちゃんに捧ぐ

猫にゃ
 朝、目が覚めると猫が隣で寝ていた。俺のベッドの上で気持ちよさそうにスヤスヤ眠っている。
 俺は不思議に思いながらも白い毛並みを撫でた。猫は気持ちよさそうに伸びをする。寝てるくせに。
 お。肉球。触ってやろ。
「やん。エッチだにゃ」
 なんだ、この猫。喋るぞ。
「何で肉球触るのがHなんだよ」
 悔しいからもっと触ってやるぅ。
「やーっ。乙女に何するにゃ〜」
 お、乙女?
 俺は猫を抱きかかえた。そして怪しい猫の顔をじっと見る。
 じーっ。
「そんなに見られると照れるにゃ」
 猫は照れて顔を伏せてる。
 変な奴ぅ〜。
「お前、本当に地球上の生物か? なんか宇宙人が化けてるんじゃないか?」
 くんくんくん。
「宇宙人なんて失礼にゃ。に、匂い嗅ぐにゃ〜っ」
 んー、何か良い匂いがする。何の匂いだろう。甘い匂い。花かな?
 俺は猫の首筋に鼻を近付けた。
「タバコ臭いにゃ。無精ひげがチクチクして痛いにゃ」
 猫が顔を背けた。でも何だか嬉しそうだ。何で嬉しいんだ? っんとに変な奴ぅ〜。
「ふわわわわぁ〜っ」
 おっかしーなー。起きたばっかなのにまだ眠ぃーや。
「ふふふ。何故ならば私が催眠術をかけたからにゃ」
 また変な事言ってる。
「ゆっくり眠るにゃ。しんちゃん」
 猫が俺の頭を撫で始めた。ぷにゅぷにゅした肉球がおでこをくすぐる。
 ふはは。くすぐったくて眠れねーっつーの。くすぐ、ったく……て……。

 気付いたら俺はまた寝ていたようだった。今日はよく眠くなる日だ。
 時計を見た。
 ん?
 もう一回見直す。
 最初に寝た時間から少ししか経ってない。
 あれ? あの猫はもしかして……。
 俺は急いで周りを見回した。猫はいなくなっていた。
 俺は探さなかった。
 また逢える気がしたから。
 その時はきっと本当の姿を見せてくれるだろう。そして今度こそ肉球を嫌という程触ってやるんだ。なっ。覚悟しておけよ。