らくらくISO9001講座



QMS省令 改正のポイント

  QMS省令の改正版が制定されました。以下の内容は、この改正版から読み取れる内容です。


1.製造業が守る規定から、製販売業が守る規定に変更された
QMS省令の実施者が製造販売業になったことから、全ての条項の主語が「製造業者等」から
「製造販売業者等」に改められました。

2.ISO13485 2003年版に基づき、2016年版は反映しない
薬事法の改正に伴う変更だけで、ベースとなるISO13485:は変わりません。
ただし、ISO13485の2016年版は、2003年版のほぼすべての要求を含んでいるので、2016年
版に対応しておけば、QMS省令にも適合します。

3.用語や言い回しは、旧省令をほぼ踏襲
品質マネジメントシステム(品質管理監督システム)、管理監督者(経営者)、照査(レビュー)、
工程入力情報(インプット)などの、翻訳用語はそのまま踏襲されました

4.ISO13485に一致する基本的要求事項と、追加分(差分)に分けた
外国の製造業者なども理解しやすいよう、第二章は、ISO13485と一致させ、廃止文書・記録
の保管期間などの上乗せした要求事項(追加的要求事項)は、第三章にまとめられました。

5.責任技術者は、管理責任者になった
今までのQMS省令は、ISO13485の管理責任者を、製造業の責任技術者に言い換えていまし
たが、製造販売業が実施する仕組みになったことから、これはISOと同じ管理責任者に変更され
ました

6.製品受領者=顧客になった
QMS省令は、ISO13485が言う「顧客」を、「製品受領者」と表現します。
今までのQMS省令は製造業が実施したので、「製品受領者 = 主に製造販売業」でした。
しかし、改正後のQMS省令は製造販売業が実施するので、「製品受領者 = 本当の顧客」に
なり、ISO13485と一致しました。

7.「製造業にはできない要求事項」の矛盾が解消された
今までのQMS省令は、製造業に義務づけられていたにもかかわらず、以下のような製造販売
業がすべき仕事(製造業にはできない仕事)が要求事項に入っていました。
  製品受領者意見(フィードバック、市販後安全管理)  ISO13485 8.2.1 
  通知書   ISO13485 8.5.1 
  規制当局への不具合の報告  ISO13485 8.5.1 
今回の改正で、QMS省令は製造販売業が実施することになったので、これらの矛盾は解消
されました。

8.細かい部分がISO13485に合わせて修正された
ISO13485では、「文書化された要求事項を確立する」とあるところが、今までのQMS省令では
「手順書を作成する」とありました。ISOは独立した文書を求めていませんが、QMS省令では、
独立した手順書が必要とも読めました。
改正されたQMS省令では、ISOと同様に「手順を確立し、文書化する」となり、ISO13485 と
の相違がなくなりました。

9.ISO13485との整合性が良くなった
以上4〜8の変更により、ISO13485とQMS省令の相違は(追加的要求事項の分を除いて)
概ねなくなりました。ISO13485とQMS省令の両方を実施する会社にとっては、取り組みやすく
なりました

10.保管等製造業者等(第三章)の項はなくなった
QMS省令の実施主体は製造販売業となり、製造業は製造販売業の管理下で、必要な部分を
実施します。保管・表示のみを切り出して別に管理することがなくなったため、保管等製造業者
の区分自体がなくなりました。

11.体外診断用医薬品(第五章)の項はなくなった
体外診断用医薬品についても、他の医療機器と同じく、第二章、第三章が適用されます。
体外診断用医薬品は、日本の薬事法例では医薬品に分類していますが、国際的な分類では、
医療機器に分類しています。ISO13485も、体外診断薬をその他の医療機器と区別していませ
ん。今回、QMS省令とISO13485の整合性を改善した結果、これを別の章立てにする必要はない
と判断したものと思われます。

12.放射性体外診断用医薬品の項が追加された



⇒ ISO13485の改訂 対応のポイント

⇒ ISO13485 改訂のポイント

⇒ QMS省令の改正 対応のポイント

⇒ <タイプ別> QMS省令改正 対応方法




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