SCUBA DIVING を始めたら…

     ■Divingとの出会い  ■Diving道具<器材>  ■Diving科学<水>  ■Diving科学<空気>  
     ■再圧室見学
       
Blue Water Diving 戻る 2005/11/20up

 Diving 科学<空気> 

       陸上では、大気に包まれて当たり前のように過ごしていますが、
海中では、タンクから送られる「空気」あってこそ過ごせる世界です。

 空気にも『重さ』がある…                         
   私たちは日常の生活で「空気の重さ」を感じることはそうないように思います。
 乾燥空気の密度を計算してみると「1気圧、25℃では、約1.2g/L ほど」しかないので
 すから…。しかしダイビングでは、
「空気満タンのタンクと、空に近くなったタンクの重さの
 違い」
から、空気の重さを実感しています。
   仮に、容積10Lのタンクに初め200気圧で25℃の空気が詰まってたとして、ダイビン
 グ終了時に圧力が30気圧だったとします。つまり、使用した
「25℃、170気圧での10
 Lの空気の質量」
を計算してみると「約2.0kg」になります。
 2kgって、ウエイト(おもり)2個分もありますので、地上では空のタンクはちょっと軽いな〜
 と思いますし、水中では軽くなった分、浮きやすくなりますので実感します。

  
                                                                            05/3Saipan「ウイングビーチ」
  ちなみに、乾燥空気と湿った空気では、乾燥空気の方が重いです。
 

 空気は高圧力、高濃度…                         

 
   地上(海抜0m・水面)では、1気圧の空気を呼吸していますが、水中では、水深に応じた圧
 力の高圧で高濃度の空気を呼吸します。
  
海の中では、その重さから水深が10m増すごとに水圧は1気圧ずつ増えていきます。 
 つまり大気圧の1気圧に加算して、水深10mでは2気圧、水深20mでは3気圧、水深30mで
 は4気圧の圧力を受けています。よって、タンクからレギュレターで調整されて、
水深10mでは
 2気圧、水深20mでは3気圧、水深30mでは4気圧になった空気
を呼吸することになります。
 言い換えると、地上に比べて
水深10mでは2倍、水深20mでは3倍、水深30mでは4倍も濃
 い空気
を吸っていることになります。 (淡水は10.3m毎に1気圧ずつ増えます)

   地上と異なり、高圧で高濃度の空気を呼吸することは、
私たちの身体に異変や危険をもたら
 すことになります。ダイビングを安全に楽しむためには、それらのことをよく理解し、正しい潜水
 行動をとらなければならないのです。

                      
                                              00/3Saipan「マルケサススロープ」
    
                                             


 濃い空気で酔っぱらう?                         


 
『酸素中毒』
     酸素といえば私たちの生命維持に欠かせないものなのですが、しかし高濃度の酸素に
    なると、 生理機能を阻害し、突然の意識消失や痙攣発作が引き起こり、致命的なことに
    なってしまうようです。
     1気圧の空気の酸素分圧は、体積組成が約20%なので、0.2気圧なのですが、
    
酸素分圧が2気圧になると大変危険なのだそうです。ただし、酸素分圧が2気圧に達す
    る
水深は90m(10気圧下)です!! これは、レクリエーションダイビングでは絶対に潜
    ることがない深度
ですから、 まず心配はないようですが…。


 
『窒素酔い』
      窒素は通常の気圧下では不活性な気体なのですが、高濃度になると
「麻酔作用」を及
    ぼします。「ドライマティーニの法則」(笑)とも呼ばれ、
深度が10m増すごとにマティーニ
    1杯
飲んだような酔いになる?とのことです。これで思考判断力・動作が鈍り、レギュレタ
    ーを外してしまったり、意識なく深場にどんどん潜行してしまったり、正常な安全な行動が
    がとれなくなるようで大変危険なのです。                                        00/3Saipan「マルケサススロープ」 
     1気圧の空気の窒素分圧は、体積組成が約80%なので、0.8気圧ですが、
窒素分圧    
    が2.7気圧になる水深24m (3.4気圧下)がマティーニ約2.4杯ということで、酩酊状
    
態突入、危険ラインなようです。対処としては浅いところに戻れば治ま
ます。

    お酒の強さと窒素酔いとの関係?はわかりませんが、お酒に弱〜い私の場合は、28m前後辺りから頭がフラ〜という
 感じになります。私のMAXは52mなのですが、結構フラリフラリ状態でした。ダンナさんは呼吸の重さは感じるようです
 が、フラ〜っていう感じにはならないそうです。(へぇ〜) 身体のことを考えると深場は禁物ですね。

    
                                             


 浮上で空気は膨張…                       

   
 
『エアーエンボリズム』 
     一定温度のもと、気体の体積と圧力は反比例の関係にあります。圧力が1/2、
   1/3、1/4…になると、体積は2倍、3倍、4倍…になります。
     よって、吸った
空気を吐かないまま浮上してしまうと圧力が下がって、空気が膨張
   し肺を破裂さ
せてしまうことになります。しかし肺の破裂よりも、破裂により漏れた空
   気が問題です。
漏れた空気が、心臓を圧迫したり、血液中に入ってその空気が頭部
   に達し、
脳の血液循環を阻害して意識不明や障害をもたらします。これが「エアーエ
   ンボリズム」です。


  
緊張したり、エキジット時水面まであとわずかというときに無意識に息を止めてしまう     00/8西表島「鳩間ロリータポイント」
 ことがありがちですが、
吸った空気は必ず吐く!ことに心がけなければなりません。
 
浅場の方が圧力変化は大きいので、浅いからと言って油断禁物です!
 同じ5mを浮上するにも、水深20mから15mでは、3気圧から2.5気圧の変化で体積は1.2倍の膨張ですが、
 水深5mから水面では、1.5気圧から1気圧の変化で体積は1.5倍もの膨張になります。
                                          


 窒素のアワアワ…                       

   
  スクーバダイビングで
不安恐怖なのは何か?というと、
  何と言っても
一番は水中でエアが無くなること、出てこなくなることですが、
 
そして次には、『減圧症』にはならないだろうか〜ということだと思います。
  
 
『減圧症(ベンズ)』 
     気体が水に溶解する質量と気体の分圧は比例関係にあります。

   高圧(高濃度)の空気の呼吸によって、多量の窒素が、体内組織中に溶けみます。
   普通に呼吸していれば徐々に排出されますが、排出されるペースよりも早く
急浮上
   してしまいますと、逆に
圧力の減少とともに、溶け込んでいた窒素が溶けきれなくな    
   り気泡となり
出てきます。これはサイダー瓶を開栓したとき二酸化炭素の気泡が出    00/1Maui「モロキニ島」  安全停止中
   てくるのと同じ現象です。瓶内は4気圧ほどに加圧され、多量に二酸化炭素を溶け込
   んでいるところ栓を開けると(1気圧に)減圧されるからです。
     また、
気体の体積と圧力は反比例の関係にありましたので、出てきた気泡は浮上
   ・圧力の減少とともに膨張し大きく
なります。この窒素の気泡が血液や筋肉・骨など
   の組織を詰まらせる
ことによって発疹、疲労、関節の痛み、重症になると痙攣麻痺
   や意識不明、死亡
などに至るのが減圧症なのです。
  
  勿論、私たちは減圧症になったことがないので、その詳しい症状はわかりません。治
 療には、チャンバーという再圧室で、再び加圧し窒素の気泡を溶解させ、徐々に排出さ
 せるようです。治癒するには長期間かかるようですが、後遺症が残り悩まされることも多
 いようです。

  そして、減圧症にならないために、
深度に応じた潜滞の限界時間、浮上速度をしっか      00/3Saipan「タナパグビーチ」
 り守ります。「浮上速度は18m/分(30cm/秒)以内、自分が吐いた米粒ほどの泡を
 超えない速さ」と私たちのライセンス取得時には習ったのですが、現在では「
浮上速度は10m/分(17cm/秒)極力
 ゆっくり!」
となっているそうです。また、エキジット前には水深5mで3分間とどまり(安全停止)、体内に溶けている窒
 素を十分に排出させます。ダイビングポイントにもよりますが、ダイビングの後半は水深5m辺りの浅場で楽しみながら
 安全停止を兼ねることも多いです。常に水深5m以内!水深2m位にずっと潜水している場合も少なくないのですが!
 そして、
次のダイビングまでに十分な水面休息時間をとってさらに窒素を排出させます。
                                            


                                                       参考文献 NAUI TEXT BOOK

 ★ 私はダイビングのインストラクターや指導者ではありませんが、
ダイビングに魅了された一ファンダイバーなりに、少しでもダイビングのことを知って頂けたら♪と思って書いてみました。
素人ですので、間違っていること、不十分なことがあることを申し上げておきます。


 
 Blue Water…Diving