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講義録 Q&A 教則本 弦交換ナビ コラム














それはある年の3月。






突然、男3人(僕、Nくん、Sくん)で「たぬき湖」に行こうと思い立ち、

夜7時過ぎに友人Nくんの車に同乗して富士山方向に向かった。




確か3月だったと思うが、寒い日で「雨が降るかも?」という予報だった。





予報どおり、じきに雨が降り出した。





チェーンを積んでなかったので何回かコンビニに立ち寄り、店員さんに天気の見通しなど聞くと・・・









皆一様に「積もりはしないでしょう」と答える。










地元の人が言うんだからって事で、その言葉を信じて先へ進んだ。










--- 山の天気は変わりやすい ---









雨は夜ふけ過ぎに雪へと変わった








最初は小粒だった雪は大粒へと肥大化し、そして降り積もる。








幻想的な美しさは最初だけだ。






やがて“かまいたちの夜”に姿を変えた。









時速30キロ程でソロソロと進んでいるうちに






前方を走っていた BMW(こちらもチェーン不装着)が左右にフラフラし出した







・・・んでもって停止。一車線の国道なので当然こちらも停止。







「とりあえず抜かして行くか」って事で発車








・・・した・・・・しない・・・・発車・・・しない








・・・げっ、動かない







Nくんが「こっちも動かないよ〜」と、か細くうめく。



いい具合にビブラートがかかっている。







助手席に座っていた僕がふと窓の外に目をやると、ある物が目に入った。






僕「Nくん!あそこに謎の小箱がありんす」







Nくん「ほんとだ。なんか書いてあるね」







僕「“困ったとき お使い下さい”だって」





なんて魅惑的な響きだろう。ドラクエの宝箱のような輝きを放っている。




駆け寄る





??? 非常食かな ???




とにかくその観音びらきの扉を開けてみる。




・・・(カチャ)・・・??・・・





---------砂袋だ----------







♪タラララーン♪ 砂袋を3つ手に入れた!!





よく河川などの反乱を食い止める堤防がわりに用いられるヤツだ。



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その時までは知らなかったけど、山道では僕らのように立ち往生する車が多いので、通常20メートルおき

くらいに砂袋が置いてある。その砂をタイヤの下にまくなり、砂袋自体をタイヤにかませるなどして窮地を

脱するわけである。と、いっても道ばたに砂袋を置いておくと雪に埋もれてしまうので、小鳥のエサ箱、

あるいは郵便ポストのような小箱の中に砂袋が入れてあるのだ。
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砂袋×3を罰ゲームのようにぶら下げて車に戻りタイヤにかませてみる








・・・ブロロー・・・ズルッ・・・ブロロー・・・ズズズッ・・・






・・・動かない








cg1.jpg

[ 赤い点が僕らの車、黒い点がBMW、両側は青木ヶ原樹海 ]










どうしたものかと車内で話していると、僕らの後方にダンプ が停車して、運ちゃんが降りて来た。








林家こぶ平にちょっと似ている








こぶ平「どーしたのっ?!








かくかくしかじか・・・







--------タッタッタッタッタ---------








こぶ平は足早にダンプに戻っていった。

 (♪すいんぐ すいんぐ すいんぐ♪)







???けん引でもしてくれるのかな???







と・・・ダンプは僕らの車を追いこそうと右車線に出た







進行方向は見通しの悪い左カーブだ。






ダンプが僕らの車と横並びになった瞬間








前方に四駆のライトが・・・









対向車だっっっ!!







どう考えても衝突は避けられないぞっ!







僕は祈った







(せめてダンプに真直ぐいってくれっ!!)











ブッブー!!-----ズズズズ-----
---ジャーっっっ---------ドカン
(パリンッ)ッッッッ--!!


















四駆はダンプと僕らの車の間。ど真ん中に突っ込んだ












・・・なんてご丁寧な・・・。









僕らの車(セダン)は右ウィンカーが割れ、バンパーもへこんでいる。四駆とダンプはほとんど無傷。












なんじゃこりゃ。









ダンプは再び僕らの車の後ろに戻る。










降りてきたこぶ平はちょっとキレ気味だ。











かーっ!なんだよまったくーっ!!










(なに言ってんだか・・・アンタが考えもせずに出るから・・・

一番かわいそうなのは四駆じゃないか)






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ここで豆知識。今回のケースの場合、ただ普通に走ってきた四駆にとってはとても不運な事故です。
しかし、停車している僕らの車は“道路上の落下物”と同等とみなされ、衝突した四駆に100%の過失責任が
生じます。ただ、追いこしをしようとして対向車線にはみ出したダンプは事故を誘発した過失が高く見なされ
るので、四駆に対する賠償責任が生じると思われます。
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Nくん「買ったばかりなのになんだよ〜






(この「なんだよ」は説得力がある)









車外に出て車の破損状況などを確認していた。









ふとBMWの方に目をやると、チェーンをつけようとしている。








20mほど前方だったが、60代くらいの夫妻だというのはわかった。男の人はさながら大学教授風。








さて、周りを見渡すと・・・両サイドは青木ヶ原樹海。前方は右が断崖、左は岩壁











----ブ・キ・ミ----











美しい森であると同時に自殺の名所としても名高い。










事故に遭遇した不運をなげくよりもむしろ、自分の霊感のなさに感謝した。







しかし、この先どーなるんだ?という不安がもたげている。






さながら子供が迷子になったような心境だ。








ウォォォオーンッ!!ブロローッ!!ズズズッ!!

ウォォォオーンッ!!









(なんだっ??)







振り向くとあのBMWだ。





見るとチェーンがちゃんと装着出来ていないのに無理矢理走ろうとしている。




後輪が横滑り状態だ。








車外にいた吉行和子似の奥さんが必死に叫んでいる。






お父さん!!危ないからヤメテー!!









(なんか家庭の縮図が垣間見えるな〜)









ほっとくわけにもいかないので様子を見にいった。








吉行和子は僕にすがりつく







「止めてください!!」






(なんか世話やけるな)




と、思ったのもつかの間






BMWはズルズルと横滑りしながらどんどん断崖に向かって進んで行く。







これはヤバイ!!








急いで運転席へ駆け寄った







危ないですよっ!!落ちるってー!!








車は岩山と断崖の間をいったりきたりしている。







運転している初老のおじさんは答えた







知ったことかっ!!俺は帰るんだ!!








完全に目がイッてしまっている。








コ・ワ・イ








まるでフランケンシュタイン









こめかみにはボルトが刺さっている。








落ちたら帰れないでしょーがっっ!!









こんなやりとりが5〜6分つづいて、フランケン教授はようやく落ち着いて、BMWを元の位置に戻した。







やれやれ・・・






しばらくして、こぶ平たちと「とにかく警察を呼ばなくては」という話になった。






-------ちなみに当時は今と違って携帯電話はほとんど普及していなかった。--------









町の方まで歩いて引き返すか?などと話し合っていると・・・









一台の車がやってきた。








レッカー車だ








こっちこっち!!」と叫ぶ声









声の主は・・・












フランケン教授だ・・・。














いつの間に呼んだんだ・・・?









・・・しかも自分だけ・・・さっき止めてあげた恩も忘れて・・・








極限状況に置かれると本性があらわれるというけれど













・・・なんて教授だ・・・。












レッカー車はフランケン教授のBMWのそばに停車












運転手が降りてきてフランケン教授と料金の件など話している。




吉行和子はレッカー業者の勧めでレッカー車の中で休んでいる。









この間、僕は自分達の車から離れてウロウロしていた。







(だんだん車が増えるな〜)







と、対向車線から一台の車が現れた。










全ての車が邪魔にならない場所に止まっているので今度は安心だ。











ブロロロー・・・・














ガンッッッ!!










げっ!! 事故った! 







勝手に事故った・・・









・・・なんだこの状況は・・・








まるで惑星に吸いよせられるいん石のように事故車が増える









ついさっきまでは停滞感が漂っていた現場が修羅場と化していく














(これはどこに居ても危険だ。とにかく車の中に戻ろう)









と、歩き出した瞬間


















ゴゴオオオオォォォォッッッ!!--------??---%%-------ガガガガァァァッッッ!!--------
---------バリバリバリバリ!!--------&&&&------$$$-----ザザザザザザッッー---------













さっきまでとは段違いにけたたましい音にカーブの方を振り返った。










ダンプだ!!






かなりデカイ!!








ガードレールをこすりながら火花を散らしている!!











ヤバ・・・



ヤバ・・・




ヤバ・・・





ヤバ・・・






ヤバーッッ!!









ググゥゥォォォオオオオ!!----------!!--------ゴゴゴゴゴゴォォォオオオオ-------!!










ダンプが・・・・









横滑り・・・・・







しながら・・・・・・









真直ぐ・・・・・・・



















僕の方へ!!!


















なにコレッッッ!!











シージー??!!








ブルース・ウィリスじゃ
ねーぞー!!!!
























BMWとレッカー車の間に立っていた僕は







どっちにも逃げられない!!








ダンプの後輪がBMWに激突!!









押し出されたBMWは・・・









僕に襲いかかる!!









とっさにBMWのボンネットにかけ登る!!










いや滑って登れない!!










このままだとひき殺される!!









今度は反対側のレッカー車の荷台に登る!!








いや滑った!!




















追い詰められた!!
















レッカー車と岩壁のわずかなすき間に
逃げ込む!!









ダンプの腹がレッカー車に激突!!











レッカー車は岩壁に押し寄せられる!!











うぅ・・・


















・・・・・・・・・・止まった
















レッカー車は僕の身体の厚みの分だけ岩壁とのすき間を残して止まった














僕は・・・“きゅっ”とはさまれた状態でボー然・・・










・・・そして自力で抜けた











ケガなし・・・










はは・・・










これでようやく全ての事故車が出そろい











やがて夜が明けた。












警察の現場検証を終え、帰る











運転は・・・


























(かんべんしてくれー)
























=追伸=






ずっとレッカー車の中にいた













吉行和子は










恐怖のあまり












レッカー車の中で




















もどしていた





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