結局、(仮)は取れました・・・。(笑)



くれっしぇんど 陸奥睦月&Gravity Free 綺阿がリレー小説でお届けするアスキラパラレル学園シリーズ『学園天国 〜Closer to Heaven〜』。
担当は、キラ→陸奥睦月、アスラン→綺阿で、表紙はwind mill+の朝霧紫月さまが素敵イラストを担当!

CEもMSも関係ない、ごく普通の高校生のアスランとキラ(非幼馴染設定)の一年間を歳時記風味にお届けします。
4月からスタートし、春(4〜6月)、夏(7〜9月)、秋(10〜11月)、冬(12〜1月)の4冊を発行。
そして、今回のふたたび春号(2〜3月)でめでたくファイナルとなりました。


キラレボ発行の春号、夏コミ発行の夏号、SPARK発行の秋号、冬コミ発行の冬号に続く最終巻を3/16のHARUコミに発行!

こちらの表紙も朝霧紫月さんが素敵イラストを描きおろししてくださいますv
そして・・・・4巻に続き、最終巻もスペシャルです!
なんと、

フルカラー口絵+表紙裏刷り印刷が入ることになりました〜!
しかも、ALL描き下ろしです!!

紫月さん、お忙しい中、たくさんのイラストをありがとうございました〜!
そして、最後まで振り回してゴメンなさい。(苦笑)




学園5第5巻 〜Final Season〜
 (3/16 HARUコミ新刊)

A5/FC/P136/\1100
※虎の穴さんにも書店委託予定。

2月
今年もやってきたバレンタインデー。しかし、キラの彼氏アスランは、甘いものが大嫌いなのだ。甘いものが嫌いな彼氏に、一体何を贈れば喜んでくれるというのか。
キラは悩む。そんな彼に、助け舟が…?


3月
今度はホワイトデーのお返しを何にするか悩むキラ。(悩みは尽きない)
そんなある日、キラはアスランが四月から居なくなってしまうということを耳にする。
何となくかまをかけてみたところ、アスランは言葉を濁した。
『どうして教えてくれないの?』一体、彼は自分のことをどう思っているのか。キラは思い悩む。

エピローグ
一年後、3月。
卒業式を迎えたキラは、通用門から続く桜並木でアスランを待っていた。
思えば、三年前にこの場所で出逢ったのがはじまりだった。
『…キラ』
甘いテノールに、振り返ればそこに彼が居た―――。


紆余曲折ありますが、最後はHappy Endですv


◇イベント販売は、くれっしぇんど(I-4a)、Gravity Free(I-4b)両方のスペースにて行ないます。
(隣接スペースですが、合同会計ではありません。ごめんなさい!)
虎の穴さまの書店委託&両サイトの自家通販を予定しています。
販売方法によって、若干価格が異なります。ご了承ください。
販売の詳細などについては、両方のサイトにて告知いたしますので、チェックしてくださいね!



 >>陸奥睦月 (くれっしぇんど)
URL http://homepage2.nifty.com/placollo/
Mail placollo★yahoo.co.jp

 >>綺 阿 (Gravity Free)
URL http://www.est.hi-ho.ne.jp/shiny-g/G-S/
Mail shiny-g★est.hi-ho.ne.jp

※メールアドレスは、★を@に変えてください。





一月は行く。二月は逃げる、三月は去るという。
冬休みが明けるとすぐに実力テスト。寒さに震えながら部活に精を出すうちに、気づけば本当に一月が終っていた。
二月になると、なんだかクラスの空気が少しだけ変わったような気がする。
何となく、辺りの様子を伺っているというか。男子生徒と女子生徒の間で、駆け引きが行なわれているような気がするのだ。
「…やっぱ、バレンタインのせい?」
机に頬杖をついて、キラはぼそりと呟いた。
隣では、ラスティが休み時間だというのに珍しく机に向っている。
「そうなんじゃね?学生生活にとって、こういう潤いは重要でしょー」
そういいながらも彼の眼はキラには向いていない。
何のことはない。宿題をやってこなかった彼は、奪ったノートに書いてある解答をせっせと写している最中だったのだ。
「そうだよね。楽しみだな〜」
中学の時は、母親や従姉妹のカガリ、クラスメイトの女子くらいからしか貰うことのなかったバレンタイン・チョコ。
しかし、高校生になった去年は何故だかとてもたくさんの人からチョコをもらったような気がする。(それがもちろん、ミスコンで一位になったからだということに気づいていないキラだった)
「そういえば、キラのチョコ、凄かったよな〜。3年生のおねぇさま方からも届けられてさー」
ふたりの会話が聞こえたのか、去年からキラと同じクラスだったトールも話題に入ってくる。
「うん。二月いっぱいはおやつにはこまらなかったような気がする」
そういえば、とキラも約一年前の記憶を発掘する。
元々、キラは甘いものが大好きだ。中でもチョコレートには目がない。トリュフ、生チョコ、クッキー、ガトー・ショコラ…。
紙袋いっぱいになった女子からのプレゼントを、キラは一ヶ月ほどかかってたいらげたのだった。
「今年はもっと増えるんじゃないの?」
トールがにやりと笑う。
学園祭で二年連続(男子でありながら)ミスコンを取ってしまったキラ・ヤマトくんは、(一部の男子からも)絶大な人気を誇っているらしい。
「…それ、どういう意味?トール」
元はといえば、ラスティの姦計にハマって学園祭のクラスの出し物である喫茶店にメイドコスをしたのが間違いだった。
元々、キラは、やわらかな雰囲気と明るく素直な性格から、男子、女子を問わず人気がある。しかし、メイドコスをしたおかげで、(一部の)男子生徒からも絶大な人気を集めてしまったのだ。
(…世の中、何かが間違ってる)
キラは机の影で握りこぶしをつくる。
「まー、でもアレだな。やっぱ一位は今年もあいつなんだろーな」
でーきた!と言う声と共に、ラスティはぱたんとノートを閉じる。どうやら、ノート写しは終了らしい。
「…え?」
飛躍する会話にかわいらしく小首をかしげたキラにラスティは言った。
「おまえのダンナだよ。生徒会長にして弓道部部長、アスラン・ザラ!」
その言葉に、キラの笑顔は固まった。
(…そうだ。忘れていた)
キラの彼氏、アスラン・ザラは、女子生徒に超絶大な人気を誇っているのだ。それはキラの比ではない。
生徒会長として何かの行事でスピーチをしているときには必ず誰かが携帯で写真を撮っているシャッター音が聞こえるし、弓道部の練習場にはいつもフェンス越しにアスランを見ている女の子の姿がある。
部室の前で出待ち、入り待ちは普通のこと。下駄箱からラブレターやプレゼントが転げ落ちるのも見慣れた光景だ。
その彼をめがけて、バレンタインの日には女子生徒たちが一斉にチョコレート攻撃を行うのだろう。
おそらく、ほとんど行動を共にしている自分は巻き込まれざるを得ないに違いない。一体どうなってしまうのか。
キラは軽い眩暈を覚えた。
「去年は、こーんなでっかい紙袋二つ分、お持ち帰りしてたぜ」
ラスティはそう言って、両手をつかって、コートが入りそうなくらいに大きな四角を宙に描く。そのくらいのサイズの紙袋、と言いたいのだろう。
「…へぇ!すごいなぁ〜」
さっすが、アスラン、と言ったキラの頭を、ラスティはぺちりと叩く。
「な…何するんだよ!」
思わず振り返ったキラにラスティは半眼で言った。
「…おまえなぁ、リアクションが違うだろ」
「…は?」
再び、飛躍した会話にキラは眉を顰める。
「バレンタインデーなんだぜ?」
「…うん?」
だから、女の子が好きな男の子にチョコを贈る日なんでしょ?と言えば、ラスティは分かってない、と再び溜息をつく。
「好きなヤツにチョコをあげる日なんだろう?」
その言葉と同時に指をさされ…キラは漸く気づいた。
「ぼ…僕!?」
今度は合格だったらしい。今度はラスティもうんうん、と縦に頷く。
「いくら女子が束になったとしたって、甘いものが大嫌いなアスランが喜ぶわけねーだろ。あいつが欲しいチョコはひとつだけ。おまえからのチョコに決まってんだろ」
「えー!?」
思わず、素っ頓狂な声をあげたキラの口を、トールとラスティ、ふたりが慌てて塞ぐ。クラス中の視線がキラへ向けられたが、ふたりは何でもない、と必死にフォローした。
(…嘘…)
ラスティに口を塞がれたまま、キラの頭はぐるぐるしていた。
(僕からのチョコ?アスランが?)
確かに、チョコレートを好きな相手に贈る、というイベントなのだから、キラが男の子というのを差し引いたとしてもそれはアリなのかもしれない。
(でも…アスランはチョコが嫌いなんだってば!)
キラの恋人、アスラン・ザラは甘いものが大の苦手なのだ。
チョコを喜ばない相手に、一体、どんなチョコを贈れば喜ぶというのか。
それは、宿題の方程式より困難で、すぐに解答が出そうになかった。


「去年のバレンタインデー?」
「…うん」
部活が終った後、アスランと並んで帰るのも慣れた日常生活のひとこまだ。
今は、寒いので自転車通学からバス通学にスイッチしているアスランと一緒に、駅までのゆるやかな下り坂を並んで歩く。
「…散々だったな」
その口調は、心底うんざりとしたものだった。
「キラも知っているだろう?俺が甘いものが好きじゃないこと」
「う…ん」
デートの場所として、ケーキ屋が選ばれることが多々あるが、大抵、アスランが頼んだ分のケーキはキラが平らげている。
彼はというと、ブラックを飲んで、嬉しそうにケ−キを頬張るキラを瞳を細めてみているだけなのだ。
(どうやら、自分自身はケーキ好きではないが、ケーキを食べるキラを見るのは楽しいらしい)
「正直、バレンタインデーなんて誰が考えたんだろうと思っているよ」
今年もまたあのチョコレート攻撃にあうのか、と思うと辟易する、とばかりにアスランは盛大に溜息をついた。
(…どうしよう)
予想どおりの反応に、キラは内心焦っていた。やはり、どうやらアスランはどんなチョコをあげたとしても喜んでくれそうにない。
しかし、ラスティの言葉を借りるとすれば、恋人であるキラからのチョコをアスランは期待しているのだろう。
ならば一体、どんなチョコをあげればアスランは喜んでくれるというのか。
誰か教えてくれ…!とキラは心の中で十字を切るのだった。
「…そうだ。今年はもらったチョコレートは全部キラにあげるよ」
おまえ、チョコ好きだろう?と笑った恋人にキラはぶんぶんと頭を横に振る。
「い…いらないよ!だって、それって、女の子たちがアスランに〜って買ってきてくれたものなんでしょ?それを僕が食べるのはおかしいよ!アスランが食べなきゃ、女の子たちだって喜ばないよ!」
「…そうか?」
折角、いいことを思いついたのに、と思っていたのだろう。すぐに却下されたアスランは何だか少し寂しそうだった。
「そうだよ!それはちゃんと責任もってアスランが食べること!いいね!」
「……」
マフラーを巻きなおし、しぶしぶ頷いたアスランだったがやはり嬉しそうには見えない表情だった。



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