

くれっしぇんど 陸奥睦月&Gravity Free 綺阿がリレー小説でお届けするアスキラパラレル学園シリーズ『学園天国 〜Closer to
Heaven〜』を、5月27日のキラレボにて発刊することになりました!!
担当は、キラ→陸奥睦月、アスラン→綺阿で、表紙はwind mill+の朝霧紫月さまが素敵イラストを描いてくださる予定です。
CEもMSも関係ない、ごく普通の高校生のアスランとキラ(非幼馴染設定)の一年間を歳時記風味にお届けします。
4月からスタートし、春(4〜6月)、夏(7〜9月)、秋(10〜12月)、冬(1〜3月)の4冊発行予定。ちなみに、2巻からはR指定ですので(笑)ご注意くださいね。
第1巻 〜Spring Kiss〜 (5/27 キラレボ発行予定) A5/FC/P120↑↓/価格未定
◆4月
高校2年生進級し、はじめて学園の王子様、アスラン・ザラと同じクラスになったキラ。
初対面のはずの彼に、キラは何故だか親しみを覚える。
それは、彼が入学式の日に出会った人に似ていたからなのだが・・・。
キラはアスランに急速に引かれていく。
◆5月
隣のクラスのカガリと妙に仲のよいキラ。
ふたりがつきあっていると誤解したアスランは小さくショックを受ける。
しばらくしてその誤解が解けたものの、その日がキラの誕生日当日だということを知ったアスランは・・・?
◆6月
キスをしたものの、アスランからはっきり『好きだ』という言葉を聞いたわけでもない。
しとしと降る雨のごとく、キラの心は曇ったままで・・・。
◇夏編は、8月の夏コミ、秋編は、10月のSpark、冬編は冬コミあたりにお届け予定。
イベント販売は、くれっしぇんど、Gravity Free両方のスペースにて行なう予定です。
通販などの詳細は未定です。情報については、両方のサイトにて告知いたしますので、チェックしてくださいね!
いや、毎回原稿がまわってくるたびに、にやにやしながら見ています。(笑)睦月さん、本当にありがとう!!(綺阿)
>>陸奥睦月 (くれっしぇんど)
URL http://homepage2.nifty.com/placollo/
Mail placollo★yahoo.co.jp
>>綺 阿 (Gravity Free)
URL http://www.est.hi-ho.ne.jp/shiny-g/G-S/
Mail shiny-g★est.hi-ho.ne.jp
※メールアドレスは、★を@に変えてください。
〜Prologue〜
その年はいつもよりホンの少し遅い春の訪れで、いつもは入学式には散ってしまう桜の花がまだ残っていた。はらはらと散るもうほとんど終わりかけの桜。すでにところどころには春を感じさせる緑の若芽も出ていて、青い空と緑の葉っぱとピンクの花びらがまるでパッチワークのようだった。
「どうして…キラはスカートじゃないのかしら」
「え…?な、何言ってるの母さん!僕男だし!!」
しみじみと言い始めたカリダにキラは慌てて言い募る。確かに自分は母親に似て女顔で、小さな頃には散々女装とかさせられた。でも今では大分体付きも男らしくなってきたし、とキラは思わず母親を見つめるが、当の母親はキラの言い草など聞いてないらしい。従妹のカガリちゃんといっそのこと逆なら…とか何とか言い始めたカリダに、キラは先ほどのカリダと同じように小さく溜息を付いた。今更性別のことを言われてもどうにもなるわけでもない。
「もう、母さんってば…」
「あら、いいじゃない。キラは可愛いわよ」
もうすぐ十六になる息子を捕まえて可愛いと公言する母親もどうか、とキラはほんの少しだけ眉を顰めた。でもカリダに全く悪気の無いことも分かっているし、自分の中性的な容姿も否定できないから、キラは反論を返せない。にこにこと嬉しそうに笑うカリダに、キラはちょっとだけ曖昧に微笑を返してから行こうよ、と先ほどとは逆にカリダを促して校門をくぐろうと足を踏み出した。
「わっ…!?」
「キラっ…!?」
しかし急ごうとしたのがいけないのか、何もないところでキラの足が引っかかる。そしてこのままだと地面にぶつかるなあ、なんて混乱した頭でもそんなのんきなことを考えていた。ぎゅっと瞑った瞳の先で、キラは痛みが来るのを待つ。ああ、またカリダに笑われるだろうなと思いながら地面にぶつかる痛みを待つが、一向に痛みはこない。その代わり何かにぐいっと腕を痛いほどに掴まれてキラは瞑っていた瞼を押し上げる。
「大丈夫か?」
「へ…?」
ぐいっと腕を持ち上げられる感覚。そして傾いていた体がまっすぐになったと同時に、耳に響いてきたのは自分よりよほど低いテノールの音だった。
「怪我、ないな?気をつけろよ。このあたりは坂になってるから」
聞いていてどこか気持の良い声に、うっかりと聞きほれそうになっていたキラは、キラ!?と叫ぶカリダの声ではっと我に返った。そうだお礼!と慌ててキラは助けてくれた(?)人に対して口を開こうとするが、既にその人はキラの腕を離し、キラに背を向けて歩き始めていた。
「あ、あの!?」
慌てて声をかけるが、キラを助けてくれた彼には聴こえなかったのか、次々と校門をくぐって入ってくる新入生たちにまぎれてその背が消えていく。顔も見られず、キラに残されたのは彼の低くて心地よい声だけだ。
(…どうしよう…)
この時間にここに来ているということは、新入生のうちの誰かに違いない。けれど大勢の中から記憶の中の声だけを頼りに、たった一人を捜すなんて不可能だ。
「キラ、ほら貴方がちゃんと前を見ていないからよ」
「…うん」
カリダの声にキラは元気なく肯くことしかできなかった。その後結局キラは助けてもらった彼を見つけられずに一年を過ごし…、そしてあの時と同じ春が巡ってくる。二年生になって、まさかあの彼と同じクラスになるとは露とも知らずに。
続きは本でドウゾ。(^-^)
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