らくらくISO9001講座


  
ISO9001
2015年版
【サービス業編】

灰字は、JISが用いている用語
緑字は、本文にない、この口語訳独自の補足


8章 サービスの実施(1)
(改訂 2020.06.11)

8.1 サービスの計画
8.2 受注・契約
8.3 設計


  
 8.1 サービスの内容を決める

   適切なサービスを提供できるように、サービスの内容やルールを決めて、実施すること。

   ◆ サービスの内容
    a) サービスの具体的な内容を決めること(仕様、メニュー、プランなど)
       必要な場合には、実施のための計画を作ること(計画書、進行表、スケジュールなど)
b) 1) サービスの実施方法を決めること(計画、作業マニュアル、指示書など)
   2) 検査、点検、サービスの結果の確認などの、方法や、判断基準を決めること
c) 使用する設備を決めること
   仕事に必要な資格者を決めること

   ◆サービスの実施
d) 決めた計画やルールにしたがって仕事をすること
e) 必要な書類や記録を決めて、作ること
1) これらの書類によって、仕事を管理する。
2) これらの書類や記録によって、正しく仕事をしたことを証明する。

   ◆ 計画やルールは、どんな形で作成しても良い(作業マニュアル、計画書、図面や絵、など)。
   ◆ 計画やルールを変える時は、問題が起こらないように、注意して行うこと。
   ◆ 外注も、自社の仕事の一部と考えて、責任を持って管理すること。

   【運送業】
配車業務、運送作業、倉庫作業などの、必要な仕事のやり方を決めること(必要に応じて、作業
マニュアル、作業標準などを用意すること)。
大がかりな配送、定常的な配送、危険を伴う輸送などで、必要な場合には配送計画を作ること。

   【清掃業】
案件ごとに、どのように清掃を行うか計画すること(必要に応じて、計画書、スケジュール表、
作業指示書などを用意する)。
施設の管理業務(日常清掃・定期清掃など)を行う場合は、清掃計画書、検査のためのチェック
リストなどを用意すること。
個々の清掃作業のやり方を決めること(必要に応じて、作業マニュアルを用意すること)。

   【介護】
ケアプランに基づいて実施すること。
介護サービスのそれぞれのコースについて、実施する内容を決めること。
介護のメニューのそれぞれ(例えば、入浴介護、食事介助、ホームヘルパーの業務など)につ
いて、基本のやり方を決めること(必要に応じて、作業マニュアルを用意すること)。
その他の、事務処理などについてもやり方を決めること。

   【飲食店】
食事メニューのレシピを決めること。
調理、接客、材料の管理、衛生管理など、必要な仕事のやり方を決めること(必要に応じて、
作業マニュアルを用意すること)。




 8.2 受注・契約


 8.2.1 顧客との連絡

   次の項目について、担当者や、連絡方法を決めること。
a) 自社の仕事の紹介(営業活動)
b) 顧客からの問合せ、引合いへの受け付け。
   顧客との契約や注文への受け付け。
   契約や注文の変更があった 時の受け付け。
c) 苦情や意見の受付け。サービスの実施後の問合せへの対応。
d) 顧客からの預かり物、借り物についての連絡
e) 事故や緊急時の、顧客への連絡の方法
   緊急時の連絡先、連絡ルートや連絡手段を決めておく。
   一般顧客向けに、ホームページやマスコミを通じて広報する。



 8.2.2 顧客に提示する内容の管理

   自社の企画で(顧客が未定で)サービスメニューを作る時は、下記の点に注意すること。
a) 1)  法律違反がないこと
  2) 何が必要か、よく考えて決めること
b) 広告、カタログなどを作る場合は、誇張や虚偽がないようにすること。



 8.2.3 受注・契約の管理

 8.2.3.1 顧客と約束をする前に、その中身を確かめること認

   顧客と約束する時は、返事する前に(書類を提出する前に)中身をチェックすること。
   顧客との約束には、見積り、契約、計画書や企画書の提出、受注などがある。
   サービスの内容・実施時期・納期などについて、実施が不可能な約束はしないこと。

   以下のことをチェックすること。
a) サービスの内容が、ちゃんと決まっている。
   引渡しの手続きや、アフターサービスについても決まっている(該当する場合)。
b) その他の必要なこと(顧客との約束には含まれないが必要なこと)を把握できている。
c) 社内のルールに合っている。
d) 法律に違反しない。
e) 以前の約束(見積り、契約、受注など)と変わった点がある場合に、代わることについて
   話がつている。

口頭での受注についても、(記録に控えて)中身をチェックすること。

  <補足説明>
      インターネットで、自動的に受注する場合には(人が介在せずに、プログラムで受注する
     場合には)、そのサービスの内容をWEBページにアップする前に、中身をたしかめること。


 8.2.3.2 確かめた内容を記録する

   a) 見積書、契約書、受注記録、打合せ記録、計画書、企画書など、顧客と約束した内容を、
      文書や記録で残すこと。
   b) 顧客との約束が追加・変更になった時は、その記録を残すこと。



 8.2.4 受注・契約の変更

    顧客との約束の内容(契約、計画書、注文内容など)が変った時、間違いが起こらないように
   正しく対応をすること。
    もし、関係する社内の文書(計画書、作業マニュアルなど)があるならば、それも正しく変更
   をすること。
    内変わったことを、社内の関係者にちゃんと伝えること。





 8.3 企画


 8.3.1 企画のルールを決める

    間違いのない企画 ができるように、企画の立案業務を管理するためのルールを作ること。

    企画、デザイン、プラン、設計、開発、計画書の作成などと呼ばれるものが、この項に当ては
   まる (この口語訳では、まとめて企画と言う)。
    その企画には、以下のようなものがある

サービスの内容の企画 (旅行プラン、保険のプラン、研修コース、イベントなど)
計画の作成 (配送計画、清掃計画、ケアプラン、治療計画)
提供する品物の開発 (食事メニュー、企画商品、関連グッズ)
サービスの一部となる建物や用具のデザイン (販売店、飲食店、ホテル、娯楽施設、
 介護施設、病院、学校)
   
    ただし、単なるサービスメニューの組み合わせ(ルーティン作業)で対応できるものに、本項を
   当てはめる必要はない。



 8.3.2 企画の作成の予定

   企画の立案を、計画的に行うこと。
   a) 仕事の性格、企画に使える期間、内容の複雑さを考えて、計画すること。
   その計画では、次の内容を決めること。

   ◆スケジュール
   b) 企画の作成のスケジュールを決める
      関係者との打合せ【レビュー】の予定を決める
   c) 企画の最終チェック【検証】の予定を決める
 リハーサル【妥当性確認】として何を行うかを決める。

   ◆実施体制
   d) 企画の責任者・承認者を決める
   e) 企画の立案に参加するメンバー
      企画の立案の際に必要な情報、使用する施設・設備・ソフトウェアなどを決める。
      企画の参加してもらう外部のスタッフや業者、外部から得る情報、その他外部の利用が必要
      なものを決める。
   f) 関係者の間で、情報の交換や情報の共有をする方法を決める
   g) 企画の立案の段階で、顧客に参加してもらう必要があるかを決める
      (作業を分担してもらう、 企画内容のチェック=レビュー、結果の確認=妥当性確認など)

   ◆管理方法
   h) あとで企画を実行する時のために、あらかじめ用意しておくことを決める。
   i) 顧客から求められている、企画の管理手法を使う。
   j) 記録として何を残すかを決める (正しく企画したことを証明する)。
   


 8.3.3 企画に使う情報

   企画が、クリアしなければいけない条件【インプット】を、あらかじめリストアップすること。

   この時、次の内容で、当てはまるものを含めること。
   a) 企画に盛り込むべき内容
    (顧客や依頼者の注文、基本的なコンセプト、守るべきガイドラインなど)
   b) 以前に作成した企画から引き継ぐこと
      (基本的な形、うまく行った事、トラブルの対策 など)
   c) 法律で守らなければならないこと
   d) 会社が自主的に使うことを決めたルールや基準
   e) 企画を実施する際に予想される、不良やトラブルへの対策

   項目が抜け落ちないようにすること。
   曖昧な内容にせず、明確に決めること。
   リストアップした項目同士で、矛盾がないようにすること。
   このリストアップした結果を記録すること。



 8.3.4 企画の管理

   企画の立案が、正しく行われるように管理をすること。
   a) 企画を、どのような形にまとめるかを決めること(仕様、メニュー、計画書、進行表など)
   b) 企画の内容が適切かどうかを確かめること【レビュー】
      (様々な関係者に、適切なタイミングで内容を確かめてもらうこと)
   c) 企画の結果が、8.3.3でリストアップした条件をクリアしていることを確かめること。【検証】
   d) 企画が、実施に適したものであることを、実際に近い条件で確かめること。【妥当性確認】
      (リハーサル、シミュレーション、消費者モニターなど)
   e) レビュー、検証、妥当性確認で分かった問題点について、対策を行うこと
   f)  レビュー、検証、妥当性確認の結果を記録に残すこと

  <補足説明>
   企画の[レビュー/検証/妥当性確認]は、それぞれの役割がある。それぞれの役割が
   果たせるのであれば、いくつかを同時に実施しても良い。



 8.3.5 企画の結果 【アウトプット】

   でき上がった企画(仕様、メニュー、計画書、進行表など)は、次の通りになっていること。
   a) でき上がった企画が、8.3.3でリストアップした項目をクリアしていること。
   b) サービスの具体的な実施方法が決まっていること。
   c) 検査、点検、業務チェックの方法や、判断基準が決まっていること。
   d) 企画したサービスを、正しく、そして安全に行うために必要な内容が添えられていること。
  企画の結果を、記録として残すこと。



 8.3.6 企画の内容を変更する

   企画の実施前にその内容を変更する時、あるいは繰り返し実施しているサービスの内容を変更
   する時は、そのことで問題が発生しないように、管理すること。
   次の内容を記録に残すこと。
   a) 変更の内容
   b) 問題がないことを確認した結果
   c) 変更の承認の記録(責任者、承認内容)
   d) 予想される問題と、それを防止するために行った対策




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