らくらくISO9001講座


口語訳 ISO14001:2004


運用の巻

4.4 実施及び運用
  4.4.1 資源,役割,責任及び権限
  4.4.2 訓練・関係者の認識・作業者の能力
  4.4.3 情報運用の巻交換の仕組み
  4.4.4 環境マニュアル
  4.4.5 文書の管理
  4.4.6 仕事の管理

計画の巻監視の巻

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4.4 実施及び運用

4.4.1 資源,役割,責任及び権限

◆経営資源
 経営陣は、環境を良くする仕組み【環境マネジメントシステム】を運営してゆく
ために、必要な"経営資源"を用意して、使えるようにすること。
ここで言う"経営資源"とは、次のものだ。
 @ 人(専門家、特殊技能者、作業者)
 A 専門的な技能(知識や情報、実施のための設備、専門技能者の確保、養成
   など)
 B 道具、設備、施設
 C 技術(知識や情報、実施のための設備、専門家の確保、指導など)
 D 資金

◆組織
 会社は、環境を良くする仕組み【環境マネジメントシステム】が動くように、
各々の責任者や担当者について
 ◇ 仕事の分担を決めること【役割】
 ◇ 責任の範囲を決めること【責任】
 ◇ 判断を任せる範囲を決めること【権限】
決めた内容を文書にすること【文書化】。それを従業員に伝えること【周知】

◆管理責任者
 経営トップは、管理責任者を決めること(事業所が複数の場合は、複数でも良
い)。管理責任者に以下の仕事を行わせること。そのための責任と、権限を与え
ること。

a) 管理責任者は、会社(組織)全体を指揮して、
   ◇ 環境を良くする仕組み【環境マネジメントシステム】を作ること【確立】
   ◇ 決めたルールを守らせること【実施】
   ◇ 状況の変化に応じて、適切に仕組みを改めて、管理された状態を保た
     せること【維持】

b) 管理責任者は、経営者に対し
   ◇ 環境管理や改善の実績
   ◇ 改善のための提案
  を報告すること。これは、仕組みの見直しや、改善活動を決めるための判断
  材料になる
  管理責任者は他の役職と兼任でも良いが、他の役職上の役割や利害に影
  響されることがないように切り分けて、これらの管理責任者の業務を行うこと。



4.4.2 訓練・関係者の認識・作業者の能力

◆作業者の能力
 4.3.1で選び出した《大きな環境の変化》【著しい環境影響】に結びつく仕事をす
る作業者には、教育訓練や経験によって、正しく仕事を進める能力を持つ人を当
てること(緊急事態に対応できる能力を含む)。

◆訓練
 会社は、環境に関することで、作業者にどのような訓練が必要か、整理して示す
こと。
 会社は、必要と判断した訓練を行うこと。あるいは、配置転換、採用、外注など
を行って、必要な人材を揃えること。訓練や、その他の方法を行ったら、記録を残
すこと。

◆関係者の認識
 会社は、仕事の内容に関わらず、従業員や関係者に、以下のことを認識させる
こと。
a) 環境方針の重要さ。環境に取組むことの重要さ
b) 自分の仕事が、どのように環境と関係しているか
c) 環境に関わる自分の役割や責任(日常業務と緊急事態)
d) ルールを守らなかった時に何が起こるか

 そのためのルールを決めること【手順の確立】。このルールを実行し【実施】、ま
た状況の変化に合わせて適切に改めること【維持】。

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4.4.3 情報交換の仕組み

◆情報交換の仕組み
 会社(組織)は、情報交換についてルールを決めること【手順の確立】。このルー
ルを実行し【実施】、また状況の変化に合わせて適切に改めること【維持】。
 a)会社内での情報交換の仕組み
 会社内で、環境に関わる情報を伝える方法を決めること。
 会社内で、環境に関して協議し決定する方法(会議体)を決めること。その
役割分担や責任者を決めること。
 b)外部との情報交換の仕組み
 外部(行政、住民、株主、顧客)からの連絡(質問、相談、通報、苦情など)
を受付けたり、外部と協議する方法を決めること。
 決めた通りに、外部からの申し入れに対応し、情報交換をすること。
 連絡や協議の内容は、記録すること【文書化】。

◆外部との情報交換の決定
 会社(組織)は、《環境に大きく影響すること》【著しい環境側面】について、外
部との情報交換を行うかどうかを決めること。決めた内容を文書や記録で残す
こと【文書化】。
 外部との情報交換を行う場合には、どのように実施するかを決めて、実行するこ
と。



4.4.4 環境マニュアル

◆環境マニュアル
 次の点について、文書にまとめること(この文書を「環境マニュアル」と呼ぶ
会社が多い)。この文書は、書面でも電子情報でも良い。
a) 《環境方針》
  《環境のために何をどこまで変えるのか(長期計画)》 【環境目的】
  《環境のために何をどう変えるのか(年度計画)》【環境目標】
b) ISO14001に合った仕組み【環境マネジメントシステム】を実施する範囲(組
  織の範囲、場所の範囲)
c) 環境に関する仕組み【環境マネジメントシステム】の中にどのような仕事が
  あるか概要。
  各々の仕事が互いにどのように関係しているか。
  使用する文書がどれか
d) ISO14001が定めている文書や記録はどれか(文書は環境マニュアルの中
  に書き込んでも良い)
e) 会社(組織)が環境に関する仕組み【環境マネジメントシステム】を動か
  すために、必要と判断する文書や記録はどれか(文書は環境マニュアルの
  中に書き込んでも良い)

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4.4.5 文書の管理

◆ 文書の管理方法
会社は、文書(ISO14001で定めているもの)を管理するためのルールを決めるこ
と。ルールで決めた内容を実行し【実施】、また状況の変化に合わせて適切に改
めること【維持】。
ルールの中で、次の点をどのようにするか決めること。

 a) 承認
 文書を作ったら、文書ごとに決めた責任者が、その内容を点検して承認するこ
と。
 b) 文書の点検と変更
 長期に渡って使用する文書は、ルールを決めて時々内容を点検【レビュー】する
こと。
 文書は必要に応じて変更や改訂をすること。文書の変更や、改訂版の発行の際
も、ルールを決めて承認すること。
 c) 変更が分かるようにする
 文書を変更したときは、使う人が、文書のどこが変更されたのかが分かるように
すること。
 改訂番号や改訂日付をつけること。
 d) 適切な文書の使用(最新版管理を含む)
 文書は、使う人が、見たい時に見られるようにすること。適当な場所に配置する
か、コンピューターの端末で見られるようにする。
 文書は、最新版を使うこと(同時に、旧版を誤って使わないようにすること)。そ
のため、文書の置場には、常に最新版を置くこと。ただし、顧客から指定されて旧
版の文書を使うようなケースでは、指定の版が使えるようにすること。
 e) 文書を見やすい常態に保つ
 文書は汚れたり、ボロボロになって読めなくなることがないように取扱うこと。
 (読めなくなりそうになったら、きれいなものに交換する)
 文書にはタイトルをつけて、それを見やすい形で表示すること。
 f) 外部文書
 外部から入手する文書でも、仕事のやり方を指定するものについては、文書とし
て管理すること(関係する法律やJIS規格、顧客から入手した文書など)。どれが
管理する外部文書であるのかを決めること。
 これらを社内に配布する時は、やはり上のd)に記したように、配付の管理をす
ること。
 g) 廃止文書
 廃止した文書(改訂した文書の古い版)は、誤って使用することがないように処
理すること。
 廃止した文書を保管する際は、「旧版」「廃止」「使用禁止」などの表示を行うこ
と。

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4.4.6 仕事の管理

◆仕事の管理
 会社は、4.3.1で選び出した《環境に大きく影響すること》【著しい環境側面】
関係する仕事に、どのようなものがあるのか、整理して示すこと。
 これらの仕事が確実に行われるように、その管理方法【計画】を決めること。
その管理方法の中に、以下のa)c)の内容を含めること。

a) ルールの文書化
 《環境方針》、【環境目的】、【環境目標】で取り上げたことを実行するため
  の、仕事のルールを決めること。
  特に、そのルールを守らなければめざす結果が出せない(かもしれない)
  要なルールは、文書にすること
  文書で決めた内容を実行すること【実施】
  状況の変化に応じて適切に文書を改めること【維持】
b) 基準値の設定
    上のルールには、管理のための基準値を記載すること

c) 購買品と外注に関するルール
  ◆購買品の管理
 仕事で使う物(購入品、資材、商品、消耗品など)【物品】が、4.3.1で選び出した
《環境に大きく影響すること》【著しい環境側面】に関係するのならば、それを管
理するためのルールを決めること(管理の中には、購入先に対する働きかけも含
まれる)。
 このルールを実行すること【実施】
 状況の変化に合わせて適切にルールを改めること【維持】
  ◆委託業務の管理
 会社が外部に委託する作業【サービス】が4.3.1で選び出した《環境に大きく影響
すること》【著しい環境側面】に関係するのならば、それを管理するためのルー
ルを決めること(管理の中には、外注先に対する働きかけも含まれる)。
 このルールを実行すること【実施】
 状況の変化に合わせて適切にルールを改めること【維持】
  ◆購買先・外注先への情報の伝達
 会社の区域内で働く請負業者、区域内に入る納入業者や外注業者にも、必要
なルールや遵守事項を教えること。



4.4.7 緊急事態の準備と、発生時の対応

◆緊急事態の対応のルール
 会社は、事故や緊急事態の際に、どのような環境汚染を起こす可能性があるか
を、調査して、整理しておくこと。
 調査や整理の方法を、ルールとして決めること。
 これらの事故や緊急事態で環境汚染に対して、どのように行動するか(予防とし
て。発生時の対応)をルールとして決めること。
 以上のルールを実行すること【実施】
 状況の変化に合わせて適切に改めること【維持】。

◆緊急時の対策
 事故や緊急事態の際に起こる環境汚染を予防するために、日頃から対策を行う
こと【予防】。
 また、事故や緊急事態で環境汚染が発生した時には、被害を最小限で押さえる
こと【緩和】。
 事故や緊急事態があった場合には、予防対策や被害を小さくするためのルール
が適切だったかを点検すること。必要ならば、ルールを改めること。

◆緊急時訓練
 会社は、可能な場合には、予防対策や被害を小さくするための行動を、定期的
に試してみること(緊急時訓練を行うこと)。


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