らくらくISO9001講座


  
ISO14001
2015年版

灰字は、JISが用いている用語
青字は、本文にない、この口語訳独自の補足

実行
(改訂 2017.08.08)



7章 サポート業務
 7.1 施設・設備・スタッフ・資金(ひと・もの・かね)
 7.2 スタッフの力量
 7.3 スタッフの認識
 7.4 情報のやり取り
 7.5 文書・記録

8章 全体の仕組み
 8.1 計画やルールを実行する
  8.2 緊急事態に備える



  7章 サポート業務


 7.1 施設・設備・スタッフ・資金(ひと・もの・かね)

    環境に関わる仕事を管理し改善するために、必要な建物や設備などを用意し、スタッフ(従業員)
   を確保すること。必要な技術が使えるように、手配すること。必要な資金を用意すること。



 7.2 スタッフの力量

   a) 環境に影響する仕事をするスタッフや、法令順守を管理するスタッフに、どのような力量(知識や
      テクニック)が必要かを把握すること。
   b) 仕事は、十分な力量があるスタッフに実施させること。
     力量の把握のために、スタッフが受けた教育(学歴、専門教育など)、訓練(技能的なもの)、
     経験について管理すること。
   c) 環境の関わる仕事の管理と改善のために、必要な教育・訓練を決めて、実行すること。
   d) スタッフが足らない時は、力量を持つスタッフを新たに確保すること。確保したスタッフの力量を
     確認すること。

   <補足説明>
スタッフを新たに確保する方法には、訓練、熟練者による指導(メンタリング)、配置転換、新規
雇用、アウトソースなどがある。

   ◆力量を証明する記録を保管すること。



 7.3 スタッフの認識

    スタッフに、以下のことを認識させること。ここで言うスタッフには、社員以外の、自社の指揮下に
   ある者を含む。

   a) 環境方針
   b) 自分の仕事が、どのように環境に関わっているか。そして、どのような環境破壊の原因になる
     可能性があるのか。
   c) 環境の改善や、会社の環境目標の実現のために、自分がどのような役割を担っているか。
   d) 自分が、法律や会社のルールを守らないと、どんな問題が起こるか



 7.4 情報のやり取り

 7.4.1 情報のやり取りの原則

    社内で、仕事に必要な情報が正しく伝わるように管理すること。また、社外の関係者との情報の
   やり取りを正しく行うこと。

    それぞれについて、ルールを決めて実施すること。そのルールの中で、次のことを決めること。
   a) やり取りする情報の種類
   b) 情報交換を実施する時期
   c) 情報をやり取りする相手
   d) 情報を伝える/受け取る方法(会議、打合せ、文書のやり取り、文書やネットを使った情報公開、
     情報の共用、データベースの利用)

   ◆法律や外部との約束について、必要な情報のやり取りを行うこと
   ◆外部には、根拠がある正しい情報を伝えること。その内容が、社内の活動で得た結果と矛盾し
    ないこと。

   ◆環境の管理や改善について、対応が必要な情報(通報、苦情、申し入れ、状況の変化など)を
  得た場合は、適切に対処すること。
   ◆環境の管理や改善について、情報のやり取りをした内容(情報の受付け、連絡、打合せ、情報の
  共有など)を、必要に応じて記録に残すこと。

 7.4.2 内部での情報のやり取り

   a) 環境の管理及び改善について、社内の異なる部門や階層の間で、必要な情報の伝達(連絡、
     打合せ、情報の共有など)を行うこと。特に、仕組み(仕事の内容、取扱う物、施設・設備など)
     の変更がある時の伝達を確実に行うこと。
   b) 社員や会社の管理下にある人々が、環境改善のために行動するように、必要な指示や情報の
     提供を行うこと。また、これらの人々からの通報や提案を受付ける仕組みを作ること。

 7.4.3 外部との情報のやり取り

    外部との情報のやり取り(受付け、連絡、打合せ、情報公開など)を、ルールを決めて行うこと。
   環境に関して、法律や外部との約束で決まっている報告、申請などを確実に行うこと。


 
 7.5 文書・記録 【文書化した情報】

 7.5.1 必要な文書・記録を決める

   a)  ISO14001が求めている文書と記録を作ること。
   b) 仕事を管理するために、どのような文書と記録が必要かを決めること。

   <補足説明>
文書や記録の内容の詳しさは、会社の状況に 合わせて決めて良い。次のような事情で、詳しさ
は異なる。
 ・会社の大きさ、業種、製品やサービスの種類
 ・法律や対外的に、証明が必要な項目の有無。
 ・仕事の複雑さ
 ・スタッフの能力や熟練度(社員以外の、自社の指揮下にある者を含む)

 7.5.2 文書・記録の形式

   a) 文書・記録には、タイトル、文書番号、改訂番号、日付、作成者などを表示すること。
   b) 文書・記録の用途や使い方に合わせて、その形(例えば,文章、ソフトウェア、図面など)、文書
     の媒体(紙か、電子ファイルか)を決めること。
   c) 文書を制定または改訂する時には、内容を点検し【審査】、承認すること。記録についても、必要
     に応じて行うこと。

 7.5.3 文書・記録の管理

   a) 文書を使う人が、必要な時に使えるように、文書を配置すること(またはコンピュータで見られる
     ようにする)。記録についても、必要に応じて同じように行うこと。
   b) 文書・記録のセキュリティ対策を行うこと(特に電子情報)。

   必要に応じて、次の点も管理すること。
   @ 文書・記録を使える状態にすること。そのために
     ・適切に配付する  ・アクセスできるようにする  ・検索できるように整理する。
   A 文書・記録を正しく保管すること。
     ・文書は、読める(使える)状態を保つ。
     ・記録が、劣化、破損、紛失しないようにする。
   B 文書・記録の最新版の管理をする。どれが最新版か分かるようにすること。
   C 記録は期限を決めて保管すること。文書の旧版のコピーの保管についても決めること。
     期限を過ぎた後の廃棄のルールを決めること。

   外部で作られた文書や記録も、同じように管理すること。

   <補足説明>
アクセスの管理では、機密性が高い文書や記録の閲覧の許可について決めること。
また、コンピュータ内の文書・記録へのアクセス(閲覧の許可、変更の許可)について決めること。




  8章 実行


 8.1 計画やルールを実行する

   ◆環境の保護と改善の成果を挙げるために、6.1(リスク及び機会)、6.2(環境目標)で計画した
     ことを実行すること。そのための、仕組みを作り、実施し、計画通りに進むように管理すること。
― 個々の仕事(作業)を管理するための基準を決めること
― 決めた基準にしたがって仕事をすること。
    <補足説明> 略

   ◆ルールや計画を変える時は、変えたことで問題が起こっていないかを確かめること。もし問題が
     発生していたら、その影響が小さくなるように対策を行うこと。

   ◆外注した仕事も管理すること。外注した仕事を管理する方法と管理レベルを、仕組みとして決め
     ること。

   ◆製品のライフサイクルの観点から、次のような点にも注意して管理すること。
a) 製品の設計・開発(サービスの企画)を行う際に、環境の課題に取組むこと。
  この際、設計・開発する製品(サービス)が、ライフサイクルを通して環境に与える影響を考え
  て、管理する内容を決めること(ライフサイクルとは、原材料、設計、生産、輸送、使用、廃棄、
  最終処分をいいます)。
b) 購入する物、依頼するサービスに対して求める基準(環境に関わるもの)を決めること。
c) 購入先、外注先、請負先に守ってもらうルール(環境に関わるもの)を決めて、伝えること。
d) 出荷後の製品(提供後のサービス)が、環境に大きな影響を与える(可能性がある)場合には、
  そのことを輸送業者、顧客、最終ユーザーなどに伝えること

   ◆以上のような仕事を、決めた通りに、適切に行ったことを証明する記録を残すこと(どこまでの
     記録が必要かは、自社で判断して決めること)。



 8.2 緊急事態に備える

    想定される緊急事態(6.1.1で、リスク及び機会としてリストアップしたもの)について、発生時の
   対応方法を決めること。

   a) 緊急事態の発生時に、環境汚染を防ぐために、あるいは被害を小さくするために行う対応方法を
     決めること。いつでも実施できるように用意しておくこと(組織、連絡体制、必要な資材など)。
   b) 実際に緊急事態が発生した際は、対応すること。
   c) 環境への被害を防止し、あるいは小さくするための処置は、被害の重大さや環境への影響の
     大きさに応じて決めること。
   d) 可能な場合には,緊急対応の訓練を行うこと。
   e) 緊急事態の対応のルールが適切かどうか、定期的に確認し、必要に応じて改訂すること。また、
     実際に緊急事態が発生した後及び訓練の後にも確認すること。
   f) 緊急事態への対応方法やそのための準備について、関係者に、情報を提供し、あるいは(可能で
     あれば)緊急事態訓練を行うこと。
     ここで対象になる関係者には、従業員、自社の指揮下で仕事をする人々、配送業者、流通業者、
     顧客・ユーザー、行政機関、地域住民などがある【利害関係者】。

    緊急事態の対応が確実に行えるように、必要な文書(緊急時マニュアルなど)を用意すること。
   必要に応じて、改訂すること。

 


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