らくらくISO9001講座


  
ISO14001
2015年版

灰字は、JISが用いている用語
青字は、本文にない、この口語訳独自の補足

計画
(改訂 2016.07.18)



5章 経営者の役割
 5.1 経営者が責任を持つこと 【コミットメント】
 5.2 環境方針
 5.3 社員の責任と権限

6章 計画
 6.1 取組むべき項目を整理する
 6.2 環境目標とその活動の計画



  5章 経営者の役割


 5.1. 経営者が責任を持つこと 【コミットメント】

   経営者は、このISO14001に基づく仕組みを、組織のトップとして推進する責任がある。

   そのために、経営者は次の項目を行うこと。
  a)  このISO14001に基づく仕組みがどのような結果に結びつくかについて、社員や外部に考えを示す。
    【説明責任】
  b) 環境方針を決める。各部門に環境目標を決めさせる。
    環境方針・環境目標に、会社が置かれた状況を反映する。また、経営戦略と一致させる。
  c)  ISO14001に基づく仕組みを、会社の経営の一部として機能させる。
  d) 必要な建物や設備を用意し、必要な人を配置するように管理する。
  e) 社員に、環境に関わるルールを守ることの重要さを理解させる。
  f) この仕組みが、期待した結果を出すように管理する。
  h) 仕事の成果が得られるように、社員に行動させる。
  i) 全社を上げて、仕組みの改善に取り組む。
  j) 管理職が、リーダーシップを発揮し、役割を果たすように指導する。

  <補足説明> 略



 5.2 環境方針

    経営者は、環境方針を決めること。これに従って会社を運営すること。必要な場合には、環境方針
   を変更すること。環境方針は次の内容を含むこと。

  a) 環境方針が、会社の実態に合っているjこと
    ・業種  ・仕事の内容  ・製品・サービスの種類
    ・会社の大きさ  ・会社が環境に与える影響の種類と大きさ
  b) 環境目標を決められるように、具体的なイメージを示すこと。
  c) 環境の保護に取組むことを約束すること。その中には、汚染の予防についての約束が含まれること。
    また、その約束の中で、(一般論ではない)会社の個々の環境問題を取り上げること。

    <補足説明>
       環境の保護に含まれる環境問題には、汚染の予防の他に、資源の枯渇への対応(省エネ、
      省資源、自然エネルギーの利用など)、気候変動の緩和(温暖ガスへの対策)、気候が変動
      した時の対応策の実施、生物多様性(種の絶滅の防止)、生態系の保護(動植物や自然環境
      の保護)などがある。

  d)法律や外部との約束を守ることを、宣言するること
  e) 環境改善の成果を挙げるために、仕組みの改善に努めることを約束すること。

   環境方針を文書で定めること。
   社員に環境方針を理解させること。
   希望する人には、環境方針を開示すること。



 5.3 社員の責任と権限

   それぞれの仕事について、責任を持つ部門や人を決めること。また、権限をもつ人を決めること
   (決定をする権限、業務を指示する権限など)。

   以下のことを行う責任者を決めること。(これは、2004年版の管理責任者に当たるが、1人に決め
  なくても良い)
  a) ISO14001に合うように、会社の仕組みを管理すること。
  b) 環境保護・環境改善の活動の状況と、その成果を経営者に報告すること。




  6章 計画


  6.1 取組むべき項目を整理する

  6.1.1 リスクや機会を洗いだす

  ◆6.1のまとめ
以下の6.1.1〜6.1.4に、ルールを決めて取組むこと。必要な場合には、ルールの変更すること。
この活動には、次の点を反映させること。
a) 4.1で明らかにした会社を取り巻く状況
b) 4.2で明らかにした、関係する人々の期待
c) ISO14001の活動を行う範囲

  ◆リスクや機会を洗いだす
自社の活動が、どのような環境上のリスク(好ましくないこと)に繋がるかを説明できること。また、
自社にどのような環境改善の機会があるかを説明できること。
リスク及び機会は、次の内容を検討して決めること。
 @ 6.1.2で取上げる物や活動 【環境側面】
 A 6.2.3でまとめる法令や外部との約束 【順守義務】
 B 4.1で整理した会社を取り巻く状況、
 C 4.2でまとめた人々の期待
リスクや機会に取組むことで、
−環境改善の成果を挙げる
−環境問題の発生を防止し、または被害を小さくする。これには、会社が外部から受ける環境上
  の問題も含む。
−環境やその活動ための仕組みを、引続いて改善する。

  ◆ 起こるかもしれない緊急事態をリストアップすること
    (ISO14001で管理している仕事の範囲に関わるもの)

  ◆ リスク及び機会をリストアップした文書を作ること。
    6.1.1〜6.1.4で決めた業務を行うための文書(計画書、作業基準など)を作ること。


 6.1.2 環境に影響する物や活動 【環境側面】

  ◆リストアップ
自社の活動の中から、《環境に影響する物や活動》【環境側面】をリストアップすること。

◆環境に影響する物
  自社が取り扱う製品、商品、使用する原料、資材、道具など
◆環境に影響する活動
  仕事として行うこと、仕事に付随して行うこと、利害関係者に向けて行うこと

このリストアップでは、次の両方が対象となる。
 @ 自社が管理できるもの
 A 直接は管理できないけど、働きかければ変えられるもの

◆自社が管理できるもの
  ・使用するもの  ・排出するもの  ・製品の機能 など
◆直接は管理できないけど、働きかければ変えられるもの
  ・購入先・外注先の仕事が環境に与える影響
  ・販売後・使用後の製品が環境に与える影響
  ・環境に良い物や活動を世の中に広めること など

また、次のようなケースについても、見逃すことがないように、注意をしてリストを作ること。
a) 新しく開発した製品、新しく始めたサービス、それに伴う仕事。
  また、製品、サービス、仕事の内容を変えた場合。(その時は、リストの見直しを行うこと)
b) イレギュラーな状態や、イレギュラーな仕事。予想される緊急事態。
  (リストの作成時に、十分に想定しておくこと)

  ◆特に影響が大きいもの 【著しい環境側面】
 リストアップした《環境に影響する物や活動》【環境側面】の中から、特に影響が大きいものを
選び出すこと。【著しい環境側面】
そのための(環境への大きさを判断する)基準を作り、それに従って選び出すこと。
選び出した項目を、社内の関係する部門に知らせること。

  ◆文書
次のものを文書で定めること
@ 《環境に影響する物や活動》【環境側面】のリスト。それぞれの環境への影響についても記
  すこと。
A その中から選び出した、特に影響が大きいもの【著しい環境側面】
B これを選び出すための基準。


 6.1.3  法令や約束の順守

  a) 環境に関係する法律や、外部との約束(顧客、役所、住民などと取り交わしたもの)で、会社が
    対応しなければいけないものをリストアップすること。
    その内容を、どこかで見られるようにしておくこと(文書で持つか、ネットなどで見られること)。
  b) これらの法律や約束が、会社のどの仕事に関係しているかをハッキリさせること。そして、正しく
    対応すること。
  c) これらの法律や約束を守るための仕込みルールを、ISO14001基づく仕組みに取り入れること。

  このような法律や外部との約束をまとめた文書(リストなどを)を作ること。

  <補足説明> 法律や約束への対応次第で、会社にとってのリスにも機会にもなる。


 6.1.4 ルールや計画を作る

  a)  次の項目について、ルールや計画を作ること。
1) 6.1.2でリストアップした、《環境に影響する物や活動》(影響が大きいもの)に対応する。
2) 6.1.3でリストアップした、法律や外部との約束で決まっている業務を行う。
3) 6.1.1で決めたリスク及び機会に対応する。
  b) 1) このような活動を、通常の仕事の中に組入れて行うこと。
2) 対策や活動がうまく行ったかを確かめること。

  これらのルールの作成や計画をする時には、以下の点に配慮すること。
@ 技術的に可能か  
A 費用の問題
B 実施可能か
C 会社の本来の仕事との関係



  6.2 環境目標とその活動の計画

 6.2.1 環境目標を決める

  ◆目標を決める
環境目標を決めること。環境目標は、原則として、以下で取上げたものの中から選ぶこと
@《環境に影響する物や活動》で影響が大きいもの【著しい環境側面】(6.1.2)
A 環境に関係する法律、外部との約束(6.1.3)
B 環境に関わるリスクと機会(6.1.4)
環境目標は、会社の中で、活動に適したグループごとに決めること(部門ごと、階層ごと、特定
の仕事に関わる人、プロジェクトに関わる人、など)

  ◆環境目標の内容
a) 環境目標は、環境方針の実現の手段になっていること
b) 環境目標は、その進み具合や結果が、数値やその他の方法で判かること

  ◆環境目標の実施
c) 環境目標の進み具合をチェックすること。
d) 環境目標を関係者に伝えること。
e) 状況が変わった時には、環境目標の内容を変えること。
環境目標を文書で決めること。


 6.2.2 環境目標を達成するための計画

   環境目標を達成するための、活動の計画を作ること。計画として、次の内容を決めること。
   a) 実施する内容
   b) 必要なスタッフ、使用する設備、ソフトウェア、サポート体制など
   c) 責任者
   d) 完了予定時期
   e) 実施した結果を評価する方法。

   活動の途中で、その進み具合を判断する方法【指標】も決めること。
   環境目標の取組みを、会社の本来の仕事に組み込んで行うこと。


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