らくらくISO9001講座



口語訳 ISO9001:2008
サービス業用

8章 仕事の評価と改善(1)
 8.1 8章のまとめ
 8.2 仕事の評価

青字 は2000年版から変更された部分です    
緑字 はこの口語訳で独自に追加した補足説明です
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改訂 2009.04.27

8章 仕事の評価と改善


8.1 8章のまとめ

会社は、ルールを決めて、仕事がうまく行っているかどうかを確かめてください
【監視】。必要な場合には、検査や測定【測定】を行い、また得られたデータを分
析してください。
会社は、改善の仕組みを決めて実行してください。

仕事の確認、検査、測定、分析、改善を行う目的は、以下の通りです。
a)仕事(サービス)の品質を証明する。
 (この項には2008年版で用語の変更がありますが、意味は変わりません。
   製品の適合性 → 製品要求事項の適合)
b)会社の仕組みが、決めた通りに動くようにする。
c)仕事がうまく行くように【品質マネジメントシステムの有効性】、常に仕組み
  を見直して改良する。【継続的改善】

仕事を確認し、改善するために使う方法を決めて下さい。また、その方法を使う際
に、どのくらい詳しく確認するかを決めて下さい。
この際、統計的品質管理が使った方が良いかどうかを検討してください。





8.2 仕事の確認

8.2.1 顧客による評価

 顧客の評価の調査
実施した仕事(サービス)が、顧客が考えていた通りのものだったか(内容や品質
に問題がなかったか)について、顧客から情報を集めて下さい。
この調査の結果は、会社の仕組みがうまく行っているかを判断するための情報の1
つです。
調査の方法と、調査の結果の活用方法について決めてください。

 補則説明> 調査方法の例
これには、例えば、次のような調査方法があります
  顧客満足アンケート
  顧客が調べた結果をもらう(末端顧客の評価、不良や苦情の発生数など)
  使用者の意見を分析する
  使用を中止されたケースについて理由を調べる
  顧客から誉められたこと
  サービス提供後に損害の補償を求められたケースの分析
  代理店、仲介業者からの報告
    


8.2.2 内部監査

 内部監査で実施する内容
会社は、定期的に内部監査を行ってください。
内部監査では、以下の点について、確かめてください。
a)個々の仕事(サービス)についてのルール(業務の内容、検査や確認の合否、
  作業方法など)を守っているか。
  ISO9001のルールと合っているか。
  会社が決めた仕事のルールを守っているか。
b)会社の仕組みがうまく機能して、良い結果に結びついているか。その状態が保
  たれているか。

 内部監査の計画
会社は、監査の計画を作ってください。
そのなかで、以下の内容を決めてください。
1)監査の基準ISO9001、品質マニュアルなど)
2)監査の範囲(対象部門、対象現場、対称製品など)
3)監査の頻度(1年間の内部監査の実施回数、部門ごとに変えても良い)
4)監査の方法(部門ごと/製品ごと、事務所監査/現場の監査 など)

監査の頻度や方法は、業務の重要性、部門の重要性、これまでの監査結果を考慮し
て決めてください。
客観的で公平な監査になるように、スケジュールを決め、担当の監査員を決めてく
ださい。この際、監査員が、自分の仕事を監査しないように決めてください。

 内部監査のルールの文書化
内部監査のルールを決めてください。このルールは、文書で定めてください
ルールでは次の項目について、責任者と実施方法を決めてください
1)計画
2)実施
3)記録の作成
4)結果の報告

 内部監査の記録
内部監査の記録を残して下さい(記録を保管する方法については4.2.4に決めます)

 是正処置
監査を受けた部門の責任者は、速やかに、指摘された全ての不適合の修正と是正処
置(再発防止)を行ってください(是正処置のやりかたについては8.5.2に決めま
す)。
処置の確認【フォローアップ】として、修正や是正処置の結果を評価し、評価結果
を報告してください。

 <補足説明>
内部監査の実施方法について。ISO19011(品質マネジメントシステム/環境マネジメ
ントシステムの監査のガイドブック)を参考にしてください。 


8.2.3 仕事の進み具合の確認

会社は、個々の業務【プロセス】が予定通りに進んでいるかを、適切な方法で確か
めてください【監視】。数値で判断することが必要な場合には、そのデータを集計
あるいは測定してください【測定】
その業務が、今の進み方で最終的に予定通りの結果になりそうかを、判定してくだ
さい。

各々の業務について、うまく進んでいない場合には、正しく進むように対策【修
正】をしてください。さらに必要な場合には、今後に同じような問題が発生しない
ように、再発防止の対策【是正処置】をしてください。

 <補足説明>
どのような方法で確認や測定をするか、あるいはどこまで精密に集計や測定をする
かは、その業務の重要さを考えて決めてください。
ここで言う業務の重要さは、それが仕事の品質【製品要求事項の適合】にどの程度
影響するか、あるいは、仕事の結果【品質マネジメントシステムの有効性】にどの
程度影響するかを考えています。   


8.2.4 仕事の結果の評価(いわゆる検査)

 検査・確認
会社は、実施した業務が、決めた基準に合っていることを確かめるために、検査や
確認をして下さい。
最終検査・確認
 1)製品、商品がある場合には、その検査や確認(加工請負、飲食業、商社、
   倉庫業、印刷業、レンタル、修理業など)
 2)報告を行う場合には、その内容の確認(分析、調査、申請、届出など)
 3)その他のサービス業で、仕事が問題なく終了したことの確認
準備段階や中間での検査・確認
 4)材料や資材、中間製品などの検査・確認(購買品は7.4.3にも該当)
 5)仕事の準備ができたことの確認
 6)仕事の途中で行う点検・巡回
その他の監視
 7)連続的に測定・監視している項目(計器による連続測定など)
 8)医療における検査
他の業種でいう“検査”とは異なるため、注意を要する。
医療で言う検査は、患者の状態を把握するためのもの。
一方、他の業種の検査は、仕事がうまく行っているかを確認するためのもの
で、医療でこれに当たるのは、医療内容が適正だったかを評価すること。
検査・確認は、あらかじめ計画書、業務マニュアル、作業指示書、図面などで、決
めていた通りのタイミングと内容【個別製品実現の計画】で行ってください(どの
ような検査・確認をするかは、7.1項で決めています)。

仕事が基準に合っていたか(検査に合格したか)が、分かるようにしてください。
【合否判定基準への適合の証拠を残すこと】
 多くの場合は、記録に残すことになりますが、これに限りません。未検査(未確
認)のまま顧客に引き渡すことがないように、仕事が検査済み(確認済み)である
ことが分かるようになっていれば良いです。

 検査・確認の記録
検査や確認の結果を最終的にチェックして、顧客に引き渡すことを承認した人の名
前を、記録に残してください。(検査・確認をした人ではなく、結果に責任を持っ
ている人です)
(記録を保管する方法については4.2.4に決めます)

 引渡しの許可
(引渡しがある場合は)決めた検査や確認が全て終わり、基準に合っていること
(合格していること)が分かるまで、顧客に引渡さないでください(どのなような
検査や確認をするかは、7.1項で決めています)。

なお、あらかじめ決めておいた責任者が認めた場合には、検査が終わっていなくて
も引き渡すことができます(そのようなルールを認めます)。ただし、製品の仕様
や、検査の実施について、顧客との約束がある場合には、顧客の許可も必要です。
      



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