7.5.1 製造
7.5.1 製造の管理
会社は、製造のためのルールを決めてください。
ルールに従い、管理された状態で、製品を作ってください。
特に、次の項目が当てはまる場合には、ルールを決めて管理をしてください
a)製品の特性について書いた資料を用意する
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製造のメンバーが知っておかなければならない製品の特性について、資料を用意し
てください。
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この資料を、メンバーが見ることができるようにしてください。
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b)作業基準を用意する
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必要な作業基準を作成してください。これを担当の作業者が使えるように配置して
ください。
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c)適切な設備を使用する
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その設備が確実に使えるように、保守点検のルールを決めて管理をしてください。
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d)監視・測定機器の使用
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製造や検査の際に使用する、計測器や試験装置を決めてください。
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これらが利用できるように、校正・調整・保管などのルールを決めて管理してくだ
さい。
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(この項には2008年版原文で用語の変更がありますが、意味は変わりません)
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e)工程検査・工程監視
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必要な検査(受入検査、工程検査、最終検査)や工程監視について、7.1 c)項で決め
ました。決めたとおり検査や工程監視を行なってください。
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f)-1 製造の各段階の承認/出荷許可【りりース】
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製造の各段階で、業務の完了を承認し、製品を次の工程へ送る許可【リリース】を
するためのルールを決めて、実施してください。
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最終の工程を承認し、顧客への出荷の許可【リリース】をするためのルールを決め
て、実施してください。
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(この項には2008年で言葉の追加がありますが、意味は変わりません)
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f)-2 顧客への出荷・輸送【引渡し】
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顧客への出荷・輸送を管理するためのルールを決めて、実施してください。
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f)-3 アフターサービス【引渡し後の活動】
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アフターサービスのルールを決めて、実施してください。
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7.5.2 検査で確認できない工程の管理【プロセスの妥当性確認】
目的の品質の製品ができることの証明
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作った製品の品質が、後の検査で確認できない製造工程は、その製造条件で、間違
いなく目的の品質の製品ができることを、試験やデータに基づいて証明【実
証】してください(この証明を「プロセスの妥当性確認」といいます)。
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1)あらかじめ実機試作を行って、決めた品質の製品ができることを証明してくだ
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さい。公的機関により証明され、規格、仕様書、法令などとして定められた製
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2)製造条件の日常監視により、決めた製造条件が守られていることを証明してく
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3)設備の定期点検や計測機器の校正などを行い、設備が正しく稼動していること
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4)作業者のテクニックによって品質が決まる場合は、作業者の力量の証明も行っ
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証明が必要な工程
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このような証明【プロセスの妥当性確認】が必要な製造工程は、次の1)と2)の両
方に当たる場合です
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1)作った製品の品質が、その後の検査(工程検査・製品検査)で確認できない。
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2)そのため、製品不良があっても、製造時には分からず、製品を使い始めてから
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これに該当する製造工程の例には、次のようなものがあります。
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滅菌、殺菌、溶接、半田付け、接着、メッキ、塗装、焼入れ、樹脂成形、
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ファインセラミックの内部、火薬の製造、コンクリートの打設
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2)直接検査する方法がないもの(費用や時間がかかり過ぎるもの)
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3)機械による全数検査(検査が正しいことを、後で確認する手段がない)
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医薬や食品など、安全について厳しい要求がある製品は、ある程度の検査(抜取検
査など)を行なっていても、十分ではない(確認できていない)と考えます。
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なお、サービス業でも、この項に該当するケースが多くあります
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業務の失敗と同時に顧客に被害が及びます。サービス実施と提供(引渡し)
が同時のため、引渡しの前の検査ができません。
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仕事そのものが検査であるため、その結果の正しさを別の検査で確認すること
は現実的ではありません。
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管理する項目
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各々の工程について、次のルール(該当するもの)を決めてください。
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a)製造条件を決めるためのルール【プロセスのレビュー】
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実機試作を行わない場合は、よりどころになる理論やデータをはっきりさせて
ください。
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b)使用する設備の承認の方法(責任者を決めて承認してください)
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設備が品質の決め手となる工程では、最初に設備の能力や性能に問題がないか
を確かめる必要があります。
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確認の後、その承認した設備で実機試作、実際の製造を行います。
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作業者のテクニックによって品質が決まる場合は、作業者の力量を確かめ、証
明する方法を決めます。
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実機試作などで決めた作業条件が、実際の製造の際に守られるように手順を決
めます。
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d)どの記録を残すか(記録を保管する方法については4.2.4に決めます)
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日々の工程のチェックの記録を残します。また、実機試作や、設備や作業者の
能力確認の記録なども対象です。
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e)証明のやり直しが必要なケース【妥当性の再確認】
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製品の仕様の変更、資材部品の変更、設備の変更があった場合や、定期的な実
施が必要な場合に行います。変更により影響のあった製造条件、設備や要員の
能力などを確認します。
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7.5.3 製品の区別とトレーサビリティ
製品の区別【製品の識別】
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会社は、製品や資材を取り違えないように、現場で、その種類やロット番号の見分
け【製品の識別】がつくようにしてください。これは、資材・部品の入荷から製品
の出荷までの、全ての工程で行ってください。
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方法として、現物、外装、運搬用コンテナへの表示、置き場の表示、コンピュータ
画面上での表示などがあります。
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合格品/不合格品/未検査品の区別【製品の状態の識別】
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会社は、製品や資材について、現場で、合格品/不合格品/未検査品その他の見分
け【製品の状態の識別】がつくようにしてください。これは、資材・部品の入荷か
ら製品の出荷までの、全ての工程で行ってください。
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方法として、現物、外装、運搬用コンテナへの表示、置き場の表示、トラベルシー
トによる管理、コンピュータ画面上での表示などがあります。
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トレーサビリティ(ロットの追跡)
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1)会社は、製品について、どの程度の詳しさで、トレーサビリティ(ロット追
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2)会社は、トレーサビリティを行うために、製品にロット番号、シリアル番号、
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受注番号など(区別が出来れば日付でも良い)【一意の識別】をつけて管理し
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3)その番号を記録に書き込んで、どの番号の製品をいつ、誰が、どのように処理
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したかが、分かるようにしてください(記録を保管する方法については4.2.4に
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(この項には2008年で言葉の変更がありますが、意味は変わりません)
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<補足説明>構成管理
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情報システム開発などの分野では、構成管理(構成部品ごとに、変更やその影響を
管理するシステム)が、製品の種類を見分け、トレーサビリティに必要な情報を記
録する手段となります。
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7.5.4 顧客から預ったもの
管理の方法
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会社は、顧客から預かった品物(製品に使用する資材・部品、製造に使う設備・試
験装置、図面や作業指示文書など)がある場合は、気をつけて管理してください。
特に、次の点は、しっかりと行ってください。
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1)表示や区分(取り違えないように、現場で区別がつくようにしてください)
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顧客への報告
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3)不合格品だった(受入検査や、使用の際に、使えないと分かった場合)
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報告した内容は記録に残して下さい(記録を保管する方法については4.2.4に決めま
す)。
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(この項には2008年版で言葉の追加がありますが、意味は変わりません)
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<補足説明>
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漏らしてはいけない情報(技術情報、販売情報、個人情報など)も、顧客から預っ
た物と考えて下さい。
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7.5.5 製品の保存
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製品、資材や部品は、損傷して使えなくならない用に、ルールを決めて保管してく
ださい。
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(この項には2008年版で用語の変更がありますが、意味は変わりません)
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以下の項目で、必要なものについて、ルールを決めて管理して下さい。
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1)表示【識別】(現場で製品を取り違えないための表示)
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5)保護(保管条件、損傷・紛失・盗難などを防ぐ手段など)
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