らくらくISO9001講座


  
ISO22000
2018年版

茶字は、JISが用いている用語
緑字は、本文にない、この口語訳独自の補足


8章 食品安全を保つ仕組みとその実行(1)
(改訂 2019.07.25)

8.1 仕事のルールを決める
8.2 衛生的な環境づくり 【PRP】
8.3 トレーサビリティの仕組み
8.4 事故やトラブルの対応 【緊急事態】



 8.1 仕事のルールを決める

   食品の安全を確かなものとするために、ルールを決めて、計画的に仕事をして下さい。
   食品安全目標の取組み、リスクへの対策、機会を生かす活動についても、必要な場合には、ルール
   を決めて実施して下さい。
   品番ごとに、あるいはラインごとに、以下の管理をして下さい。

a) それぞれの仕事について、管理の基準を決めて下さい。
b) 決めたルールや基準にしたがって仕事をして下さい。
c) どのような記録を残すかを決めて下さい。                          <記録>

   ルールや計画を変える時は、問題が起こらないように、注意して行って下さい。
   外注も、自社の仕事の一部と考えて、責任を持って管理して下さい。

  



 8.2 衛生的な環境作り 【PRP】


 8.2.1 衛生的な環境作り【PRP】への取組み

   衛生的な環境作り【PRP】に取組んで下さい。これによって、食品が、他の食品や、設備や、
   周辺環境から汚染されることを防いで下さい。
   そのために、ルールを決め【確立】、決めたルールを実行し【実施】、状況が変わったら、ルールを
   変更して下さい【維持及び更新】



 8.2.2 管理の考え方

   衛生的な環境作り【PRP】は、次のように管理して下さい。
   
   a)  会社の状況(会社の規模、施設の状態、顧客の性質、従業員の性質など)に合わせて、
     管理方法や管理レベルを考えて下さい。
   b)  食品の種類(性質、危険度)、取扱量から判断して、適切な管理レベルにして下さい。
   c)  製造に関しては、原料資材の入荷から出荷まで、関係する全ての業務を管理して下さい。
   d)  衛生的な環境作り【PRP】で実施する内容を、食品安全チームが承認して下さい。



 8.2.3 まもらなければいけない基準

   衛生的な環境作り【PRP】では、@法令上の決まりと、A顧客との約束したことは、必ず実行
   して下さい。
   どのような法律や約束があるか、整理して示せるようにして下さい。
   次の規格や指針についても、取り入れると良いでしょう。

   a)  衛生的な環境作り【PRP】について決めたISO規格(lSO/TS 22002シリーズ)
   b)  行政機関や業界団体が作成した指針
      Codex委員会が定めた原則やガイドライン
      公的な規格(ISO規格、JIS・JASなどの各国の規格)
   


 8.2.4 衛生的な環境作り【PRP】で決めること

   衛生的な環境作り【PRP】のために、決めなければいけない項目は次の通りです。

   a)  建物の構造と配置 / 使用する設備の構造と配置 / ユーティリティの供給設備の配置
   b)  作業場所の配置 / 更衣室、休憩室、洗面所、トイレなど【従業員施設】の配置
   c)  ガス、圧縮空気、水、スチーム、氷など【ユーティリティ】の、供給設備の管理方法
   d)  鼠、昆虫などの防除の方法【ペストコントロール】/ 廃棄物、排水の処理の仕方 / これらに
     関する外注業者の使用
   e)  適切な設備 / その清掃、洗浄、修理、整備、点検【保守】の方法
   f)  購買先、外注先を評価し承認するためのルール。購買先、外注先を管理するためのルール。
     (食材の購買先の他、包装材や薬品などの購買も対象になる)
   g)  食品や資材の、受入検査、保管、移動、輸送の方法
   h)  交差汚染(異なる種類の食品、それらを扱った器具、異なる仕事をしている作業者などの
     接触による汚染の広がり)を防止するためのルール
   i)  施設の清掃や、設備や道具の洗浄の方法。施設や設備の消毒、道具や食材の殺菌の方法。
   j)  作業者の衛生管理のルール
   k)  消費者や販売者などに、製品の情報(調理条件、保管条件、消費期限、アレルゲンなど)を
     どのように伝えるか。
   l)  その他
                                                        <文書>
   衛生的な環境作り【PRP】で決めた内容と、そのチェックの方法を文書に定めて下さい。





 8.3 トレーサビリティの仕組み

   ◆トレーサビリティの内容
トレーサビリティ(ロット追跡)の仕組みを作って下さい。特に、次のことは必ず記録で分かるよう
にして下さい。
 1)  どのような食材をいつ仕入れたか
 2)  製品を、いつ、どこに出荷したか
その他、次の記録も残るようにして下さい。
 a)  使った食材や中間製品のロットの記録
 b)  食品や材料を手直し【再加工】した際の記録
 c)  出荷、配送の記録
トレーサビリティについて、法律で決まっている場合、あるいは顧客と約束した場合は、それに
従わなければなりません。
どのような決まりや約束があるのか、整理して示せるようにして下さい。
                              <記録>
   ◆トレーサビリティの記録
トレーサビリティを行うために必要な記録は、保管して下さい。その保管期間を決めて下さい。
保管期間は、製品の賞味期限よりも長くして下さい。

   ◆トレーサビリティの仕組みのテスト
トレーサビリティがうまくできるか、予行演習をして下さい (必要なデータを見つけられるか)。

  <補足説明>
トレーサビリティの予行演習では、使用した材料の量と、できた製品の量との間で、辻褄が
合っていることも確認して下さい。




 8.4 事故やトラブルの対応 【緊急事態】


 8.4.1 ルールを決める

   食品の安全に関係する事故やトラブル【緊急事態】が起こった際に、どのように対応するかを、
   ルールで決めてください
    (食中毒の発生、安全でない製品の出荷、工場のトラブルによる食品の汚染、食品に影響が
     ある事故など)。

   また、異常が発生したが、大ごとにならずに済んだケース【インシデント】についても、どのように
   後始末をするかを、ルールを決めて下さい(報告、後処理、再発防止など)。

   これらのルールを文書で定めて下さい。                             <文書>

   このような対策は、経営者の責任で実施させてください。



 8.4.2 事故やトラブルの処理

   a)  事故やトラブル【緊急事態及びインシデント】に備えて、以下の準備をしておいて下さい。
1) 緊急時に守らなければいけない法律を、把握しておいて下さい。
2) 緊急時の社内の連絡体制を決めて下さい。
3) 緊急時に、外部(顧客、行政機関、マスコミ、購買・外注先など)にどのように連絡するか、
  ルールを決めて下さい。

   b)  食品安全に関わる事故やトラブルが発生した時は、被害を最小限に留めるために、すぐに
      対応して下さい。対応の内容は、起こった事態の重大さに合わせて決めて下さい。

   c)  可能ならば、このような緊急時に備えて、対応の予行演習をして下さい。(ルール通りでき
     るかのテスト)
                                                       <文書>
   d)  事故やトラブル【緊急事態及びインシデント】の後、また予行演習の後には、ルール(文書)
     通りにできたか確かめて下さい。必要ならばルール(文書)を改めて下さい。




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