らくらくISO9001講座


  
ISO22000
2018年版

茶字は、JISが用いている用語
緑字は、本文にない、この口語訳独自の補足


7章 建物・設備・スタッフ・文書
(改訂 2019.08.04)

7.1 仕事に必要な物 【資源】
7.2 スタッフの力量
7.3 スタッフの自覚
7.4 情報交換
7.5 文書・記録



 7.1 仕事に必要な物 【資源】


 7.1.1 現状の把握

   必要な建物や設備などを用意し、スタッフ(従業員、外注のスタッフ)を確保して下さい。
  そのために、次の点を考えて下さい。
a) 現在の建物、設備、スタッフで、できることと、できないこと。
b) 新たに用意しなければならない建物、設備など。外注するサポート業務。



 7.1.2 スタッフ

   どのようなスタッフ(管理者・技術者・作業者など)が必要かを決めて下さい。
   必要なスタッフを確保して下さい。
                                                      <文書>
   また、外部のスタッフ(作業者、専門家など)を利用することもできます。その場合には、依頼
   する仕事の内容を文書にして(契約書、指示書など)、そのスタッフとの間で取決めて下さい。
   その文書には、必要な技術や知識と、責任・権限の分担に関する取決めを含めて下さい。



 7.1.3 建物、設備、サポート業務など 【インフラストラクチャ】

   仕事に必要な、建物、設備を用意して下さい。また、サポートが得られるようにして下さい。
   これらが正しく使えるように、メンテナンスをして下さい。

  <補足説明> 
   インフラストラクチャには次のものがあります。
a)  建物 (工場、タンク、事務所、倉庫、サービス提供施設、その他の作業場所)
   工場等で使う水、電気、ガス、スチーム、窒素などを供給する設備
b)  設備(機械)、道具、ソフトウェア
c)  輸送のサポート (車両やスタッフの用意、運送会社との契約)
d)  IT環境、通信設備



 7.1.4 室内の環境

   室内(まれに屋外)の環境が、食品安全に影響する時は、その環境を適切に保つように管理
   して下さい。(温度、明るさ、衛生状態など)

  <補足説明>
   作業者の心理状態が大きく品質に影響する仕事では、働き甲斐、人間関係、ストレスの軽減
   などの、心理的な環境にも配慮して下さい。



 7.1.5 外部から入手した規定、文書、記録用紙などを流用する場合

   工程の分析【ハザード分析】、CCP/OPRPの計画書、衛生管理の方法、その他の仕組みに
   関して、外部で作られた文書(規定、分析方法、分析結果、記録用紙など)を流用する場合は、
   本当に適切なものかどうか、確かめてから使って下さい。
   (コンサルタント、業界団体、他社などからもらった文書。参考書や指針に載っていた事例など
    を利用する場合)

a) 流用した文書や記録用紙などが、ISO22000に合っていることを確かめて下さい。
b) 自社の実態(現場、仕事、製品)と合っていることを確かめて下さい。
c) 自社に合うようにカスタマイズして下さい。これは、食品安全チームが責任をもって
  行って下さい。
d) このようにして決めたルールを、正しく実行して下さい。必要な場合には、ルールの
  見直しを行って下さい。
e) 何を流用したかが分かる記録を残して下さい。                 <記録>



 7.1.6 購買・外注の管理

  食品、原料、資材などの購買や、仕事の外注がうまく行くように、管理して下さい。

a)  購買先・外注先の、実力を評価して下さい。【評価】
【取引開始時の評価の方法】には、
@調査票による評価  A他社や市場での評判の聞き取り  B製品や試作品の評価
C訪問、立入り監査  D関係者との面談 などがあります。
        評価を元に、どの業者を使用するかを決めて下さい。【選択】
        購買した食品、原料、資材などの品質(受入検査の結果など)や、外注した仕事の結果
        をチェックして下さい。【パフォーマンス】
        定期的にあるいは問題の発生時に、購買先・外注先の再評価をして下さい。【再評価】
【再評価の方法】には、
@定期打合せ  A受入検査結果の分析  B問題発生時の対応の評価、
C定期訪問  D立入り監査 などがあります。
        これらの評価のための、判断方法や判断基準を決めて下さい。

b)  購買・外注の注文内容を購買先・外注先に正しく伝え、約束させて下さい。
   特に仕事を外注するばあいには、その仕事のやり方についても、約束をして下さい。
【購買外注先との間で約束する項目】には、次のような項目があります。
@製品や材料の規格  Aその検査基準  B製造方法  C作業方法  D包装形態
E外注する業務の内容など。
【約束を確実にする方法】として、例えば、次のような文書を用います。
@納入仕様書  A図面  BQC工程表  C作業手順書  D契約書・覚書 など

c)  自社の製品や仕事に、悪い影響がないように、適切な方法で、購買・外注を管理して
   下さい。
購買・外注の管理のために、以下のことを行って下さい。
@ 購買先・外注先を,、適切な方法で評価する。
A 注文内容を正しく伝える。製品や仕事のやり方について、必要な約束を行う。
B 仕事の結果について、適切に報告させる(記録の提出など)。
C 購買先・外注先との、連絡、打合せ、情報交換を適切に行う。
D 製品・原料・作業内容などの受入検査を行う。

d)  このようにして決めたルールを、正しく実行して下さい。必要な場合には、ルールの
   見直しを行って下さい。
                                        <文書><記録>
e)  a) c) で作成した文書や記録を保管して下さい。
  購買先・外注先を評価して、対策を行った場合は、その結果を記録して下さい。





 7.2 スタッフの力量

a) スタッフ(作業者・技術者・管理者など)に、どのような力量(知識やテクニック)が必要かを
   把握して下さい。社員以外で、自社の指揮下にある人も含めて考えて下さい。
b) 仕事は、十分な力量があるスタッフ・作業者に実施させて下さい。
   力量の把握のために、スタッフ・作業者が受けた教育(学歴、専門教育など)、訓練(技能的
   なもの)、経験について管理して下さい。
c) 力量を持つ人が足らない時は、スタッフ・作業者を訓練するか、または新たに確保して下さい。
   訓練・確保したスタッフ・作業者の力量を確認して下さい。
d) 力量を証明する記録を保管して下さい。                       <記録>
   (教育・訓練記録、資格認定記録、経歴の記録など) 

  <補足説明>
スタッフを新たに確保する方法には、訓練、熟練者による指導(メンタリング)、配置転換、新規
雇用、アウトソースなどがあります。




 7.3 スタッフ・作業者の自覚

   スタッフに、以下のことを自覚させて下さい。これには、社員以外の、自社の指揮下にある者を含み
   ます。
a) 食品安全方針
b) 自分の仕事に関わる食品安全目標
c) 安全な食品を提供するために、自分がどのような役割を担っているか。
d) 自分がルールを守らないと、どんな問題が起こるか。




 7.4 情報を伝える/受け取る


 7.4.1 方法を決める

   社内で、仕事に必要な情報が正しく伝わるように管理して下さい。
   (会議、打合せ、ネット、書類、掲示など)。
  また、社外の関係者と情報のやり取りを正しく行って下さい。
   それぞれの情報のやり取りについて、ルールを決めて下さい。

a)  伝える/受け取る情報の種類を決める
b)  実施時期を決める
c)  相手を決める
d)  方法を決める
e)  担当者を決める

   食品安全に関わる全てのスタッフに、情報伝達(報連相)の重要さを、認識させて下さい



 7.4.2 外部に情報を伝える/外部から情報を受け取る
 【外部コミュニケーション】

  ◆やり取りする相手とその内容
食品安全のために必要な情報を、外部の関係者に伝えて下さい。情報が正しく伝わり、
活用されるように、適切な方法で情報を伝えて下さい。
情報を伝える/受け取る、外部の関係者には、次のような人や会社があります。

a)  購買先(原料、包装材料、仕入れ製品、設備、その他)、外注先。
    (やり取りすべき情報には、保管方法や消費期限の情報、検査基準、安全上の基準、
    問題の発生や回収の連絡、改善の指示などがある)

b)  顧客、消費者。情報交換をするべき内容は、次のようなものです
  1)  調理方法、使用方法、保存条件、配送条件、取扱い方法、陳列方法などを伝える
  2)  どのような危険があるかを伝える(微生物の混入や増殖、腐敗の可能性など)
  3)  約束(製品規格、検査基準、取扱い方法、責任権限など)を取り交わす
  4)  顧客・消費者からの苦情や意見を受ける

c)  行政機関
   (法令・通知などを受け取る、申請や届出を行う、問題の発生の連絡など)

d)  その他の食品安全に影響する人・会社・組織

  ◆情報の管理
外部に情報を伝える担当者には、必要な情報が、全て、確実に伝えられるように、責任・
権限を持たせて下さい。
外部から情報を得た場合は、食品安全に関わる社内のルールを変える必要がないかどうか
を判断して下さい。必要な場合には、その情報をマネジメントレビューで報告して下さい。

  ◆記録                                              <記録>
外部に情報を伝えた場合は、そのことが分かる記録を残して下さい。また、外部から得た
情報は、記録に残して下さい。



 7.4.3 社内の情報伝達・業務連絡 【内部コミュニケーション】

  ◆社内で、食品安全に関わる情報、指示、業務連絡が、必要な人に伝わるように、方法を決め、
    実施して下さい。【確立、実施】
 (打合せ、会議、伝票、書類、メール、業務管理システム、共有フォルダ−など)

  ◆以下の情報が、速やかに、そして確実に食品安全チームに伝わるように、報告や連絡のルール
    を決めて下さい。
a) 製品の変更、新製品の生産
b) 原料や材料の変更。外注業者の業務内容の変更。購買先・外注先の変更。
c) 生産方法・設備の変更
d) 施設の変更。機械の配置の変更。作業場の環境条件の変更
e) 清掃・洗浄方法の変更。殺菌・消毒の方法や、そのスケジュールの変更。
f) 包装形態、包装の作業、保管方法、保管条件、配送の仕組み、配送業者などの変更
g) 必要な作業者の資格、責任分担の変更
h) 法令の改正
i) 食品の危険に関する新たな情報、安全の管理方法の変更
j) 守らなければいけない約束(顧客との約束、社内の決まり、その他)
k) 外部からの問合せ
l) 製品(食品)の安全に関わる苦情、外部からの安全に関する注意
m) その他、食品の安全に関わる情報

  ◆このような情報を受けて、必要な場合には、ISO22000に基づく仕組みを変更して下さい【更新】
    (仕組みの変更については4.4項と、10.3項でも述べています)。

  ◆このような情報の中で、重要なものについては、マネジメントレビューの際に経営者に報告して
    下さい。経営者は、正しく報告されるように、管理して下さい。





 7.5 文書・記録 【文書化した情報】


 7.5.1 必要な文書・記録                             <文書> <記録>

a) ISO22000が求めている文書と記録を作って下さい。
b) 仕事を管理するために、どのような文書と記録が必要かを決めて下さい。
c)  法律で決まっている文書や記録、行政機関が求める文書や記録、顧客が求めて下さい
  文書や記録を作って下さい。

  <補足説明>
   文書や記録の内容の詳しさは、会社の状況に 合わせて決めて下さい。
   次のような事情で、詳しさは異なります。
・会社の大きさ、仕事の種類
・仕事の複雑さ
・スタッフの能力や熟練度



 7.5.2 文書・記録の形式                             <文書> <記録>

a) 文書・記録には、タイトル、文書番号、改訂番号、日付、作成者などを表示して下さい。
b) 文書・記録の用途や使い方に合わせて、その形(例えば,文章、ソフトウェア、図面など)、
   文書の媒体(紙か、電子ファイルか)を決めて下さい。
c) 文書を制定または改訂する時には、内容を点検し【審査】、承認すること。記録について
  も、必要に応じて行って下さい。



 7.5.3 文書・記録の管理                             <文書> <記録>

 7.5.3.1 文書・記録を使う
   
a) 文書を使う人が、必要な時に使えるように、文書を配置すること(またはコンピュータで
  見られるようにする)。記録についても、必要に応じて同じように行って下さい。
   (これは、文書の配付の管理や、最新版管理を求めています)
b) 文書・記録のセキュリティ対策を行って下さい(特に電子情報)。


 7.5.3.2 文書・記録を保管する

   a) 文書・記録を使える状態にして下さい。そのために
   ・適切に配付して下さい。
  ・アクセスできるようにして下さい。
  ・検索できるように整理して下さい。
   b) 文書・記録を正しく保管して下さい。
  文書は、読める(使える)状態を保って下さい。
  記録が、劣化、破損、紛失しないようにして下さい。
   c) 文書・記録の最新版の管理をする。どれが最新版か分かるようにして下さい。
   d) 記録は期限を決めて保管すること。文書の旧版のコピーの保管についても決めて下さい。
  期限を過ぎた後の廃棄のルールを決めて下さい。

   外部で作られた文書や記録も、同じように管理して下さい。
   品質の証拠になる記録や文書は、不正な改竄が行われないように管理して下さい。

  <補足説明>
   アクセスの管理では、機密性が高い文書や記録の閲覧の許可について決めて下さい。また、
  コンピュータ内の文書・記録へのアクセス(閲覧の許可、変更の許可)について決めて下さい。




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