らくらくISO9001講座


口語訳 ISO13485:2003

7.製品に関わる業務
 7.3 設計・開発

改訂 2004.10.01

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宇野 通 編  

本記事のタイトルは口語訳ですが、内容は翻訳ではなく解釈の1例です
規格への適合性は原文や対訳版で判断して下さい



7章 製品に関わる業務(前半)



7.1 製品の管理方法

◆会社は、製品の管理方法(仕様、QC工程図、製造基準、検査基準、取扱い方法など)を決めること。
 また、それがどこに決めてあるかを整理して示すこと。
 このような管理方法には、製品やサービスの種類(品番、グレード)ごとに決めるものと、共通するもの
 がある【製品実現の計画】。

◆製品の管理方法は、他の仕事の仕組みと矛盾がないこと(会社全体の仕組みについて、4.1に考え方
 をまとめてある)。

◆会社は、製品の管理方法に、以下の項目で当てはまるものを含めること。

 a)製品について求められていること
   ・製品(品番、グレード)の仕様、あるいは関連する約束事【要求事項】
   ・製品品質に関する目標値【製品の品質目標】

 b)個々の製品について必要な条件
   ・製造工程(サービスを実施するために必要な手順)【プロセス】 
   ・使う文書、あるいは予め作成しなければならない文書【文書】
   ・必要な人員(人数、技術、技能、資格など)【資源】
   ・必要な施設、設備など【資源】

 c)必要な検査・評価
   ・個々の製品の製造(サービスの実施)または設計・開発のために実施しなければならない、監
    視、検査、妥当性確認などの評価活動
   ・その実施のタイミング、実施方法及び判断の基準
   ・製品の合否の判定基準

 d)必要な記録                                              <記録>
   ・製品について、どのような記録を作成するかを決めること。この記録は、製品(またはサービス)
    が決めた通りに作られ、決めた品質あるいは約束事を守っていることを示す証拠となる(記録の
    管理方法については、4.2.4に書かれている)。

◆製品の管理方法をどのような形で表すかは、自社(組織)で決めること(書面、図面、電子ファイルな
 ど)

◆リスクマネジメント                           <文書化された要求事項><記録>
 会社は、リスクマネジメントとして行う管理の方法や基準を決め、文書で定めること【文書化された要
 求事項】。
 リスクマネジメントは、契約、開発、製造、出荷、アフターサービスの全ての段階を通して行うこと。
 その評価や監視の結果として作成した記録を、残すこと(この記録は、4.2.4に従って管理すること)。

参考1 個別の製品、プロジェクト、注文について仕事のやり方を決めた文書を、「品質計画書」と呼ぶ
     ことがある。

参考2 製造ラインの設計、プロジェクトの計画策定などは、ISO13485の求める「製品の設計・開発」に
     はあたらないが、7.3項(設計・開発)に書かれた方法で管理してもよい。

参考3 リスクマネジメントの考え方について、ISO14971を参照すると良い。

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7.2 顧客に関係すること

7.2.1 製品の仕様を明らかにする
会社(組織)は、製品(またはサービス)ごとに決められた仕様、性能、あるいは関連する約束事を整理
し、説明できること。

a)顧客との約束【顧客要求事項】
  ・製品(またはサービス)の仕様についての約束
  ・納品に関する約束(納品場所、輸送方法、納期など)
  ・納品後のサービスに関する約束

b)用途に応じて必要なこと【用途に応じた要求事項】
  ・顧客との約束はないが、当然しなければならないこと。
  ・顧客との間では詳細を決めておらず、自社の判断で対応すること。
  ・カタログやホームページで通知(不特定多数に約束)した内容。

c)製品に関わる法令上または公的な決まり【法令・規制要求事項】

d)組織の事情で必要な項目【組織の追加要求事項】
  ・製品について、会社が経営的に必要と判断すること(経営方針、営業戦略、リスク回避などを考慮
   して加えるもの)



  7.2.2 契約・受注
◆契約・受注の確認                                   <文書または記録>
  会社は、顧客と約束する前に、その内容を確認すること(ルールを決めて内容を点検すること)。
  ここで言う約束とは、契約、仕様書の提出、受注、見積書の提出、入札、それらの変更などを指す。
  約束の確認では、次の点を確かめること。

  a) 製品の仕様(及びその他の関連した約束を含む)が、書面(文書または記録)になっていること。
  b) 以前に交わした約束(以前に出した見積書や、販売した製品)と内容が変わっている場合に、
    変わることについて合意している。
  c) 求められている品質やその他の条件に能力的(技術、納期、価格)に対応できる。

◆契約・受注の記録                                          <記録>
  顧客と約束の記録を残すこと。また、内容確認の結果として約束の変更した場合は、変更の記録も
  も残すこと(4.2.4の対象)。
  顧客が注文内容を口頭で伝えた場合にも、内容を確認し、何らかの記録を残すこと。

◆契約・注文の変更
  契約や注文内容の変更があった場合には、会社は、計画表、作業マニュアル、検査基準書などの
  関連する文書を修正すること。また、変更の内容を関係者に理解させること。

参考 インターネット販売などでは、個別の注文に対する確認は難しい。このような場合のレビューでは
    カタログや宣伝広告資料などの製品情報を、公表前に確認すること



 7.2.3 顧客との連絡方法
会社は、顧客と情報のやり取りをする方法や担当者を決めて、実施すること。顧客と交わす情報には、
次のようなものがある。

a) 顧客への宣伝活動、顧客から得る仕事の情報や業界動向          ・・・・契約・受注前
b) 引き合い、契約、注文、またはそれらの変更                   ・・・・契約・受注
c) 顧客からの反響(クレーム、意見、顧客アンケートなど)            ・・・・引渡し後
d) 通知書(販売後の顧客への追加情報)をどのように発行し、顧客に渡すか。

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7.3 設計・開発

7.3.1 設計・開発の計画
◆設計・開発ルールの文書化                            <文書化された手順>
  会社は、設計・開発の管理方法について、ルールを決め、文書で定めること【文書化された手順】。
  ルールは必要に応じて見直すこと。

◆設計・開発の計画書                                          <文書>
  会社は、設計または開発の「計画書」(文書)を作成すること。設計や開発の進捗に応じて、内容が
  変わる場合には、適宜に計画を変更(改訂)すること(計画書は4.2.3に従って管理すること)。
  
◆計画の内容
  その計画の中で次のことを決めること。
  a)設計や開発がどのような段階に分かれているか
  b)設計・開発のレビュー、検証、バリデーション、製造移管の確認の実施予定(下の参考を見よ)。
    これらは、a)で分けた段階ごとに必要性を判断すること    。
  c)設計・開発の責任者及び担当者。その責任と権限の範囲。

◆複数のチーム間の連絡【インタフェース】
  会社は、複数のチームが参加する設計や開発において、チーム間で情報交換や意思疎通を行う方
  法を決めること。また、各々の責任や役割分担について、チーム間で確認する方法を決めること。

参考 設計・開発した製品の製造移管に際しては、製品が問題なく製造できることを、試験し、確認す
    ること。設計・開発を終了し、製造に関わる文書を完成する前に、確認を終えること。



7.3.2 設計・開発に用いる情報【インプット】
                                                         <記録>
◆設計や開発を始めるに当たり、設計・開発の中で用いる情報【インプット】を整理して、記録として残
  すこと(この記録は、4.2.4に従って管理すること)。

◆その情報の中には、次の項目を入れること
  a)求められる機能、性能、安全上で必要なこと
  b)守らなければならない法律や公的な決まり
  c)以前に行った、類似した設計から得られる情報(そのような情報がある場合)
  d)その他の考慮しなければいけないこと
  e)リスクマネジメントにより得られた情報(7.1で得られた情報)

◆このように整理されたインプットの情報は、決めておいた責任者が、内容が適切かどうかを確認する
 こと。特に、次の点について確認すること。
  ・必要な情報が抜けていないか
  ・あいまいな点はないか
  ・情報間に矛盾はないか



7.3.3 設計・開発の結果【アウトプット】
◆設計や開発の結果【アウトプット】は、最初に取り上げた情報【インプット】に対してどうなったかが、比
 較できる形で示すこと。

◆設計や開発の結果を、記録として残すこと(4.2.4に従って管理すること)              <記録>

参考 設計や開発の結果には、仕様書、製造手順書、図面、技術日誌や研究日誌がある。

◆決めておいた責任者がこれを承認した後に、次の設計段階あるいは生産段階に進めること。

◆責任者は、次の点を確認すること。
  a)インプット(求められていた機能や性能、守らなければならない法律など)をクリアしている。
  b)次の点について、必要な情報が示されている。
    ・製造(またはサービス提供)のために必要なこと
    ・部品、資材、原料などの購入に関して必要なこと
    ・外注を使う場合に必要なこと
  c)製品の合否判定基準が書かれている。または、判定基準がどこに書いてあるかを指定している。
  d)次の点について、必要な情報を含んでいる
    ・製品(またはサービス)を安全に使うために必要なこと
    ・製品(またはサービス)を適切に使うために必要なこと

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7.3.4 設計・開発のレビュー(関係者による検討)
◆設計・開発の適当な段階に、「設計・開発のレビュー」(関係者による検討)を行うこと。
  「設計・開発のレビュー」には、関連するチーム(設計・開発を分担する各チーム、製造部門、品質保
  証部門など)と、専門家(医師、技術専門家、法律の専門家など)が参加すること。
  [参加者の選択に当たっては、5.5.1(責任権限)、6.6.1(要員の能力)で求める内容に配慮すること]

◆「設計・開発のレビュー」は、必要な確認が体系的に行えるように計画し、その計画に従って行うこと
  (7.3.1 設計・開発の計画書)。1回にまとめて行うのではなく、何回にも分けて、または繰り返し行
  うことでも良い。

◆「設計・開発のレビュー」では、次の観点から設計・開発の内容を確認すること。
  a) 求められていた通りの設計・開発ができているか(できそうか)。
  b) 問題があれば指摘し、対策を提案する。
                                                         <記録>
◆「設計・開発のレビュー」の記録を残すこと。また、「設計・開発のレビュー」の結果を受けて処置を
  場行った合はその記録も残すこと(4.2.4に従って管理すること)。



7.3.5 設計・開発の検証(結果の確認)
◆「設計・開発の検証」(設計や開発の結果の確認)として、設計・開発の結果が、インプット(7.3.2)で
  求められていた項目をクリアしているかを確認すること。

◆「設計・開発の検証」は計画書(7.3.1)に従って行うこと。
                                                         <記録>
◆「設計・開発の検証」の記録を残すこと。また、「設計・開発の検証」の結果を受けて処置を行った場合
  はその記録も残すこと(4.2.4に従って管理すること)。



7.3.6 設計・開発のバリデーション【妥当性確認】
◆「設計・開発のバリデーション」として、設計・開発した製品が、狙い通りに機能することを確認するこ
  と。バリデーションには、現場試験、実際の使用を想定した試験、データの分析などがある。

◆「設計・開発のバリデーション」は計画書(7.3.1)で決めた方法に従って行うこと。

◆国の法令で、バリデーションの一部として、臨床試験や性能評価が定められている場合は、実施する
  こと(参考2)。

◆「設計・開発のバリデーション」は、必ず製品を引渡す前に終わっていること(参考1、参考2)。

参考1 現地に据付けて試験を行わなければならない場合は、バリデーションが終わり、正式に顧客へ
     移管するまでは引渡しと見なさない。

参考2 臨床試験や性能評価のために、顧客へ製品を提供しても、引渡しとは見なさない。
                                                        <記録>
◆「設計・開発のバリデーション」の記録を残すこと。また、バリデーションの結果を受けて処置を行っ
  た場合はその記録も残すこと(4.2.4に従って管理すること)。



7.3.7 設計・開発の変更管理
◆設計・開発の変更を行ったら、記録を残すこと。                            <記録>

◆設計・開発の変更の際には、必要に応じて「設計・開発のレビュー」「設計・開発の検証」あるいは
 「設計・開発のバリデーション」を行うこと。
 この際、変更が、製品の他の部分に及ぼす影響を確認すること。
 また、変更前の製品を使用している顧客に影響がないか(交換部品、ソフトウェアなど)を確認すること。
                                                         <記録>
◆変更に際して「レビュー」「検証」「バリデーション」を行ったら、記録を残すこと。その結果を受けて処置
  を行った場合はその記録も残すこと(4.2.4に従って管理すること)。

◆変更を実施する前に、決められた責任者が、承認すること

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