らくらくISO9001講座
口語訳 ISO13485:2016
5章 経営者の責任
5.1 経営者の責任と役割
5.2 顧客重視の考え方
5.3 品質方針
5.4 仕事のやり方を決めること
5.5 組織に関わること
5.6 マネジメントレビュー
赤字 ISO13485:2003及びISO9001:2015 にない決まり
紫字 ISO9001:2015 にない決まり
緑字 この口語訳の追加説明
改訂 2017.08.05
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本記事のタイトルは口語訳ですが、内容は翻訳ではなく解釈の1例です
規格への適合性は原文や対訳版で判断して下さい
5章 経営者の責任
5.1 経営者の責任と役割
◆経営者は、次のことに責任を持つこと。
@ ISO13485の仕組みに従って会社を運営すること。
A 良い結果が出るように仕組みを維持・改善すること。【有効性の維持】
◆経営者の具体的な役割
a)
社員に顧客との約束を守らせること(そのように認識させる)
社員に法令を守らせること(そのように認識させる)
b)
品質方針を決めること
c)
品質目標を決めさせること
d)
マネジメントレビュー(経営者による仕事の点検と指示)を行うこと
e)
必要な人や設備など【資源】を用意すること
5.2 顧客重視の考え方
◆経営者は、次の点を、責任を持って実施させること。
@ 守るべき、顧客との約束と
法律上の決まり
が分かるようになっていること。
A それを確実に守るように管理すること。
5.3 品質方針
経営者は品質方針を決めること。
◆品質方針の内容
a)
会社にふさわしい内容とすること(業種、規模、社会的な役割りなど)。
b)
製品の品質を保証し、顧客との約束や法律を守ることを約束する【要求事項への適合】。
良い結果を得るために改善をすることを約束する【品質マネジメントシステムの有効性の
維持】。
c)
実際の活動(品質目標)に結びつく、具体的な内容を入れること。【品質目標の設定と
レビューのための枠組み】
◆品質方針の運用
d)
品質方針の内容を、社員全員に理解させること。
e)
品質方針を点検【レビュー】して、内容を変える必要がないか確かめること(決めた時期や
状況が変更した時に行う)。
5.4 仕事のやり方を決めること
5.4.1 品質目標
◆ 経営者は、品質目標(具体的な活動目標)を決めさせること
◆ 品質目標は次のように決めること。
@ 部署ごと、階層ごと(例えば、全社−部−課)など、実行するのにふさわしい単位で決め
る。
A 品質方針と、つじつまの合った内容にする。
B
法令順守と
製品の品質に関わる内容を入れる。
C 活動の進み具合や達成度がわかるように、具体的な判断の基準(達成基準)を決める
(数値目標が望ましいが、これに限らない)。
5.4.2 品質に関する仕事の仕組み
◆経営者は、次のことを実施させること。
a)
ISO13485に従った仕組みを作ること。この仕組みによって、仕事を管理し、品質目標を実行
すること。
b)
仕組み(組織、仕事の手順、取扱い製品、施設、設備など)を変更する時は、一部の仕組み
の変更によって、他の部分と矛盾が生じないように注意して行うこと。
5.5 組織に関わること
5.5.1 責任と権限
◆ 経営者は、社員の責任分担、及び判断を任せる範囲【権限】を決めること。
決めた内容を文
書で定め、社員全員に伝えること。
◆ 経営者は、品質に関わる仕事(管理、実行、判断)をする社員の、組織上のつながりを定め
ること。
◆ このような社員が、判断の結果について、不当な干渉を受けないように管理すること
【独立性】。
5.5.2 管理責任者
◆ 経営者は、会社の管理職の中から、管理責任者を任命すること。
◆ 管理責任者は他の役職と兼任でも良いが、兼任している仕事の影響を受けないように、
管理責任者として判断をすること。
◆ 管理責任者の役割(責任と権限)は、次の通り。
a)
品質に関わる仕事の仕組み【品質マネジメントシステム】を作り、
文書に定め、
実施する。
= 品質マネジメントシステムについて会社全体を指揮し、管理する。
b)
品質に関わる仕事が結果に結びついているか、また、仕組みを改める部分があるかつ
いて、情報を集め、経営者に報告すること。
c)
法律と
顧客との約束を守ることの大切さを、すべてのメンバーに理解させること。
5.5.3 社内のコミュニケーション
経営者は、会社が次の点を確実に行うように管理すること。
◆ 社内で、必要な情報を正しく伝える仕組みを作ること。そのために、情報の伝達の機会
(打合 せ、会議など)やツール(電話、コンピューターネットワークなど)を用意する
◆ 品質に関わる仕事(品質マネジメントシステム)についての情報を、正しくやり取りすること。
5.6 マネジメントレビュー
【文書】 【記録】
5.6.1 マネジメントレビューの目的
◆ 経営者は、会社の仕事(品質マネジメントシステム)の結果を確認し、指示を与えること
【マネジメントレビュー】。
その実施のルールを、文書で定めること。実施する間隔を文書で
定めること。
◆ 経営者は、次の観点で仕事の仕組みを評価すること。
・ルールが実態と合っているか【適切】
・必要な内容が盛り込まれているか【妥当】
・良い結果が出ているか【有効】
・改善できるところはあるか【改善の機会】
・仕組みを、変えなければならないところはないか【変更の必要性】
・品質方針や品質目標を変えなくても良いか。
◆ マネジメントレビューの結果を、記録として残すこと(4.2.5に従って管理すること)。
5.6.2 マネジメントレビューでの報告事項
◆ マネジメントレビューでは、次の情報【インプット】を報告し、審議すること。
a)
顧客の反響、市販後安全情報
b)
発生したクレームとその対策
c)
行政に報告したこと
d)
内部監査の結果。審査機関、行政、顧客などによって行われた監査(審査)の結果。
e)
仕事がうまく進んでいるか
f)
製品の品質(不良品の発生状況、不良率など)
g)
実施した是正処置(再発防止対策)の結果
h)
実施した予防処置(未然防止)の結果
i)
以前のマネジメントレビューで決ったことがどうなったか
j)
品質に関係がある変化
k)
仕事のやり方を良くするための提案
l)
新しい法令上の決まりまたはその変更
5.6.3 マネジメントレビューに基づく指示
◆ 経営者から、指示された内容【アウトプット】を記録すること(4.2.5に従って管理すること)。
この際、その指示の元になった報告【インプット】が何かを示すこと。
指示を受けて、行う内容【処置】を記録すること。
◆ 経営者は、次のような視点で指示を行うこと。
a)
仕事が正しく行われ【適切性・妥当性】、良い結果に結びつくように【有効性】、仕事の
やり方を改善する。
b)
顧客と約束した品質を確保するために製品を改良する。
c)
新たな法律や、改正された法律に対応するために、仕組みを変更する。
d)
品質に関わる活動に必要な資源(要員、施設、設備、技術など)を用意することの指示。
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