らくらくISO9001講座


ISO9001:2000 サービス業編

5章 経営者の責任
 5.1 経営者の責任と役割
 5.2 顧客の身になって考えよう
 5.3 品質方針
 5.4 仕事のやり方を決めること
 5.5 組織に関わること
 5.6 マネジメントレビュー


改訂 2007.03.21

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5章・6章
ただし、5・6章は業種による違いが少ないので、
口語訳とあまり変わりません。あしからず



5章 経営者の責任

5.1 経営者の責任と役割

◆経営者は、次のことに責任を持つこと。
  ・ISO9001に合わせて会社を運営すること【品質マネジメントシステム】
  ・仕事のやり方を改良してゆくこと【継続的改善】

◆経営者の具体的な役目
a)社員に顧客との約束を守らせる(そのように教育する)
  社員に法律や社会のルールを守らせる(そのように教育する)
b)品質方針を決める
c)品質目標を決めさせる
d)マネジメントレビュー(経営者による仕事の点検と指示)を行う
e)必要な人や設備など【資源】を用意する



5.2 顧客の身になって考えよう

経営者は顧客に納得してもらうために、次の点について責任を持つこと。(顧客が納得してくれたかどうかは
8.2.1で調べる)
 ・サービスについて顧客と約束した内容をはっきりさせる(具体的には7.2.1で決める)
 ・顧客との約束を守る

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5.3 品質方針

経営者は品質方針を決めること。

◆品質方針の内容
a)会社にふさわしい内容とする(会社の規模や仕事の内容に合っていること)
b)サービスの品質に関する内容を入れる【要求事項への適合】
  仕事の良くしてゆく話を入れる【継続的改善】
c)実際の活動(品質目標)に結びつくような、具体的なテーマを入れる【品質目標の設定のための枠組み】

◆品質方針の運用
d)品質方針の内容を、社員に理解させること。
e)品質方針を時々点検【レビュー】して、内容を変える必要がないか確かめること(点検するためのルール
  を決めること)。



5.4 仕事のやり方を決めること

5.4.1 品質目標
品質目標(会社を良くするための具体的な活動目標)を決めること
◆部ごと、課ごと、チームごと、現場ごとなど、実行するのにふさわしい単位で決める(全社目標−部目標
  −課目標 などのように階層ごとに作るのも良い)
◆品質方針とつじつまの合った内容にする。
◆できる限りサービスの品質に関わる内容を入れる。[この内容は、7.1a)で仕事のやり方を決める際に、
  反映させること]
◆品質目標を決める時には、活動中や終了後に達成具合がわかるように、具体的な判断の基準(達成基
  準)を決める。数値で表せる基準が理想的だが、これに限らない。


5.4.2 品質に関する仕事の仕組み
経営者は、次の点が確実に行われるように会社を管理すること。

a)品質に関する仕事の仕組みが決められていること。この仕組みによって品質に関する仕事を管理し、品
  質目標を実行すること。
b)周囲の状況の変化(組織の変更、設備の変更、新しい製品やプロジェクトなど)によって仕事の仕組みを
  変えなければならない時は、速やかに対応し、管理された状態を保つこと。

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5.5 組織に関わること

5.5.1 責任と権限
経営者は、次の点を確実に行うように組織を管理すること。
◆各々の社員について、仕事上の役割、判断を任されている範囲【権限】及び責任の分担を決めること。
◆どのように責任と権限が分担されているのか(組織と役割)を、社員全員に伝えること。


5.5.2 管理責任者
◆経営者は、会社(組織)の管理職の中から、管理責任者を任命すること。

◆管理責任者は他の役職と兼任でも良いが、管理責任者の仕事をするときは、兼任している部門の利害
  は考えず、管理責任者として判断をすること。
  また、経営者は、管理責任者が本来の地位(部長であるとか、課長であるとか)と関わり無く、経営者の
  代行として会社(組織)全体を指揮できるように、責任と権限を与えること。

◆管理責任者の役割(責任と権限)は、次の通りです。
a)管理責任者は、品質に関わる仕事の仕組み(品質マネジメントシステム)を動かすために、会社(組
  織)全体を指揮すること。
   ・品質に関わる仕事の仕組みを決める【確立】
   ・決めた通りに仕事をする【実施】
   ・状況の変化に応じて、適切に仕組みを改めて、管理された状態を保つ【維持】
b)次の点について情報を集め、分析して、経営者に報告すること。
   ・品質に関わる仕事がきちんと機能しているか
   ・仕事の仕組みを改めなければならない部分があるか
c)顧客との約束を守ることの大切さを、すべてのメンバーに理解させること。

参考 管理責任者は、上の役割に加えて、審査登録機関や顧客(主に品質保証に関わる問題について) 
     に対する、組織の窓口となることを推奨します。


5.5.3 社内の情報伝達
経営者は、会社(組織)が次の点を確実に行うように管理すること。

◆社内(または組織内)で、必要な情報をきちんと伝える仕組みを作ること。
  ・情報の伝達の機会(打合せ、会議など)を作る
  ・情報の伝達のためのツール(電話、コンピューターネットワークなど)を用意する
  ・情報の伝達のためのルールを作ること

◆品質に関わる仕事(品質マネジメントシステム)についての情報を、正しくやり取りすること。

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5.6 マネジメントレビュー

5.6.1 マネジメントレビューの目的
◆経営者は、会社(組織)の品質に関わる仕事(品質マネジメントシステム)が上手く働いているかどうかを
 評価して、指示を与える機会(マネジメントレビュー)を作ること。マネジメントレビューを実施する間隔(時
 期)を決めること。

◆マネジメントレビューでは、次の観点で仕事の仕組みを評価すること。
  ・品質に関わる会社の仕組み【品質マネジメントシステム】は適切か。
  ・実態とずれていないか【妥当】
  ・予定通りの結果を出しているか【有効】

◆マネジメントレビューでは、次の点も評価して下さい。
  ・仕事の仕組みで、改善できるところはあるか【改善の機会】
  ・仕事の仕組みで、変えなければならないところはないか【変更の必要性】
  ・品質方針や品質目標を変えなくても良いか。

◆マネジメントレビューの結果を、記録として残すこと(この記録は、4.2.4に従って管理すること)


5.6.2 マネジメントレビューへの報告事項
◆マネジメントレビューを行うに当たって、次の情報【インプット】を経営者に報告すること。
a)監査の結果
  内部監査の結果。審査登録機関、行政、関連団体、顧客によって行われた監査(審査)の結果。
b)顧客の反響
  会社(組織)の活動について、顧客から返ってきた情報(顧客満足調査、顧客アンケート、顧客からの意
  見、クレームなど)
c)仕事がうまく進んでいるか・製品の品質は良いか
  日常の活動が上手くいっているかどうかが分かる情報(品質目標、検査結果、不具合の発生、仕事の
  進捗状況など)
d)是正処置と予防処置の結果
  マネジメントレビューの対象期間に始めた、または終わった是正処置と予防処置(8.5.2、8.5.3)
e)以前のマネジメントレビューへの対応
  以前のマネジメントレビューで経営者が指示した事項が、どのように処理されたかの報告。
f)品質に関係がある変更
  マネジメントレビューの対象期間に変えた事項(サービス内容、仕事の仕組み、要員、設備など)。
g)改善のための提案
  サービスの内容ややり方を良くするための提案


5.6.3 マネジメントレビューに基づく指示
◆経営者が出す指示【アウトプット】の中に、次の内容を含めること。
a)仕事の仕組みの改善
  品質に関わる仕事(品質マネジメントシステム)が予定通りの結果を出すように、仕事の進め方や管理
  方法を改善すること。
b)設計技術の改良
  顧客が期待する品質を確保するために設計技術(構造、デザイン、技法、資材など)を向上させること。
c)資源の必要性
  上記の改善・改良を含め、品質に関わる活動に必要な資源(要員、施設、設備、技術など)を用意するこ
  との指示。


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6章 人や設備の管理

6.1 人や設備を用意すること

◆ISO9001を用いる会社(組織)は、必要な人員、施設、機械、技術など【資源】を用意すること。なお、

◆ISO9001で求められている活動とは次の通りです。
a)決めた仕事のやり方を実行する
  ・品質に関わる仕事の仕組み(品質マネジメントシステム)を実行する【実施】
  ・状況が変化した場合には、それに合わせて仕組みや決まりを改める【維持】
  ・より良い結果に繋がるように、仕事のやり方を改良する【継続的改善】
b)顧客に喜んでもらう
  ・顧客に喜んでもらうために、顧客との約束を確実に実行する



6.2 人を確保する

6.2.1 仕事をするための力量
◆品質に関わる仕事は、その仕事をするために十分な力量を持った人にやらせること。

◆その人の力量は、次の情報を元に判断すること
  ・その人が受けた教育(主に知識的なもの)
  ・その人が受けた訓練(主に技能的なもの)
  ・その人が現在持っている技能
  ・その人がこれまで積んできた経験


6.2.2 力量を持った人の確保/人々の認識/訓練
◆力量を持った人員の確保
会社、十分な力量を持った人を確保するために、次のことを実行すること。
a)社内(組織内)の品質に関わる各々の仕事について、どのような力量が必要なのかを整理すること。
b)力量を持った人を確保すること。それには、次のような方法がある。
  ・訓練する      
  ・社内(組織内)の他の現場や部門から異動させる
  ・新たに雇い入れる  
  ・外注を使う
c) b)の手段を行った時は、訓練でその人が本当に力量をつけたか、あるいは確保した人が適切な力量
  の人だったかを評価すること。

◆人々の認識
d)全社員に次の点を認識させること。
  ・自分の仕事の位置づけ
  ・自分の仕事の重要性
  ・品質目標を達成する上での自分の役割

◆力量を証明する記録
e)力量を証明するために、教育や訓練を行った記録、技能を評価した記録、経験を示す記録を残すこと(こ
  の記録は、4.2.4に従って管理して下さい)

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6.3 設備や施設の管理 【インフラストラクチャー】

◆ここではインフラストラクチャーの管理について述べます。インフラストラクチャーとは次のものを指します
a)施設とユーティリティー(用役)
  サービスのための施設、作業場所、事務所、ユーティリティー(水、電気など)
b)設備
  機械類、道具類、車両、コンピューターなどのハードウェアに加え、コンピューターソフトウェアも含む
c)サポート体制
  輸送手段、通信手段(電話、社内メール、イントラネットなど)、その他

◆顧客が求めるサービスを行うために、どんなインフラストラクチャーが必要かを整理して、示せるようにして
下さ
  い。
◆必要と判断したインフラストラクチャーを用意し、使えるようにして下さい。【提供】
◆そのインフラストラクチャーは、必要な時に使えるように管理して下さい(点検、整備、修理など)。【維持】



6.4 作業環境

◆作業場所の環境がサービスの品質に影響する場合は、管理をしてください。管理しなければならない作
  業環境にどんなものがあるか、整理してください。
◆必要な作業環境が作れるように、管理方法を決めて実施してください。
◆作業環境には、直接にサービスの品質に関わるものの他に、作業者に関わるもの(作業場所の空調、安
  全、健康管理、心理状態など)を含めても良い。

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