らくらくISO9001講座


ISO9001:2000 サービス業編

1.適用範囲
 1.1 ISO9001導入の目的
 1.2 ISO9001を使える組織
2.引用規格
3.用語の定義
4.基本的な仕組み
 4.1 ISO9001の基本的な考え方
 4.2 文書に関すること

改訂 2007.03.21

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1章〜4章
ただし、1〜4章は業種による違いが少ないので、
口語訳とあまり変わりません。あしからず



1章 適用範囲

1.1 ISO9001導入の目的

ISO9001を取り入れると、次のメリットがある。

a)会社の実力をアピールできる
  ISO9001の認証を取れば、次のアピールになる
  ・当社は、いつも顧客と約束した通りのサービスを行う
  ・当社は、いつも法律や社会のルールに従ったサービスを行う

b)これからも顧客の期待に答えてゆける【顧客満足の向上】
  ISO9001の仕組み【品質マネジメントシステム】を取り入れれば、次のことが実行でき、これからもずっ
  と、顧客の期待に答えてゆける
  ・ルールに従って仕事をする
  ・仕事のやり方をどんどん良くする
  ・顧客との約束を守る
  ・法律や社会のルールに従う

参考 製品の定義
  ISO9001でいう「製品」には、廃棄物は含まない(ISO14001ではこれを含む)



1.2 ISO9001を使える組織

◆ISO9001は、あらゆる業種や規模の会社で使える。

◆ISO9001に書かれている項目【プロセス】の中に、自社の仕事に該当しないものがある場合は、その部分
 を除いてISO9001を使っても良い。ただし、除いて良いのは7章(サービスの提供)の中の項目だけであ
 る。また、本当にその項目に当ては まる仕事がない場合だけである。

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2章 引用規格
ISO9001は次の3章で、ISO9000:2000(JIS Q 9000:2000)の「3.言葉の定義」を引用している。この部分
も、ISO9001に含むものと考える。ただし、ISO9000:2000が改訂された場合でも、対象はあくまで2000年版
であって、改訂版を使うことにはならない。



3章 用語の定義
◆ISO9001で使う言葉の定義は、ISO9000の「3.言葉の定義」に従う。

◆このISO9001:2000サービス業編では、当事者の呼び方を次のようにする。
   取引業者 → 会社 → 顧客

◆製品の定義
ISO9001で「製品」と言う場合には、「サービス」(無形の製品)のことも含めて言う。
このISO9001:2000 サービス業編では、「製品」の用語は使わず、「サービス」と書いている。



4章 基本的な仕組み
【品質マネジメントシステム】
4.1 ISO9001の基本的な考え方

◆ISO9001全体に共通する決まり
各々の事柄について、次のように行うこと。
 ・ISO9001の内容と合った仕事の仕組みを決めること【確立】
 ・その仕組みを文書に書くこと【文書化】(必要な文書は4.2.1)
 ・決めたことを実行すること【実施】
 ・状況が変わった時は、仕組みや決まりを改めること【維持】
 ・より良い結果に繋がるように、仕事のやり方を良くすること【継続的改善】

◆プロセスに基づく整理
プロセスアプローチの考え方に基づいてISO9001の内容をまとめると次の通り。会社は、これらのことを実行
すること。
a) 自社の仕事をどのような単位(区分)【プロセス】に分けて考えているかを示すこと(ISO9001で求めてい
   る項目を除外する場合は、そのことを記すこと。1.2参照)。
b) 仕事の繋がり方【プロセスの相互関係】を、適当な形(図や表など)で示すこと。
c) 各々のプロセスについて、仕事がきちんと行われていることを判断する方法と、判断する基準を決めるこ
   と。
d) 各々のプロセスを実施する際に、必要な人や設備など【資源】を用意すること。また、必要な連絡やデー
   タ【情報】が得られるようにすること。
e) 各々のプロセスについて、正しく行われているかを確かめるために、監視、測定、検査、分析などを行な
   うこと。
f) 各々のプロセスが予定通りに行われるように、問題があれば解決すること。また、より良い結果が出るよ
   うに仕事のやり方を改善すること【継続的改善】。
これらの仕事【プロセス】をISO9001に合うように行うこと。

◆外注委託について
サービスの品質に影響する仕事【プロセス】を外注【アウトソーシング】する場合は、確実に管理すること。ま
た、どの仕事を外注しているかを、示せること。

参考 プロセスの範囲
ここで言う仕事【プロセス】には、サービスの実施(7章)、検査(8章)だけでなく、組織の管理(5章)や、設
備や要員の管理(6章)などの仕事も含める。

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4.2 文書に関すること

4.2.1 必要な文書
◆次のものを文書にすること
 a) 品質方針と品質目標(5.3、5.4.1)
 b) 品質マニュアル(4.2.2)
 c) ISO9001が管理方法を文書として決めることを求めている6項目
    (文書の管理、記録の管理、内部監査、不適合製品の管理、是正処置、予防処置)
 d) 仕事をきちんと行うために、会社として必要な文書
 e) ISO9001が求める記録

参考1 「文書として決める」の意味
  管理方法を文書として決めることを求めている6項目について、次のことを全てやること。
   ・ルールを決める【確立】
   ・文書に書く【文書化】
   ・決めた通りに仕事を行う【実施】
   ・状況の変化に合わせて文書を変更する【維持】

参考2 文書のくわしさ
  文書の中身のくわしさは、以下の点を考えて、会社の実情に合わせて決めること。
  a)会社の大きさと、仕事の種類
  b)仕事の複雑さ、仕事のつながりの複雑さ
  c)仕事をする人々の能力

参考3 文書の形
  ここでいう文書は、どんな媒体を使っていても良い。図や写真によるもの、ビデオ、コンピュータで記憶さ
  れたもの、現物のサンプルなども含む。



4.2.2 品質マニュアル
◆品質マニュアルを作ること。状況の変化に応じて内容を見直すこと。

◆次の事項は必ず品質マニュアルのどこかに記すこと。

 a)この品質マニュアルを使用する仕事の範囲【適用範囲】。適用範囲とは、具体的には次のものである。
    ・対象とする会社、事業所や部門
    ・対象とするサービスの種類
    ・対象とするISO9001の項目【プロセス】
   ISO9001の中で除く項目【プロセス】がある場合は、そのことを明記し、自社に当てはまらない理由を書
   くこと(1.2参照)。
 b)ISO9001が管理方法を文書として決めることを求めている6項目(文書の管理、記録の管理、内部監
   査、不適合製品の管理、是正処置、予防処置)。品質マニュアルの中に書くか、そうでない場合はどこ
   に書いてあるかを記すこと。
 c)自社には、どのような仕事の単位(区分)【プロセス】があって、そのプロセス同士がどのように繋がっ
   ているかを、適当な形で示すこと。[4.1a)b)と同じ]

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4.2.3 文書の管理
◆仕事に使う文書(4.2.1で指定したもの)は、ここで求めている内容を守って管理すること。ただし、文書の
  うち「記録」の管理は次の4.2.4で決めるので、ここでは除く。

◆「文書の管理方法」を決めて、その管理方法を定めた文書を作ること。(文書化を求める6項目の1つ)

◆文書の管理のルールの中には、次の内容を含めること。
a)承認
  ・文書を作ったら、文書ごとに決めた責任者が、その内容を点検して承認すること。
b)文書の点検と変更
  ・長期に渡って使用する文書は、ルールを決めて時々内容を点検【レビュー】すること。
  ・文書は必要に応じて変更や改訂をすること。文書の変更や、改訂版の発行の際も、ルールを決めて承
   認すること。
c)変更が分かるようにする
  ・文書を変更したときは、使う人が、文書のどこが変更されたのかが分かるようにすること。
  ・改訂番号や改訂日付をつけること。
d)適切な文書の使用(最新版管理を含む)
  ・文書は、使う人が、見たい時に見られるようにすること。適当な場所に配置するか、コンピューターの端
   末で見られるようにする。
  ・文書は、最新版を使うこと(同時に、旧版を誤って使わないようにすること)。そのため、文書の置場に
   は、常に最新版を置くこと。ただし、顧客から指定されて旧版の文書を使うようなケースでは、指定の
   版が使えるようにすること。
e)文書を見やすい常態に保つ
  ・文書は汚れたり、ボロボロになって読めなくなることがないように取扱うこと。
  ・文書にはタイトルをつけて、それを見やすい形で表示すること。
f)外部文書
  ・外部から入手する文書でも、仕事のやり方を指定するものについては、文書として管理すること(顧客
   から渡された基準やマニュアル、業界のルール、関係する法律やJIS規格など)。どれが管理する外
   部文書であるのかを決めること。
  ・これらを社内に配布する時は、やはり上のd)に記したように、配付の管理をすること。
g)廃止文書
  ・廃止した文書(改訂した文書の古い版)は、誤って使用することがないように処理すること。
  ・廃止した文書を保管する際は、「旧版」「廃止」「使用禁止」などの表示を行うこと。



4.2.4 記録の管理
◆記録はルールを決めて作成し、保管すること。ルールは必要に応じて見直すこと。

◆目的
  記録は、以下の目的のために作って保管する。
  ・顧客との約束、法律などの決まりを守っていることを示す証拠
  ・自社で決めた仕事の仕組みが、ちゃんと機能するものであって、予定通りの結果を出していることを示
   す証拠

◆読みやすさ/識別/検索
  ・記録は読みやすく作ること。
  ・記録は、何の記録か(内容、場所、日時など)が見分けられるように作ること。
  ・保管している記録が、すぐに探し出せること。

◆記録の管理の規定
  記録の管理のルールを決めて、そのルールを書いた文書を作ること(文書化を求める6項目の1つで、
  4.2.1 c)、 4.2.2 b)に該当)。その中で、次の点を決めること。
  ・識別    何の記録か(内容、場所、日時など)がすぐに見分けられるように作る
  ・保管    保管場所とその管理方法
  ・保護    保管している記録が紛失や損傷をしないような処置。保管場所の環境、電子データのバッ
          クアップなど。
  ・検索    保管している記録が、すぐに探し出せるための整理方法
  ・保管期間 記録の種類ごとに決める
  ・処分    保管期間を過ぎた記録をどのような方法で処分するか。

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