らくらくISO9001講座


  
ISO9001
2015年版
【製造業編】

灰字は、JISが用いている用語
緑字は、本文にない、この口語訳独自の補足


7章 仕事をサポートする仕組み
(改訂 2015.04.05)

7.1 建物・設備・スタッフ
7.2 スタッフの力量
7.3 スタッフの認識
7.4 情報交換
7.5 文書・記録



 7.1 建物・設備・スタッフ 【資源】


 7.1.1 必要な建物・設備・スタッフ

   会社は、この品質に関わる仕組み【品質マネジメントシステム】を動かし、また改善するために、
   必要な建物や設備などを用意し、スタッフ(従業員)を確保して下さい。
   何が必要かを決めて【明確】、必要な時に使えるようにして下さい【提供】

   会社は,次のことを考えに入れて下さい。
a) 現在の建物、設備、スタッフなど【内部資源】でできること。【実現能力】
   逆に、現在の施設、設備、スタッフではできないことは何か。【制約】
b) 新たに用意しなければならない施設、設備などはあるか。あるいは外注しなければいけ
   ないサポート業務はあるか。



 7.1.2 スタッフ

   会社は、必要なスタッフ(従業員)を確保して下さい。
   その目的は、次の通りです。
◆品質に関わる仕組み【品質マネジメントシステム】を実行して、良い結果を出す(製品の品質
  を確かなものとする。そのことで、顧客の満足を得る)。【効果的な実施】
◆そこに含まれる、各々の仕事を行う。【プロセスの運用】
◆その仕事が正しく行われるように管理する。【プロセスの管理】

   会社は、まず、どのようなスタッフが必要かを決めて下さい。【明確】
   必要なスタッフを揃えて、従事させてください。【提供】



 7.1.3 建物、設備、サポート業務など 【インフラストラクチャ】

   会社は、仕事を進め、品質の良い製品を顧客に提供するために、必要な、建物、設備、サポート
   業務など【インフラストラクチャ】を用意して下さい。
   これには、受注から、設計開発、製造、納品、アフターサービスまですべてを考えて下さい。

   どれが、管理が必要な建物、設備、サポート業務であるかが、分かるようにして下さい。【明確】
   必要な建物、設備、サポート業務を準備し、使えるようにして下さい。【提供】
   それらの異常で、製品の品質に影響することがないように、点検、メンテナンス、修理などを
   適切に行って下さい。サポート業務も管理して下さい。【維持】

  <補足説明> 
   ここで言う建物、設備、サポート業務には、次のものがあります。【インフラストラクチャ】
a) 建物(工場、作業場所、事務所、倉庫など)
  ユーティリティ(電気、ガス、水、純水、圧縮空気、スチームなど)
b) 設備(ハードウェアとソフトウェアを含みます)
c) 輸送手段(部品資材などの編入、事業所内または事業所間の輸送手段、顧客への配送)
d) 通信や連絡の手段(電話、インターネット、テレビ会議システム、社内メールなど)



 7.1.4 作業場所の環境

   会社は、作業場所の環境を整えて下さい。(ここで言う作業場所には、作業室、サービスの現場
   の他、検査室、製品の保管場所などを含みます)。
   その目的は、次の通りです。
◆作業場所の環境(温度、湿度、清潔さ、ほこり、振動など)が、製品の品質に悪影響を
  およぼさないようにする
◆作業場所の環境(広さ、明るさ、清潔さ)、仕事の内容、あるいは職場の人間関係が、
  作業者に心理的に悪影響を及ぼし、結果として、仕事の結果に悪影響を及ぼすことがない
  ようにする。

   どれか、管理が必要な作業環境であるかが、分かるようにして下さい。【明確】
   環境がコントロールされた作業場所を準備して下さい。【提供】
   点検、保全、監視などを適切に行って、良い環境を保って下さい。【維持】

  <補足説明>  (略) 



 7.1.5 監視・測定のための装置や道具

 7.1.5.1 監視・測定のための装置や道具の管理

   会社が、製品の検査や点検を行う場合には、そのために使用する機械や道具を管理する必要
   があります(以下、まとめて監視・測定機器と書きます)。
   これには、計器、はかり、測定機器、監視機器、検査器具、検査装置、ゲージ、標準器などが
   あります。また、製品の出来栄えを確かめるための点検表、チェックリストなども該当します。

   監視・測定機器を管理する目的は、次の通りです。
測定・点検・確認が、根拠に基づいた方法で行われていることを証明します。
  【結果が妥当 valid】
◆測定した結果が、正確であることを証明します。【結果が信頼できる reliable】

   どれか、管理が必要な監視・測定機器なのかが、分かるようにして下さい。【明確】
   必要な監視・測定機器を用意し、使えるようにして下さい。【提供】
a) 実施する測定・点検・確認について、何を確かめようとしているのかをはっきりさせ
   (目的)、それに合った監視・測定機器を使って下さい。
   特に、数値を求める測定では、必要な測定精度に合った(必要な細かさで測定ができる)
   測定機器を選んで下さい。
b) 機械や器具は、適切に、点検やメンテナンスをして、正しく使用できる状態を保って下さい。
  
   会社は、使用している監視・測定機器が、それぞれの測定・点検・確認の目的に合って
   いることの説明を、文書または記録に書いておいて下さい。
   この文書または記録を保管して下さい。


 7.1.5.2 測定値を保証する(校正または精度の確認)

   測定機器について、確かな標準に基づいて校正や点検が行われていることの証明【測定の
   トレーサビリティ】が必要な場合には、次のa)〜c) の管理を行って下さい。
   なお、証明が必要な場合とは、次のようなケースです。
◆顧客から証明を求められている、あるいは法律で決まっている。【要求事項】
◆会社が、測定結果について顧客の信頼を得るために、測定機器の証明が必要と考えて
  いる。

a) 校正または精度の確認(いずれか、またはその両方)を行って下さい。
   もし、校正(または精度の確認)をしようとする項目について、国際的なまたは国が定めた
   標準(比較対象)が存在するならば、それらとの繋がりが証明できる【トレーサブルである】
   標準を用いて、校正(または精度の確認)を行って下さい。
   そのような標準がない場合には、会社それぞれの判断で、適切な方法や標準を決めて、
   校正(または精度の確認)を行って下さい。この時には、その方法の正しさを証明する
  文書 または記録を作成して下さい。その文書または記録を保管して下さい。

b) 測定機器の校正(または精度の確認)が正しく行われていて、使って良い状態にあること
   が、その測定機器を使用する現場で分かるようにして下さい。【識別】
   (校正ラベル、目印など)。

c) 測定機器は、その精度が狂うことがないように、適切に取り扱って下さい【保護する】。
   精度の調整が、誤ってあるいは意図的に狂わされることが無いように、保護を行って
    下さい。
   壊れたり、劣化したりしないように取り扱って下さい(保管方法、使用方法、点検方法)

   測定機器が正確でないことが判明した場合、あるいは測定機器が壊れた場合には、これまで
   の測定(前回の校正・検証以降)で、不合格品を誤って合格品にしていることがないか【結果の
   妥当性】を調査をして下さい。
   本来は不合格だが、合格と扱われた製品があった場合は、問題の大きさに応じて、適切な
   対策を行って下さい。



 7.1.6 会社が持つ情報

   会社は、次の情報(資料、データ、ノウハウなど)を管理して下さい。
◆仕事を行う上で必要な情報
◆品質が良い製品を作り、質の良いサービスを行うための情報

   どのような情報を管理するかを決めて下さい。
   情報の管理方法(収集方法、整理方法、保管方法など)を決めて実施して下さい。
   その情報が、必要な時に活用できるように、使用方法(整理方法・アクセス方法)を決めて下さい。

   会社は、社内及び社外の変化に対応するために、現在持っている情報で十分に対応できるか
   どうかを判断して下さい。
   必要な場合には、新しい情報を収集し、あるいは持っている情報を最新のもの改めて下さい。
   そのような情報を集める方法、あるいは最新の情報にアクセスする方法を決めて下さい。

  <補足説明1>
   会社が持っている情報は、会社ごとに独自のもので、会社が今までの仕事の中で得てきた
   ものです。
   会社は、この情報を、会社の目標を実現するために使用します。そのために、関係者で情報を
   共有します。

  <補足説明2>
   会社が持つ情報には,次のようなものがあります。
a) 内部で得た情報(略)
b) 外部から入手する情報(略)





 7.2 スタッフの力量

   会社は、力量があるスタッフを揃えるために、以下の管理を行って下さい。
a) 会社は、スタッフにどのような力量(知識やテクニック)が必要かを決めて下さい。
   ここで対象になるスタッフは、以下のような人々です。
   製品・サービスの品質に影響する仕事をする人
  【品質マネジメントシステムのパフォーマンス】
   目標・課題の達成や仕組みの改善につながる仕事をする人
 【品質マネジメントシステムの有効性】
   社員以外で、自社の指揮下にある人
b) 会社は、個々のスタッフの力量を把握して下さい。
   次の項目は、力量を判断する根拠となります。
   今までに受けた教育 (学校・大学・専門学校、研修、社内講習など)
   今までに受けた訓練 (職業訓練、社内での技能訓練、OJTなど)
   今までの経験(入社前の職務経験、社内での経験)
c) 必要な力量を持つスタッフが不足している場合には、スタッフを確保して下さい。
   スタッフを確保する方法には、次のようなものがあります <ここから5行は補足説明>
スタッフに訓練を行う 【トレーニング】
スタッフに熟練者による指導を行う 【メンタリング】
力量のあるスタッフを配置転換して、その仕事に当てる
力量がある人を、新たにスタッフとして雇い入れる
力量のある人(会社)に外注する
   訓練を行った場合は、力量が得られたこと【有効性】を確かめて下さい。また、その他
  の手段で力量があるスタッフを確保した時も、その人の力量を確かめて下さい。
d) 力量を証明する記録を保管して下さい。
   これには、教育の記録、訓練や指導の記録、経験の記録、力量を判定した記録があり
   あります。




 7.3 スタッフの認識

   会社は、スタッフ(社員以外の、自社の指揮下にある人を含む)に、次のことを正しく認識して
   もらうために、周知、訓練、指導などを行って下さい。
a) 品質方針
b) 自分の仕事に関係する品質目標
c) 製品・サービスの品質の向上【パフォーマンスの向上】と、目標・課題の達成【品質マネジ
   メントシステムの有効性】のために、自分がどのような役割を担っているか。
d) 決められたルールを守らないと、どんな問題が起こるか.。




 7.4 情報の交換

   会社は、社内で、仕事に必要な情報(業務指示・連絡・報告・共有データなど)が正しく伝わる
   ように管理をして下さい。
   まだ、社外の関係者との情報交換が正しく行われるように管理して下さい。
   (顧客との情報交換については8.2.1にも定めています)

   それぞれの情報のやり取りについて、次の内容を決めて下さい
a) やり取りする情報の内容
b) 情報のやり取りの実施時期
c) 情報のやり取りの相手
d) 情報のやり取りの方法
   (例えば、定期的な会議、文書の発行、日常的な情報交換、意見や情報の受付、情報の
    収集 など)
e) 情報のやり取りを行う人(社外との情報交換については、担当や窓口となる人)




 7.5 文書・記録


 7.5.1 必要な文書・記録

   会社は、必要な文書・記録を用意し、運用して下さい。
   必要な文書について、次のように考えて下さい。
a) ISO9001が求めている文書と記録 (これらは必ず作って下さい)
b) 品質に関わる仕組みを動かし、良い結果を出すための文書と記録。具体的に何が必要か
   は、それぞれの会社が判断して決めて下さい。

  <補足説明>
   必要な文書や記録の種類、またその内容の詳しさは、会社の実情に合わせて決めて下さい。
   特に、次のような事情によって、その程度が異なります。
◆会社の大きさ、業種(製造業、サービス業、販売業、設計開発など)、取扱う製品の種類
◆仕事の複雑さ、仕事の繋がりの複雑さ
◆スタッフの能力や熟練度



 7.5.2 文書・記録の形式

   各々の文書・記録について、以下の点を決めて下さい。
   これらが必要かどうかを含めて(必須ではない)、それぞれの文書・記録に適した方法を選んで
   下さい。
a) タイトル、文書番号、改訂番号など(見分けをつけるための表示)。
   日付(制定日、改訂日、発効日など)、作成者などの、基本情報の記載。
b) 文書・記録の記述の形(例えば,文章で記述、ソフトウェアのバージョンの指定、図面など)
   文書・記録の記録媒体(例えば,紙,コンピュータのファイル)
c) 文書・記録を作成または改訂する時に、(決められた人による)内容の点検 【レビュー】
   必要か。 また、責任者による承認は必要か。
   行う場合には、誰がどのような方法によって行うかについて決めて下さい。
   なお、このような点検【レビュー】・承認では、次のことを確かめます。
   文書・記録の内容が、仕事の目的に見合っているか【適切】
   結果として、製品の品質やその他のルールを守れるか【妥当】



 7.5.3 文書・記録の管理

 7.5.3.1 文書・記録を使う

   文書と記録を、次のように管理して下さい。
a) それぞれの文書・記録を使う人が、必要な時に使えるように、文書・記録を配置して下さい
   (またはコンピュータで見られるようにして下さい)。
b) 文書・記録の、セキュリティ対策を行って下さい。(機密情報の流出、不正なアクセス、
   電子データの破損などの防止)


 7.5.3.2 文書・記録を保管する

   文書と記録について、次のことを行って下さい(該当する場合)。
a) 文書・記録はルールを決めて配付して下さい(紙の文書)。
   コンピューター内の文書・記録へのアクセスを管理するためのルールを決めて下さい。
   文書や記録を検索できるように整理して下さい。
   文書・記録使用方法のルールを決めて下さい。
b) 文書・記録の保管方法を決めて下さい(責任者、保管場所、ファイリング方法など)
   文書は、読めなくならないように保管して下さい(あるいは、読めなくなりそうだったら
   すぐに再発行して 取りかえるようにして下さい)
   記録を保管する際は、劣化したり破損することがないように保管して下さい。
c) 文書の改訂するためのルールを決めて下さい
   文書の最新版が確実に使われるためのルールを決めて下さい(配付方法、コンピューター
   による閲覧、版の区別の仕方、その表示の仕方など)
d) 記録を、期限を決めて保管して下さい。
   記録の保管期間、保管方法などを決めて下さい。
   記録の保管期限が終了した後は、ルールを決めて廃棄して下さい。

   外部で作られた文書や記録でも、仕事で使用するものや、保管が必要なものは、社内で作った
   文書や記録と同じように管理して下さい。
   品質の証拠になる記録や文書は、不正な改竄が行われないように、管理して下さい。

  <補足説明>
   アクセスの管理では、コンピューター内の文書・記録へのアクセスの許可と制限の方法、その
   文書(データ)の変更の許可と権限などについて決めて下さい。




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