らくらくISO9001講座


  
ISO9001
2015年版
【製造業編】

灰字は、JISが用いている用語
緑字は、本文にない、この口語訳独自の補足


6章 仕事を計画する
(改訂 2016.02.15)

6.1 リスクに備える/機会を生かす
6.2 品質目標とその活動の計画



 6.1 リスクに備える/機会を生かす

 6.1.1 リスクや機会を洗いだす

   会社は、仕事の仕組みやルール【品質マネジメントシステムの計画】を決めるのに先立って、
   その仕事にどのようなリスクがあるかを説明できるようにして下さい。
   また、その仕事が、どのような機会に繋がるかを、説明できるようにして下さい。

   リスクに備え、機会を生かす目的は、次の通りです。
a) 会社の方針や目標を実現する。製品・サービスの品質を確かなものとする。そのことで、
   顧客の満足を得る。【品質マネジメントシステムが意図した結果】
b) 望ましい結果を、さらに良くする。
c) 望ましくない事が発生するのを防ぎ、あるいは被害を小さくする。
d) 改善して、より良い結果を出す。

   リスクと機会をリストアップする際には、次の項目を考えに入れて下さい
   4.1で整理した、会社の状態
   4.2で整理した、仕事に関係する人や会社【利害関係者】との約束や期待されていること


 6.1.2 リスクへの対策/機会を生かす活動

   会社は、リスクや機会について、計画的に取組んで下さい。
a) 前の条項でリストアップしたリスクや機会のそれぞれについて、「リスクへの対策」または
   「機会を生かす活動」を、計画を立てて行って下さい。
b) 次のことも、計画的に行って下さい。
  1)  このような対策や活動を、通常の仕事の流れの中に、ルールや計画として組み入れ
      て下さい。【品質マネジメントシステムプロセスへの統合】
  2)  「リスクへの対策」「機会を生かすための活動」が、うまく行ったか確かめて下さい。

   リスクへの対策や機会を生かす活動は、予想される問題の大きさや、得られるメリットに見合った
   レベルで行って下さい。 

  <補足説明1> 
   リスクへの取組み方には、次のような種類があります。
@ リスクを避ける(方法を変える、あるいはやろうとしていることを止める)
A メリットを得るためにリスクを受け入れる(得られるメリットとの比較で、そのために発生
   するリスクは、やむを得ないものと考える)
B リスクの発生源をなくす(リスクの原因となる、物、人、手法などを使わない)
C リスクを小さくする(対策をして事故の発生確率を下げる。または、被害が小さくなるよう
   に対策しておく)
D リスクをいくつかの会社で共有する(関係する会社の間で、そのリスクがあることを認識し、
   分散して受入れることで、各社のリスクを軽減する)
E データをもとに判断した結果として、リスクをそのままにする(そのリスクの発生確率や
   結果の重大さをデータで見極めたうえで、リスクをそのままにすることを決める)

  <補足説明2> 
   機会を生かすための活動は、例えば、次のような結果に結びつきます。
@ 新たな方法を実施する
A 新製品の発売
B 新たな販路の開拓
C 新たな顧客を見つける
D 新たに他の会社と手を結ぶ【パートナーシップの構築】
E 新たな技術の使用
F  会社のニーズや顧客のニーズに答えるための様々な活動




 6.2 品質目標とその活動の計画

 6.2.1 品質目標の決定

   会社は、品質目標を決めて下さい。
   この品質目標は、会社の中にグループを作って、そのグループごとに決めて下さい。
   グループには、次のようなものがあります(それぞれの役割を考えて、適切なグループを決めて
   下さい)
@ 仕事の単位ごと(担当業務や部門ごと) 【機能】
A 組織の階層ごと(部、課、係などの階層)【階層】
B 同じ仕事に携わる人を集めたグループ(特定の仕事、製品、サービス、プロジェクトに
   関わる人のグループなど) 【プロセス】

   品質目標は、次のような内容にして下さい。
a) 品質方針と辻褄が合っている(品質方針を実現する手段となっている)
b) 目標の進み具合や結果が、数値やその他の方法で判かる。
c) 守るべき基準やルールを考えに入れる(製品・サービスに求められている品質レベル、
   顧客との約束、法律上の決まりなど)
d) 製品・サービスの品質に関する内容を含んでいる。また、顧客により満足してもらうため
   の内容を含んでいる。

   品質目標は、次のように管理して下さい。
e) 目標の進み具合をチェックして下さい。【監視】
f) 目標で定めた内容や結果を、関係者に伝えて下さい。【伝達】
g) 状況が変わった場合には、目標の内容を変更してください。【更新】

   会社は,品質目標を文書で定めて下さい。
   品質目標の中身を変更した場合は、この文書も改訂して下さい。【維持】


 6.2.2 品質目標を達成するための計画

   会社は、品質目標を達成するための、活動の計画を作って下さい。
   この計画では、次のことを決めて下さい。
a) 実施する内容
b) 必要なスタッフ。 そのために使用する設備、ソフトウェアやサポート体制(通信手段、
   外注業者など)。【資源】
c) 責任者
d) それぞれの項目が完了予定時期
e) 実施した結果を評価する方法




 6.3 仕組みの変更

   会社の仕組みやルールを変更する時には、そのことで問題が発生しないように、変更のための
   段取りや、確認すべきことを計画して、行って下さい。【計画的な方法】

   仕組やルールの変更を計画をする時には、以下のことを考えに入れて下さい。
a) 仕組みやルールを変更する目的 
   変更によって得ようとしている結果、変更の影響によって起こる結果。
b) 仕組みの一部を変更することで、仕組みの全体のバランスが悪くなったり、他の部分と
   矛盾が起こらないようにして下さい。【品質マネジメントシステムの完全性】
c) 変更の実施や検証に使用する、スタッフ、建物や設備。
d) 変更される仕事の責任・権限。また、仕組みやルールの変更により、責任・権限の変更は
   必要ないか。



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