†貧乏カメラ館†

OLYMPUS XA2 未評価 発売年月 1980年?/標準価格 ¥2.8800
秀逸!元祖(じゃない)カプセルカメラ


(2001.04.25/2005.06.03)

レンジファインダー機だったXAの廉価版。しかし、このデザインでレンジファインダー&絞り優先AEだったXAつ〜のも無茶だねえ(^_^; オリンパスでなきゃ出せないでしょう。ということで、ゾーンフォーカスでプログラムEEにスペックダウンしたXA2が発売された。要するに廉価版なんだけど、実は価格は7000円しか違わない。スペックほどの価格差はないのね。ちなみに、レンズはXA2の方が評判が良い(と言うよりも、XAのレンズの評判が良くない)。

XAシリーズには元祖XA、XA2、XA3、XA4、XA1の5種類がある。XA3はXA2をオートローディング+DX対応にしたもの、XA4は28mmレンズ+マクロ機能という個性的なモデル、XA1はセレン光電池のエントリーモデル。中古市場では、XA2が一番タマ数が多くて値段もこなれている。XAはそれなりに高い。XA3はレアだけど不便なので、それほど高くない。XA4はかなりレアで個性的なのでXAよりも高値が付くことがある。XA1もレアはレアだが基本機能が低いのでそれほどの値段にはならない。

●使用感

なかなか変わったテイストのコンパクト・カメラだ。もちろん、グッドデザイン大賞を取ったカプセル・デザインは秀逸だが、中身もかなり個性的。まず、このクラスのコンパクトとしては異例の、手動巻き上げ、ゾーンフォーカスというのが目を惹く。これは元来低価格機に多い仕様で、決して売れ筋スペックではない。ライバル機のCanon MCが自動巻き上げ、AFなのと対照的だ。スペックだけで比較すると見劣りするのは事実。かと言って固定焦点ではない。あえてゾーンフォーカスにしたところが潔くないと言うか、味があると言うか…

このくすぐったいような仕様が、結果的に良かったのではないか。XAシリーズは、お洒落なデザインから受ける印象とは逆に、マニュアルカメラのテイストが随所に残っている。巻き上げ時やISO感度設定変更時のカリカリ音はかなりセクシーだし、レリーズ音もメカの息づかいが聞こえてきそうだ。シャッターボタンはフラットでフェザータッチ。普通のコンパクトカメラのつもりで押すとかなり使いにくいのだが、ボディの上下を摘まむように押すと、非常に軽快(これは個体差が物凄くあるようだ)。最近のコンパクトと違い、操作している実感があるが嬉しい。安っぽい可愛いさだけでなく、愛しくなるような存在感を持つカメラだ。

Canon MCも良いカメラだと思うが、それはあくまでも現在に至るコンパクトカメラの進化の一課程に過ぎない。しかし、XAシリーズは別系統の進化を辿った個性的な種のような気がする。何しろ、元祖XAは距離計連動式なんだから。結果的に絶滅してしまったが(μはコンパクト本流に戻った)、最近のレトロブームの中で、こうした種が蘇えりつつあるようにも感じる。

撮影重量300g(ストロボ含む)は、現在の単焦点コンパクトと比べるとかなり重い。しかも数字以上の重さを感じる。コンパクトカメラとしてはデメリットかもしれないが、一種畏敬の念を起こさせる重み。趣味的には心地好いが、実用には恐れ多い。少なくともイベントの人ごみでガシガシ使うものではない。ゆったりとした旅で、素敵な風景に出会ったときに使いたいカメラ。気持ちにも肉体にも余裕がないと使えない。

主要諸元
発売年月 1980年ころ? 定価2.8800円(ストロボ別)
型式 [カプセル][ゾーンフォーカスEE機]
レンズ ZUIKO 35mm/F3.5
シャッター 電子シャッター 2"〜1/750"
ピント調節 3点ゾーンフォーカス
最短撮影距離 不明(多分1mくらい)
露出制御 プログラムEE
測光連動範囲EV2.6(F3.5・2")〜EV17(F14.1・1/750")
露出補正 なし(フィルム感度で補正可能)
フラッシュ 脱着式 A16/A11(両方ともオートストロボらしい)
ファインダー ?% x0.?
外観 102×65×40mm/200g(電池別)
電池 LR44×2
仕様出典 '84カメラ総合カタログ Vol.79
その他 ◎ボディカラーには黒の他に赤(ハートレッド)、青(シティブルー)、グレー(アーバンホワイト)の3色がある。他の色もあるかも知れないが未見。
◎専用ストロボにはA16(¥9000)、A11(¥6000)の二種類がある。XA1用のA9Mも使えるかも知れないが、多分オート調光はできない思う。

Longrun reports ...

2002.08.21/帰省のお供(メインはPentax SV)。熱海でオンボロ旅館を撮る。仕上がりを見たら、実にいい味が出ていた。

2002.08.25/名古屋の「どまつり」に持ってく。良くも悪くも工芸品。傷を付けたくないし、意外に重量あるしで、実用でガシガシ使うにはちょっとかなあ。本気で使うなら、ストロボ外してネックストラップを使うべきだろうが、それでも傷だらけにはなるだろう。惜しいと感じてしまうのは、実用品としては致命的か。

2002.08.27/試写結果上がる。まあまあかな。シャープネスも発色もいま一つで所詮コンパクトの域は出ないが、ゾーンフォーカスにしてはまずまずの仕上がりではないか。ただ、実用本意ならティアラとかSlim/T、Nikon miniを選ぶだろうな。難しいところだ。

2002.09.24/【二番機入手】9台2000円のジャンクセットの中の一台。シャッター切れず。恐らく、回路の断線ではないかと思われる。ストロボなしで外装もかなり傷だらけ。値段考えたら文句は言えないけど。復活の見込みは若干残っているが、ドナー用かな? ちと判断に悩むところ。

2003.02.13/【三番機入手】故障品を1500円で落札。コミコミで2500円くらい。シャッター切れず。ストロボ付きで外装も比較的奇麗。早速修理を試みた所、シャッターは切れるようになった(カメラ修理記参照)。ストロボは発光しないが、まあ、よい買い物だったと思う。ストロボの修理は相当困難だと判明(樹脂に埋まったリード線が根元から引きちぎられている)。

2005.06.03/【グレー入手】何台目か忘れたけど、初めて黒以外の機体を入手。しかも、一番レアなグレー(正式にはアーバンホワイトというらしい(^_^;)。ジャンク扱いでバカ安だったが、基本動作はOK、ファインダーにカビが目立つ程度。これは良い買い物だった。

2006.04.12/【ブルー入手】これも格安で入手。ジャンク品でシャッターが落ちないけど、そんなことは問題にならない。どの道、実用目的ではないし、近い内にXA2の分解を予定しているので、多分自力修理は可能になるだろうし、何よりこれもバカ安だったからね。あとは赤、そして超レアのパールピンク…って、そーゆー道に入るのは避けたい。ぜひ避けたい。


【貧乏カメラ館目次】 【ホーム】