ようこそ我が家へ

 

1984年11月、親戚から近所のお宅に子犬がいるよ、と知らせを受け、

父と妹が子犬を貰いに出かけました。

実はほんの数ヶ月前に突然原因もわからぬまま、愛犬ロンを亡くしたばかりの私は

新しいわんこを迎え入れる心の準備も出来ぬまま、中途半端な気持ちのまま

その日を迎えました。

仕事から戻ったそんな私を迎えたのは、ころころとしたふさふさの毛の長い子犬

が2匹。こげ茶色でお鼻の真っ黒な子犬と、白と黄茶の混じった子犬。

『え〜? 2匹ももらってきたの?』

実は父と妹は焦茶色で鼻黒の子犬1匹をもらって帰るつもりだったのです。

ところが、先方のおばさんが

『この子はとても愛嬌があって、人気者なの。この子も連れて帰って。

2匹も世話できなかったらどこかにやってくれはったらいいから。』

とこげ茶の子犬を抱く妹の胸にもう1匹白と茶色の混じった子犬を押し付けたのだそうです。

無理やり抱かされてしまった妹と父はそのまま2匹を連れ帰ってきたのです。

一応父は近所の親戚に 『子犬いらんか?』 と問いましたが、いらないという返事。

とにかくころころふさふさかわいい子犬です。

『まぁ、いいやん。2匹でも。 犬小屋も2箇所用意してあることだし。』

とても手放すことができないくらいのかわいらしさ。

 

 

 

 

ロンに申し訳ない。まだ2ヶ月ほどしかたってないのに・・・

そう思っていた私も目の前の小さなかわいい子犬を見ているうちに、

柔らかくほどけていきました。

ロン、ごめんね。 ロンの分も幸せに長生きしてもらうからね。

この2匹。姉妹ですが、全然性格は違うようです。

こげ茶の子犬は表情もシャンとしていて、とても賢そうです。

白茶の子犬はひょうきんですが、どこかおっとりしていてぼぉっとした感じがします。

こげ茶の子犬の名前はすぐに決まりました。ニーナ。何かのマンガの本で見た名前

が気に入っていたので、すぐに命名されました。

2匹分の名前を考えるのは思ったより大変で、もうひとつの名前がなかなか決まりません。

どうする? 何にする?

いろんな名前が候補にあがりましたが、最終的にチコと命名。

漢字やったら知性の子かな、それとも智かな、賢くなりますように。

のほほんのんびりおてんぱなチコと、しっかりきりっとやんちゃなニーナ。

姉妹で一緒に養女にきたせいか、夜鳴きもありませんでした。

すぐに新しい環境になじみ、庭でおすもうをとったり、草花をかじったり、木をかじったり、

元気にすくすくと育ちました。 妹が教育して、おすわりとお手だけは覚えましたが

他にはなにもできない2匹です。けれど留守がちな我が家を守るりっぱな番犬になりました。

って・・・チコは実はあんまり番犬していなかったのですけどね。  ま、いいかな。