ペロのあかちゃん

            

ペロは我が家に来てから1度だけ元のお家、だんな様のいるおうちにお里帰りをしました。

そして数ヵ月後、かわいいかわいいあかちゃんを産みました。

3匹のシャム猫の赤ちゃん!それはそれはかわいらしかったです。

白くって耳と手足と尻尾の先がグレーです。

ころころじゃれあう3匹の子猫ちゃん。どれほど愛らしかったことか!

ある夜、どこへお出かけしていたのでしょう。 夜遅く母と私と妹が帰ってきました。

ペロと子猫3匹が出迎えてくれました。

庭に出してあげよう、と裏口を開けました。

大喜びでじゃれながら庭に飛び出していく子猫ちゃん。

そのとき突然悪魔が襲ったのです。

野良猫?どこかの飼い猫?

とにかく暗闇に潜んでいた猫が、子猫を襲いくわえて走ったのです。

 

 

フー!!! ペロは全身の毛を逆立てて怒っていましたが、

残念ながらリードでつながれているので追うことができません。

私たちの叫び声のせいか、数メートル先でその猫は咥えていた子猫を放り出して逃げました。

慌てて駆け寄り抱き上げたその子猫は首を噛まれていました。

相当噛まれたのでしょう。深い深い傷でした。

獣医さんへ行くとかそういう話は出ませんでした。子供だった私には両親がしてくれる手当てを見守るだけでした。

その子猫は神経を切断されてしまったのか、半身が麻痺してしまいました。

他の子猫と一緒に遊ぼうと一生懸命歩こうとするけれど、走ろうとするけれど、

身体はぴょこぴょこいびつな動きしかできません。首は曲がったままです。

小さな小さなその身体。自分に何が襲ってきたのか。どんな不幸が飛び込んできたのか。

どうして兄弟と同じように遊べないのか。動けないのか。

痛かったろうと思います。辛かったろうと思います。

数日後、その子猫は息を引き取りました。

どうして猫が子猫を襲うの? どうして? なんで? 

それからしばらくしてもう1匹の子猫の元気もなくなってきました。

 

 

そして原因がわからないままその子猫も亡くなってしまいました。

残った1匹の子猫は元気に育ち、やがて、お父さんにゃんこのおうちへと引き取られていきました。

あの時の光景は今でも覚えています。

目の前で猫に襲われた子猫の映像。子供だった私にはとてもショックで、悲しい事件。

うれしい子猫の誕生がとても悲しい思い出になってしまったのです。

どうして、ですか? ねずみとでも間違えたのですか? なんで猫が子猫を襲ったの???