第9話 お友達



あたちはあんまりお友達と遊ぶのが得意ではありません。
ご近所にもほんの少ししかお友達がいないのよ。
ぜぇんぶボーイフレンドなの。



えっとね、 ごんちゃんでしょ、チビちゃんでしょ、コロくん、ポチくん
ムクくん、ボンバーくん、それからそれから・・・
あ、チャッピーくんも大好きだったんだけれど
もうお空にいってちまったの。



おかあさんは
「マリンはわんこの中で育ったのに、どうしてわんこと遊ぶのがへたくそなのかなぁ」
って言います。
どうちてかちら?
あたちにもわからないわ。

あたちはお友達に会うとクンクンキャンキャンって言って
おかあさんをひっぱるみたいにちて走っていくの。
でね、ピョンピョン!って飛び跳ねて
「おはよー!!!」 とか 「こんにちは〜!」
とかご挨拶をちて、ほんの少しだけ遊ぶのよ。
おかあさんが「もうおしまいなの?」って言うくらい短いの。
それでおしまい。



おかあさんはちょっと前まで
「わんこと一緒に遊べたら楽しいよ」
って、あたちがわんこと遊べるようになればいいなって
プチオフ会とかに連れて行ってくれたりもちたの。
でもね、あたちはダメなの。
やっぱり苦手なの。
女の子にはワンワン!って怒ってちまうこともあるし
最後は隅っこでじっとちているだけになってちまって
「早く帰りたいな・・・」
になってちまうの。

公園とかにおかあさんと遊びに行っても
たくさんのわんこが遊んでいるところでは遊べないの。
隅っこを歩いて、わんこが居ないところに行こうとちてしまうのよ。
「ここは止めて他で遊ぼうよ」ってね。

最初は残念そうだったおかあさんだけれど
最近はもういいよって言ってくれるようになったの。
「これがマリンだものね、わんこと仲良くかけっことかプロレスが出来なくても
マリンは毎日が楽しいんだもの、これでいいよね」
って言ってくれるのよ。
うん! あたちはかけっこやプロレスはおかあさんとするのが好き。
それでいいよね。



だけど、よそのわんちゃんに出会ったときに
ワンワン!って怒ったりちまうのはいけないことだよね。
あたちの悪いところだね。
努力ちて我慢できるように頑張ることにするよ。
忘れてワンワンって言ってちまうかもちれないけれど
そのときは<ごめんなさい!>
でもでも、頑張るからね、見ててね。
犬生、ずぅっとお勉強だよね。




(2003年9月21日)