第6話 お山探検


あたちのおうちのすぐそばに生駒山というお山があります。
あたちはそのお山を探検するのが大好きです。
土曜日や日曜日、おかあさんのお仕事がないときに連れて行ってもらいます。

お山には小川がちょろちょろ流れていてカニさんがいるよ。
お山の藪の中にはたぬきさんやイノシシさんや山鳥さんが隠れています。
あたちはクンクンちて、追いかけるのがだぁいすき。
山鳥さんとたぬきさんは見つけたことがあります。
一生懸命追いかけたけど、後ろでハァハァ言いながらリードを持っている
おかあさんの走るのが遅いから逃げられちゃったの。
おかあさんさえあたちくらい走れたらきっとつかまえられた思うの。



死んでいるイノシシさんは見たことがあるけれど
生きているイノシシさんはまだ見たことがありません。
けれど1度だけすぐそばまで行ったことがあるよ。
すっごく怪しげな強烈なにおいがちたので一生懸命追いかけたら
藪の中から「ヴゥゴヴゥゴ」みたいなヘンな声が!
そちたら、後ろをついてきていたおかあさんが
「マリン!イノシシ!逃げよう!!!」
と恐怖一杯のお顔をちてあたちのリードを引っ張って
お山の細道を駆け下り始めたのです。
おかあさんとちたらもうびっくりするくらい速い走り!
「何?どうしたの?もう少しでつかまえられるのに。」
ちょっとそんな気もちまちたが
あんまりお母さんが真剣なお顔をちていたので
あたちもおかあさんの後ろを一生懸命走って逃げたの。
その道は道幅がところどころ30cmもないくらいの崩れかけた道だったので
カーブのたびにおかあさんはすべって隣を流れる小川に落っこちてちまっていまちた。
それでもまた立ち上がって必死で逃げていたけど
とうとう3回目には小川に落ちたまま上がってこれなかったようで、
その場所にしゃがみこんでちまいました。
そちて後ろを見て
「良かった・・・イノシシ追いかけてこなかったのね。」
おかあさんが小川から上がってこないので
ちかたなくあたちは小川に下りて
「あたちがひっぱってあげるよ。」
おかあさんはあたちのリードにぶら下がるみたいにちて
やっと道まで上がれたのよ。
ほんとにもうおかあさんったらどんくさいんだから。
それ以来、イノシシさんと出会うチャンスがありません。
ちょっと残念な気もするけど
イノシシさんってあたちよりもずぅっと大きいらちいから
会わないほうがいいのかもちれません。

お山に行くとあたちは真冬でも小川でじゃぶじゃぶ水遊びをちます。
川のお水はいつもとても冷たいけれど
気持ちいいの。
小川じゃぶじゃぶだとおかあさんは黙ってみていてくれるけれど
その先の砂防ダムの手前にある沼地にはいると
「マリン、泥んこになるよー。」
と言います。
砂や泥がいーっぱい溜まっているからね。
時々の時々、1回か2回
その泥の中で遊んでいてあんよが全部泥に埋まってちまって
抜け出すのが大変だったりちたこともあります。
おかあさんは
「マリンー!泥んこぉ!いったいどこの野良ちゃんなの?」
「お嬢様のはずが・・・」
とか言うけれど、あきらめているのかあんまり怒ったりはちません。
けれどおうちに帰ったらあたちの大嫌いなシャンプーをちます。
せっかく身体中にお山のにおいがついたのにね。
あたちはシャンプーが苦手だしそれがちょっといやなのです。



とにかくお山はとーってもおもちろいです。
お山に行くと1時間でも2時間でも3時間でも遊んでいられます。
あたちは子供の頃からこのお山で遊んで育ったの。
野生児とか
「ほんとに女の子なの?」とか言われるくらいやんちゃらしいけど
それはあたちのせいではないと思っています。

お山で遊びたいお友達がいたら連絡くださいね。
お山を案内ちてあげるからね。
きっとみんな好きになると思うよ。
これはハマッたら止められない探検だよ。

(2003年4月20日)