ごめんねペス

 

そういう時代だったと言えばそれまでですが、

今の時代にあてはめればペスの飼い方はとてもおそまつなものでした。

ご飯と言えば、いつも残り物です。

野菜の煮汁にごはんだけ、味噌汁にごはんだけ、かつおぶしとたまごとご飯・・・

時々ちくわやかまぼこつき。

私たちの晩御飯がカレーライスだったりすると、ペスもカレーライスです。

当時はねぎはわんこにダメだとか、そういう話は全然聞きませんでした。

だから、何も知らず、カレーライスが大好物の私は 

『ペス〜!今日はご馳走やよ。カレーやで!!! お肉も入ってるよ〜!』

ペスは食べた後貧血を起こしていたのでしょうか。体調を崩していたのでしょうか。

庭の東側にある物置小屋につながれていたペス。

食べ終えるのを待つこともせず、さっさと家に入ってしまっていた私は何も気づきませんでした。

ペスの小屋は庭の東側にある物置小屋の西側にありました。

終日くさりでつないでいて、たまに学校から帰ったら庭に放してやったりしていました。

夏は西日で大変暑かったはずです。

辛かっただろうと思います。何も考えていなかった・・・かわいがっていたのは確かですが、

思いやっていたつもりでしたが、今から思えば全然配慮が足りませんでした。

中学校の2年生になった年、私は塾に通い始めました。 自転車で15分くらいです。

塾が終わると近くの公衆電話から家に電話をかけます。 『 リーン 』 

1回呼び出し音を鳴らすと切ります。ほとんど毎日のことなので電話をかけたらもったいない。

それが合図で、その電話の後、母が夜道をペスを連れて迎えに来てくれるのです。

その電話の音でペスがワンワン鳴き始めます。

『お迎えだね、出発、出発!』

たまに母が出かけるのに手間取っていたりしたら、家をでてすぐに私に出会ってしまいます。

『いやだ〜、もっと行くんだ〜!』

大歓迎の後、そういってだだをこねていました。

連れて行ってあげたのかな。それとも引きずって帰ったのかな。

忘れてしまった・・・

ペスは男の子だし、お散歩には何時間だって行きたかったはず。

だけど、そんなに長いお散歩に連れて行ってあげた記憶はありません。

身体の大きなペスを私や妹がお散歩に連れて行くのは結構大変でした。

ころんだことも何度かありました。

ペスは優しいわんこだったけど、お散歩になったらうれしくなってついついぐいぐい引っ張ってしまうのだよね。

もっとたくさん連れて行ってあげないといけなかったよね。

お散歩がしたくて迎えたはずのペスだったのに、お休みの日くらいしか連れて行ってあげなかったかもしれません。

ごめんね、ペス。

おいしいものも食べさせてあげなかった。お散歩にもあんまり連れて行ってあげなかった。

いつも庭につないでいて、暑さも寒さも我慢ばっかりだ

った。お留守番ばっかりで寂しかったね。

もしかしてペスが生まれ変わってマリンになったのかな?

それだったらいいな。ペスにしてあげられなかったこと、全部マリンにしてあげるよ。