第7話 あたちは悪くないよ〜


うちのおうちではわん家族はお外っていう決まりがあったの。
みんなちゃぁんとわかっていたからおうちの中に入ったりちなかったわ。

ある日、なおちゃんがあたちを抱っこちてくれるって言うの。
抱っこは大好きだけれど、どうちてかなぁ。
そちたらなおちゃんはあたちを抱っこちてお2階へ連れて行ったの。
ちょっとなおちゃん、ダメでしょー。
あたちはおうちの中に入っちゃいけないんだよ。
なおちゃんはにこにこちてるけれど、見つかったら叱られるに決まってる。
おかあさんはお仕事に行ったけど、のりちゃんがまだいるはず。
あたちはもうドキドキよ。
絶対に叱られるわ。
どうちてこんなことするのかちら、って思ったわ。

なおちゃんはお2階の部屋の襖を開けて
中にそっとあたちを降ろちたの。
でね、ひどいのよ。あたちをお部屋の中に閉じ込めてちまったのよ。
どうちまちょ。ここはどこなの?
クンクン、クンクン、うろうろ、うろうろ、そわそわ。
そちたらベッドにのりちゃんがいて飛び起きたの。
「チコ、何してるの!?」

もうあたちはびっくりちてしまって
「あのね、なおちゃんがね、あたちをね、抱っこちて、
ここに連れてきて閉じ込めてちまったの。
あのね、あたちはね、おうちに入れてほちいなんて
言ってないよ。なおちゃんがね・・・」
あたちは一生懸命説明ちたわ。
だってこれで叱られたら、つまらないもん。
こういうのを<濡れ衣>っていうんでちょ。
違うかな。

のりちゃんは怒らなかった。
ただびっくりちたみたいで、あたちをじぃっと見てた。
そちたら襖の向こうからなおちゃんのクスクスっていう
笑い声が聞こえてきたわ。
襖がスーっと開いて
「おねえちゃん、びっくりしたぁ?」
なおちゃんはおなかを抱えて笑いだちた。
襖を少しだけ開けて覗いていたのね。
のりちゃんも一緒になって笑いだちたわ。
何よ、それ〜! ちょっとひどいんじゃない?

あたちは大急ぎでなおちゃんの横を通りぬけて
階段を駆け下りてお庭に飛び出ちたわ。

のりちゃんがなかなか起きてこないから
なおちゃんが起こそうとちたみたいだけれど
そんなことにあたちを使わないでほちいわね!
あたちはちゃんと家族のルールっていうのを守っているのに
のりちゃんもなおちゃんもぜぇんぜんダメ。
もっとしっかりちてもらわないと!

でもせっかくおうちの中にいれてもらったのに
ちょっとくらい探検ちてくれば良かったなぁ
なんて後から思ってちまいまちた。