第3話 お勉強は苦手

あたち達が子供だった頃
のりちゃんはお仕事で朝早くに出かけて
夜遅くに帰ってくる毎日だったの。
おまけに土曜日もお仕事があったり、なかったり。
だからあたち達の教育係はなおちゃんのお仕事になったみたい。

おすわりとかお手とか、今なら簡単にわかるけれど
その時は何を言われているのかさっぱりわからなかったわ。
無理やりお尻を押さえつけられて座らされたり
お手手を持たれてぎゅーって握られたり。
「これがおすわりよ」「これがお手よ」
いったい何の事なの〜?って感じよ。



そのうち、ニーナが「えらいね、お利口だね」って
誉められておやつをもらうようになったの。
どちて?どうちてあたちにはおやつをくれないの?
あたちはそっとニーナをみていたの。
で、やっとおすわりとお手の意味がわかったってワケ。
「なぁんだ、そんなことだったの」ってあたちは思ったわ。

そちて、それにちてもニーナって賢いなぁ、って感心しちゃった。
お勉強ではニーナには絶対に勝てないわね、って思ったの。
あたちはお勉強は好きじゃないの。
すぐにタイクツになってちまうの。
だからむずかちいことはニーナの真似をちたらいいんだって
ことにちて、考えるのはやめにすることにちたの。
そのほうが簡単だち、ラクチンだちね。

番犬って言うのもよくわからなかった。
ニーナは知らない人が門のところに来たら
「ワンワン、怪しいやつだ」ってすっごく怒るの。
どちて怒ったりするのかちら、って不思議だったけれど
そうするとまたまたニーナは「お利口さんね」って誉められるわけよ。
何でもいいから真似をちようとそう決めていたあたちは
ニーナの真似をちて「ワンワン、怪しいやつめぇ!」って怒ることにちたの。
でも本当に怒っているわけじゃないから
あたちはすぐにワンワン言うのを止めて
「さぁ、お仕事は済ませたわ。」

それでもちゃんと番犬って言うのををちている事になったみたいで
あたちもちゃぁんと「お利口ね」って誉めてもらえたよ。

ニーナは本当にお勉強の得意な子だったわ。
あたちは・・・お勉強が好きじゃないのよぉ。