第13話 にょろにょろ退治

あたちのおうちの石垣にはにょろにょろが住み着いているの。
夏になるとお庭をお散歩ちてたりするのよ。
にょろにょろってわかるかちら。
へびっていう生き物、知ってるかな。
あたちはもう何度も見かけていてぜんぜんへっちゃら。
あ〜ら、またお散歩ちてるわ、ってそんな感じよ。



マリンが1歳の夏の日
「ギャー」って言うのりちゃんの悲鳴が聞こえて
おとうさんが「どうした?」って慌てて見に来たの。
あたちもムーもマリンも「何?なにぃ?どうちたの?」って
のりちゃんのところに走って集合ちたの。
そちたら丁度のりちゃんのおめめの高さくらいの木の枝に
長いながぁいにょろにょろがいたの。
シマヘビっていうんだって。

「なんや、へびか・・・」
そういっておとうさんは長い棒でにょろにょろを引っ掛けて
お庭にポイってほうり投げたわ。
それを見ていて俄然張り切ったのはマリン!
「ワンワンワン!」
「なんだこれ〜?あたちに任せて!」
「やっつけてやる!」
マリンが頑張っているのに
あたちたちが応援ちないわけにはいかないでちょ。
あたちもムーも早速マリンの仲間に加わった。
にょろにょろを三方から囲んで「ワンワンワン!」
もう大騒ぎよ。
けど本当の事を言うと、あたちはちょっと怖かった。
だってにょろにょろは頭を持ち上げてまっかな舌をチョロチョロだちて
あたちたちを交互ににらみつけてたんだもん。
だからちょっと飛び掛るふりをちて、地面をカキカキするだけで
どうちてもにょろにょろを捕まえに飛び掛れなかったの。
ムーも怖かったみたいで、あたちとおんなじようにちてたわ。
のりちゃんは「止めてぇ!ヤメナサァイ!」
「父さん、なんでこんなことするの?毒蛇だったらどうするの?」
って大騒ぎよ。



その時マリンが「あたちにまかちといて!」
「やっつけてやる〜!」って言って
にょろにょろに飛び掛って噛み付いたの。
すっごい勇気ね。怖いもの知らずだわよ。
マリンはにょろにょろの胴体の真ん中より少し上を咥えていた。
そちてにょろにょろが反撃ちたの。
頭を持ち上げてマリンに噛み付こうとちたのよ。
「マリン、危なぁい!」
マリンはブンブンにょろにょろを振り回しながら
大きくジャーァンプ!
空中でもブンブンにょろにょろを振り回して
ポイと捨てたの。
危なかったわよ。もうちょっと放すのが遅かったら
絶対にマリンは噛み付かれていたと思うわ。
危機一髪! 

地面におっこちたにょろにょろをあたちたちは
また囲んで、攻撃する機会を狙ったわ。
今度こそ、あたちがつかまえてみせるわ!
マリンに負けてなんていられないもん。
けど、今度もマリンが捕まえてちまったの。
マリンはにょろにょろをお口に咥えて
「やったぁ。捕まえたよ〜!」
「すごいでちょー!」
庭中を大喜びで走り回ってたわ。
「マリン、見せてぇ!あたちにも見せてぇ!」
あたちとムーはマリンを追いかけて走り回ってた。
やっとマリンがにょろにょろをお口から放したときには
にょろにょろのお顔はちょんぎれてしまっていてもうなかったわ。
お顔は・・・お庭に落ちてた。
それを見てのりちゃんがまた「ギャー」って叫んでたわ。

のりちゃんはきっとにょろにょろがすっごく怖いのね。
お顔だけでも怖いみたいだったわ。
そちてマリンに「そんなお口でなめなめしないで。」って
逃げ回ってた。

マリンは「あたちがつかまえたのよ」って
すっごく自慢ちてたけど
あたちはあのにょろにょろとの勝負は
あたちたちのチームワークの勝利だと思っているの。
マリンだけだったら絶対に勝てなかったと思うの。
3匹で攻撃をちたのがよかったのよ。
自慢の大勝利よ。
けれどのりちゃんからはすっごくすっごく叱られた。
どうちてなのぉ?
せっかくやっつけてあげたのにね。
のりちゃんが怖いって言ったから
やっつけてあげようと頑張ったのにね。



すっごく頑張ったマリンはほんとのところは相当怖かったみたいよ。
それからはにょろにょろを見てもちょっとくんくんするだけで
何もしなくなったもの。

今もおうちの石垣にはにょろにょろ一家が住んでいるの。
あかちゃんにょろにょろもいるわ。
そこにもひとつの家族があるみたいよ。
のりちゃんは本当は嫌みたいだけど仕方ないわよね。
追い出したりちたらかわいそう。
だから<お互い干渉ちないで仲良く過ごしまちょう>っていう
お約束でにょろにょろ一家は今も平和に石垣で暮らしているんだよ。
会いたい人がいたらあたちに言ってね。
紹介ちてあげるから。