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モロッコ旅行記 第5日目 −3/19(金)−

  〜メルズーカ砂丘→延々北上→フェズ〜


 朝、4時に目覚ましをかけた。さすがにこの日は目覚ましで起床した。
朝御飯は夜明けの砂丘から帰ってきてからなので、身支度をしてロビーに集合。 出発は5時。まだ空は真っ暗だ。暗いうちに砂丘に着くというので星座版をバックに忍ばせ出かけた。 6人乗りの4WDに分乗してメルズーカ大砂丘に向かう。途中までは舗装された道を行くが、後はごつごつした道無き道を進む。 車の窓から外を見ると、蠍座がくっきりと見えて感動的だった。 こういうと星に詳しいようだが私はほとんど星座を知らない。 でも、そんな私でも「あれは蠍座に違いない!」と思えるほど、はっきりと横たわるサソリがわかったのだ。
 早く車を降りて星空を仰ぎたい!!と思っていたのだが、残念なことに、 予想より日の出が早く車を降りる頃には東の空が明るくなり、星空を仰ぐことは夢と終わってしまった。

 さて、砂丘到着。ここからは歩きの人とラクダの人に分かれて日の出ビューポイントに向かう。


砂丘に到着したとき 東の空が白んできている

ラクダは予約制ということで、前日の夜添乗員さんに「ラクダか徒歩」の選択を迫られた。 ラクダは二人で乗って1頭300DH(約3600円)とのこと。 二人で割れば2000円弱なのだが、すっかり頭がモロッコ相場になっていた私には高い気がした。 それに、歩いても10〜15分という。だったら自分の足で砂漠を踏みしめ歩こう!!と思い、徒歩を選んだ。 更に言うと、砂丘を歩くラクダの写真を撮りたかったのである。その為には自分がラクダに乗ってしまっては撮れない。
 そんな訳で徒歩を選んだが、ちょっと後悔した。 行きだけだけど。
10分なんて大嘘!! しかも登りなんて聞いてない!!! それに砂丘の歩きがこんなにきついなら教えてほしかった!!! 砂丘を登るという作業は、登る先から足がずぶずぶと沈み、堅いところを登るより3倍疲れる。 ただ登るには使わない筋肉を使うのだ。ラクダ部隊も、最後の斜面の手前で降りて自分で登らなければならない。 が、人々がラクダを降りる頃私は疲れ切っていた。(それでも時々写真は撮ったけど)
 Rさんにはとっくに私を見捨ててヒーシャムと先頭を歩いている。 見かねたベルベル人のおじさん(実は結構若いかも)が「ゆっくりゆっくり」と日本語で言ってくれて手を引いてくれた。  そして、もう一山!!というところで力尽きた。もう一歩も歩けない。仕方ないので少し休むことにした。 そのとき、ベルベルのおじさんは私の胸を触った。心臓がバクバクしていたので、私の手を取り「俺の胸に触って見ろ」と触らせた。 全く乱れてない。足ももまれてしまった。 ようやく落ち着いて、「じゃああの丘まで行く!!」と言ったら「もうここから日が昇るからここで見ろ」と言われた・・・。

 Rさんとはちょっと離れた場所から夜明けを見ることとなった。砂丘が赤く染まり、美しかった。 が、Rさんのいるところからはどんな夜明けが見えるのだろうと思うと自分の体力のなさが悔やまれた。 ベルベルのおじさんはずっと隣に座って一緒に夜明けを見てくれた。  砂丘からお日様が出てきたとき、「たいよう」と日本語で言っていたので、アラビア語で太陽をなんて言うのか聞いてみた。 おじさんはアラビア語と、ベルベル語でそれぞれ教えてくれた。ごめんなさい、忘れちゃったけど・・・。 でも、ベルベル語はアラビア語の方言、と言う割には言葉の響きが全然違って驚いたことだけは覚えてる。


「たいよう」がのぞき始めた



お世話になったベルベル人のおじさま

 日が昇った後Rさんと合流。 ここからはのんびり歩いて車のある場所へ戻る。 下りだったので急に強気になり、余裕で歩き回る。 ネズミやふんころがしの足跡を観察したり、砂丘に長く長く伸びる影を写真に撮ったり、「やっぱり歩きでよかった」と思った。  ラクダ引きのおじさんとも話してみる。「英語は?」と聞かれたので「べりーべりーりとる」と言った。 「じゃあ何語がいい??」というからRさんと声をそろえて「じゃぱにーず!」と言ったら笑われた。  それでもおじさんは年中日本人観光客を相手にしているせいか、長くのびるラクダの影を指さし、日本語で 「らくだのかげ すばらしい!」と教えてくれた。 慌ててカメラを構えたが、シャッターを押すときちょうど斜面になり影がゆがんでしまった。どうしていつも間が悪いのか・・・ 別のおじさんと話したとき、「ここにはどのくらいいるのか」と聞かれ、「6日」と言ったら驚いていた。 「1ヶ月、2ヶ月いなきゃ!!」と言われた。全くそう思う。いつかそんな風に旅をしたい。
 この砂丘の側に泊まって、砂丘の夕焼けと星空と朝焼けを全部堪能したい!



美しい風紋の砂丘に足跡を残すRさん



ネズミとフンコロガシの足跡



私とRさんの影



1列につながれて進むラクダ

 さて、ホテルに戻って朝食。でもその前に足を何とかしなければ! 靴がすっかり砂に潜ったので足は砂だらけ。シャワーで砂を流し、靴下と靴を取り替えた。 朝食取って、身支度して出発。
 (・・・まだ朝なのに1日分くらい書いてしまった。でも大丈夫。今日のメインイベントは終わったから。)

 今日は再びアトラス山脈を越えてフェズという街へ移動。延々バス。 バスに乗ること自体に疲れてきちゃって、シートに座ってるだけで腰や背中が痛くなってきた。 ツアーの人々もあちこちで似たようなことを言っていた。


砂が動かないようにするための物とのこと。
これをヒーシャムに質問して、「さんきゅー」「ゆーあーうえるかむ」にっこり
ふと横を見ると、Rさんが睨んでいた・・・ いいじゃんちょっとくらい質問しても!


 途中地下水が水圧で噴水のように噴き出しているところや、湖でフォトストップ。ちょっとだるい。 それでも立てることが嬉しくてバスから降りた。

 昼食のレストランに到着。バスから降りたとたん化石売りの嵐! バシバシ交わしながらレストランへ。 ここのロビーも素敵!螺旋階段はスパンコールを縫い込んだ絨毯が敷かれていたし、鏡や革製の椅子やランプなど凝っていて素敵だった。
 昼食はこの旅最初のお魚だった。鮭のようなピンクの魚を焼いた物だった。 それを知っているのか、かわいい黒猫が私たちのテーブルにやってきた。 Rさんはお魚を少しあげたので、その後ずっとそばを離れなかった。 Rさんの膝に手をかけて魚をねだる様がかわいかった!


お魚をたかりに来た黒猫


 昼食後も集合時間までロビーでくつろぐ。出口からバスまでの間は物売りでいっぱいだ。 ふと外を見ると、物売り達がおいでおいでと手招きする。 欲しい物もなかったので一気にバスへダッシュ! バスから周りを見渡したら屋根の上にコウノトリがいて感激!! コウノトリもモロッコで見たい物のひとつだったのだ
 更に移動。途中、アトラス山脈2178m地点でフォトストップ。 ここは2週間前に雪が降ったとのことで、まだ少し雪が残っていた。

 また移動。イフレンという街で休憩。ここは「モロッコのスイス」と言われている高級避暑地。 街の造りはヨーロッパ風で、唯一物売りがすり寄ってこない街だった。  ここで、他のツアーの人と一緒になった。 というか、大体行程が一緒なので色んなところで他のツアーと一緒になっているのだけど、ちょっと思ったこと。
 ヒーシャムと荷物運びのおじさんは口を利くことがなかった。 でも、他のツアーと一緒になると現地ガイドさん同士、荷物下ろしおじさん同士ではとても仲良く話している。階級の違い、のようなものなのだろうか?
 ところで、このよそのツアーの荷物下ろしのおじさん、あちこちで私がバスに乗ろうとすると 「違う違う!こっちのバスだよ!」と騙すのだ。 不覚にもこの時うっかり騙されてしまった。 「え??」と驚いてドライバーを確認していたら私たちのバスのおじさんが「これでいいんだよ」と優しく微笑んでくれた。 今まで何度も同じことをやられて一度も騙されたことはなかったのに、油断した。悔しかった。
 ここにもコウノトリがいたので、バスの側で写真を撮っていたら、私を騙したおじさんに「こうのとり?」と日本語で言われた。 その時は違和感無く「そうそう」と笑っていたが、よく考えたらどうして日本語名を知っていたんだろう。すごい。


こうのとり



 ようやくホテルに到着。いよいよドキドキのフェズだ。ここはモロッコで一番怖い街と言われている。でも一番おもしろい街とも言われている。 添乗員さんによるとヒーシャムはこの街で過ごすことについてとても心配しているとのことだった。
 ホテルにチェックイン。何故かベッドが4つもあり不思議な部屋だ。でもここも中庭や廊下のランプが素敵。
 夕食の時、レストランの前で添乗員さんに会った。 ちょうどその天井に下がっているランプがとても素敵だったので「あれ素敵ですね〜」と話しかけたら 「いい人ですね〜 そうやっていいところを見つけてくれて・・・ 嬉しい」と言われた。 予想外の反応にちょっと驚いたが、後で聞いたところによるとお湯の出ない部屋が多く、クレームが凄かったらしい。 ここはモロッコ。ガイドブックにも「ホテルでお湯が出ない、停電は日常茶飯事」とあったし、添乗員付きとは思えない安いツアーに参加していながらそんなに騒がなくても・・・ってちょっと思った。 運良く私たちの部屋は熱いくらいのお湯が出た。

 この日の夕食時、同じテーブルに座った女子大生のうち一人がエネルギー切れで寝てしまった。 ぷつっとその日の力を使い果たしたらしい。かわい〜と思ってたら、Rさんが彼女に向かって吹き矢を吹いた。 そして「駄目だ。吹き矢でも起きない」
 その時口の中に何か入っていたら間違いなく吹き出してしまっただろう。 楽しい旅の友がいて幸せだ。
 レストランを出ていくとき、ヒーシャムと目があった。 「おやすみなさい」と日本語で挨拶を交わした。ヒーシャムの日本語は初めて聞いたのでうれしかった。 しかもすごくいい笑顔だった。ちょっとドキドキ。・・・まぁ、もっと舞い上がっている人が約1名いたけれど・・・。

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