せんりゅう・しじん 天羽 牛郎 1〜2月の作品から

政治劇 演技ばかりが 空回り
この作品は北海道新聞・読者時事川柳【三浦強一・選】に、
2月10日掲載されました★

28 January, 2000

【母深夜 うわごと叫ぶ 顔しかめ】
【疲れたろ うわごと何度 床の母】☆★いろは

【満席で ニンニク餃子 椅子の下】☆

【株ボード 白髪男 丸背中】☆★いろは

【腕組みし 急ぐ女の 凍えた昼】☆★いろは

【横に来た 女の香り ナフタリン】☆
★仁賀
【ナンバーズ 星の数ほど よく外れ】☆

【店陰で 抱かれる日待つ ぬいぐるみ】☆★いろは

29 January, 2000

【絵のような カップル見かけ 悔しがる】☆
【絵のような カップル見かけ 悔しがり】

【交差点 青待つきみに ラブコール】☆
【交差点 青待つきみに 熱視線】

【なさけない 注意ペタペタ バスの中】

【ナンバーズ 今度こそはと 黒マーク】

30 January, 2000

【仕掛けても 動じぬ弟 兄くさる】

【波風を 立てるまいぞと ドア閉める】

【見せまいと 閉じる心は 覗くまい】

【深夜ベル 生死の不安 胸に刺す】
【クリックし メール空だと 顔曇り】

【嬉しいな 速い返信 いつも君】

【一年後 法事直前 妻のもと】

31 January, 2000

【差し出す手 握る母の手 火照ってる】

【雪下ろし 仕事半ばで 五十肩】☆

【雪布団 愛車うとうと 月見かな】☆

【いきつけの あの娘いい味 もう一杯】☆

【超美形 モデル顔して くわえパン】

【ATM 前のおばさん ねばりすぎ】☆
【ATM 前の金持ち ねばりすぎ】

【凍り路 携帯片手 二輪漕ぐ】

01 February, 2000

【気が滅入る 街にあふれる 葬送色】

【黒灰茶 同系色が 埋め尽くす】

【ごそごそと 街にうごめく 無難色】

【新鮮日 棚の奥から 探し出す】

【月あたま やっと支払い 小休止】

02 February, 2000

【政治劇 演技ばかりが カラ回り】☆
【政治劇 演技過剰で 筋見えず】

【政治劇 どこで幕引く 猿芝居】

【通うけど ポイントなぜか 貯まらない】☆
【バス停で ちらり見かけた 小悪魔】

【欲しくなる だから我慢の 店の前】☆
【客一人 次が来るまで いてあげる】☆

【小渕さん おちおちできぬ 崖っぷち】☆

【そう言えば サミットの場所 崖っぷち】

03 February, 2000

【疼く歯が 心の平和 かき乱す】

【希望なき 欲の暴走 近未来】

【希望なき 未来の果てが 世紀末】★2/5 松尾義己選★

【神知らぬ 病んだ心の 監禁魔】

07 February, 2000

【雪まつり 通が見に行く 前夜祭】

【雪像の 白さ眩しき まつり晴れ】

【年一度 雪彫刻の 夢広場】

【大入りで にこりと笑う 雪だるま】

【人波に わが子を探す 雪まつり】

08 February, 2000

【占いに 心が揺れる 恋迷子】

09 February, 2000

【何あった 化粧が違う 美人アナ】

10 February, 2000

【サラサラと 寡黙に積もる 雪砂糖】

【チョコあげて レートが上がる 愛の価値】

【ギリギリの 時間に届く きみのチョコ】
・・・余談ですが、辞書によれば義理とは、「血族でない者が血族同様の関係を結ぶ」
と出ていました。義理というのはかなり強い結びつきなのですね。


11 February, 2000

【停まるまで立つなと無茶なステッカー】
【注意書きだらけのバスは誰のせい】

【凍結路しり振る二輪老紳士】

【空仰ぎ童口開け雪パクリ】

14 February, 2000

【目に涙 主人亡くして スヌーピー】

15 February, 2000

【返事ない メールの相手 何想う】

【メールレス ちょっと近いな ホームレス】

【粉雪の カーテンくぐる 子抱く母】

【淡雪の 舞い降る路を 春想い】

【手に手とり ほほえみ進む 老い夫婦】

【五百円 使えぬ機械 すまし顔】

17 February, 2000

【よっ!元気 不意を付かれて まあと逃げ】

【先あるく女を指して服談義】

【歩く先 捨てゴミばかり足重い】

19 February, 2000

【木漏れ日の光の力 春の影】
【木漏れ日の光に力 春の影】

21 February, 2000

【ラ・テレ欄 今日はひどいぜ不貞寝する】

【渋滞時 とびきり美人 窓こする】

【母離れ鳩追い走る子の笑顔】

22 February, 2000

アルバカーキの柳友へ送る句:

【そちらでは日本の夕餉 夢の中】

【地図で知るメキシコでなく米国だ】

【メールでも時差ボケのことあるのかな】

【露天風呂 こっち向いてと泡立てる】

【露天風呂 年の差なんて水くさい】

23 February, 2000

【雪の朝 白いショールの庭木立】
【雪はれて白いショールの庭木立】

24 February, 2000


【過激すぎレジに行けずに立ちつくす】

●句に添えて・・・コンビニにあふれる過激ヌード誌。あまりの刺激に小学生の性犯罪
まで起きてしまった。このままではまずい。どうする日本・・・


25 February, 2000

【あいまいが二人のあいだ愛育て】

【過刺激の果ては悲しい不感症】

【性ゆがめ人を迷わす低文化】

●句に添えて・・・急速な情報化、ハイテク化の中で人間の精神は、愛は、心は
どうなっていくのでしょうか。そして家族は社会は・・・。
心が傷つき、病んでいく人が増えるような世界はご免です。


【胸に抱く乳児に母のほほキッス】

【トルシエの戦術さぐる上層部】

【疑惑ボス吹雪の中を逃げ隠れ】

【ドカ雪にダイヤ乱れて立ち話】

26 February, 2000

【ベビーカー王様気取る肥満の子】

【満杯のドアが冷たく開き閉じ】

【値札見てホホウと呆れ客逃げる】

【一面に既に知ってる記事ばかり】

28 February, 2000

【引き落ちて見るもむざんな記帳欄】

【ピカピカの硬貨を詰めて置き飾り】

【レシートをくれず捨てられ言葉無し】


●2000年5〜6月の作句集

●2000年 3〜 4月 の作句集

て・ん・し・ん・ら・ん・ま・ん【2000年7月以降の作句から

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