らくらくISO9001講座


口 語 訳
ISO9001
2026年版
【製造業編】

紫字は、JISが用いている用語
緑字は、本文にない、この口語訳独自の補足


8章 製造(1)
(改訂 2026.10.13)

8.1 ルールを決める
8.2 受注・契約
8.3 設計・開発



  8.1 ルールを決める

   ◆マネジメントの計画を実行する
箇条6で決定した計画(品質目標、リスクへの対策、機会を生かす活動)について、具体的な
実施計画を定めて、実行して下さい。
― 計画を進めるために必要な判断基準を決めて下さい
― 決めた基準にしたがって、仕事を管理して下さい
実施に必要な文書を、用意して下さい。
実施した結果を記録して下さい。

   ◆製品を作るためのルールを決める
製品の品質を確かなものとするために、製品の品番ごと(オーダーメード品は案件ごと)にルール
を決めて下さい。
この際、次のルールを決めて下さい。
 a) 製品の仕様、製造方法、検査方法などを決めて下さい。
   (これには、製品の保管、設置工事、アフターサービスなどの付随する業務も含みます)
 b) 製品の合否判定基準を決めて下さい。
 c) 工程管理、工程検査、その他の業務に必要な判断基準を決めて下さい。
 d) 決めた基準にしたがって、仕事を管理して下さい。(その詳細は8.2から8.7に定めます)
 e) 使用する設備、道具などを決めて下さい。
   どのような技術や資格を持った人が必要かを決めて下さい。
   その仕事をするために、どのような情報が必要かを決めて下さい。

これらの製造、検査、その他の関連業務に必要な文書を用意して下さい
品質管理の証拠として、必要な記録を残してください。

   ◆変更の管理
ルールや計画を変える時は、問題が起こらないように、注意して行って下さい。

   ◆購買の管理 (詳しくは8.4項に定めます)
仕事に必要な購買が適切にできるように管理して下さい。
仕事を外注した時は、責任を持って管理して下さい。




 8.2 受注・契約


  8.2.1 顧客との連絡

顧客の対応をする担当者や、その実施方法を決めて下さい。
 (打合せの方法、記録の仕方、社内の他部門への連絡の仕方 など)

顧客とやり取りする内容には、次の物があります
a) 自社の製品の説明
b) 顧客からの問合せ、契約、注文への対応
  契約や注文の変更の際の連絡
c) 苦情や意見の受付けや、販売後の問合せへの対応
d) 顧客から提供される部品・原材料ついての打合せや注文
  顧客からの預かり物・借り物についての打合せ(設備、道具、技術情報など)
e) 非常時の連絡体制(生産の中止、事故の発生、不良品の流出など)
   特に、トラブルによる生産のストップの際の連絡

   <補足説明>
  顧客に情報を渡す、または顧客から情報を受け取る方法には、以下のような手段が
  あります。
  直接のやり取り
    会議、電子メール、文書を通じた情報の提供と入手
  間接的なやり取り
    ウェブサイト、出版物、ソーシャルメディアを通じた情報の提供と入手
    問い合わせへの回答、研修やトレーニングの中での情報交換



  8.2.2 製品の仕様やサービスの内容を決める

製品の仕様を決める時は、次のことを守って下さい。
 (これは、カタログ製品、自社の企画製品など、特定の顧客が決まっていない状況で
 設計・開発をする製品を想定した項目です)
 a) 1) 法律を守る。
   2) 必要なことが抜けないように良く考える
 b) カタログや技術資料に、嘘(過剰な性能やサービスのアピール)は書かない。



  8.2.3 契約・受注の管理

  8.2.3.1 契約・受注の内容を確かめる

製品の販売のために、顧客と約束【コミットメント】をする時は、約束が決まる前に、約束の
中身をチェックして下さい。

 ◆ 顧客との約束
   見積書の提出、入札、契約や覚書、仕様書や図面の取り交わし、注文の受付 など

この時、技術及び納期の面で、実施可能な約束であることを、確かめて下さい。

 ◆ 実施可能な約束
   技術レベル、仕事の量、納期、実施時期、価格の面などから判断する。

その他、以下のことをチェックして下さい。
a) 製品の仕様、その他の顧客との約束、顧客の要望 など。
  必要な場合には、納品の方法や、アフターサービスの内容も確かめる。
b) 「顧客との約束に含まれないが当然必要なこと」を把握していて、それはクリアできる。
c) その他の、自社で決めたルールを守れる。
d) 法律に違反しない。
e) 以前の約束(見積書、納入仕様書、契約、注文など)と変わった点の有無
このe) に当たる変更がある時は、あらかじめ顧客と調整して、了解を得て下さい。あるいは
社内で調整して、問題がないことを確かめて下さい。

口頭の注文についても、記録に控えて、内容のチェックを行って下さい。

   <補足説明>
  ネット販売などで自動で受注する時には、注文ごとにチェックすることは不可能なので、
  ネットに製品情報や契約条件を掲載する時に、内容のチェックを行って下さい。

  8.2.3.2 契約・受注の記録

顧客と約束した内容を記録してください。
a) 顧客と約束した内容を、文書または記録で残して下さい。
  (見積書、企画書、契約書、仕様書、計画書、受注記録、打合せ記録 など)
b) 顧客との約束やが変更になった時は、その内容を文書または記録に記して下さい。



  8.2.4 受注・契約の変更

顧客との約束の内容が変った時は、そのことで間違いが起こらないように管理して下さい。
その顧客との約束を引用している社内の文書(作業基準、図面、記録用紙など)がある時
は、それも忘れず変更して下さい。
約束の内容が変わったことを、関係者(社内の人、外注先)にちゃんと伝えて下さい。






  8.3 設計・開発


  8.3.1 設計・開発のルールを決める

新製品に問題が起こらないように、設計・開発を管理するためのルールを作って下さい。

   <補足説明>
  設計開発のステップ(レビュー、検証、妥当性確認を含む)は、行きつ戻りつして、何度
  も繰り返すことがあります。



  8.3.2 設計・開発の計画

設計・開発は、計画的に行ってください。
  a) 計画は、設計・開発の内容や期間に合ったものとして下さい。
   (ISO9001は文書を求めていませんが、長期間あるいは複雑な設計・開発では、
    計画書があった方が良いでしょう)

その計画では、次の項目の中で、必要なものを決めて下さい。

◆全体のスケジュール
  b) 設計・開発のステップ(スケジュール)
    レビューの予定(時期、参加者、実施方法)
  c) 検証の予定(時期、実施方法)
    妥当性確認の予定(時期、実施方法)

◆実施体制
  d) 責任者・担当者
  e) 必要なスタッフ、設備、サポート体制
    外部から応援が必要なものについても決める。
     (外部の施設や設備の利用。分析、測定、評価などをアウトソースする。
      設計開発の全体や一部をアウトソースする)
  f) 設計・開発の途中に、関係者間で、情報の伝達や共有をする方法
  g) 設計・開発の途中で、顧客、ユーザー、外注先などに参加してもらう必要があるか。
     (情報提供、レビュー、検証、妥当性確認など)

◆その他、必要なこと
  h) 設計・開発の完了時に、その後の、製造のために用意しなければならないもの
     (必要な情報や文書)
  i) 設計・開発の管理手法で、顧客から求められているもの。
  j) 記録として何を残すか
   


  8.3.3 設計・開発でクリアすべき項目 【設計・開発へのインプット】

設計・開発する製品が、クリアしなければいけない項目【インプット】を、あらかじめ
リストアップして下さい。

この時、次の内容で、当てはまるものを含めて下さい。
a) 必要な機能や品質
b) 先行製品からそのまま引き続ぐ内容
c) 法律で守らなければならないこと
d) 会社が使うことを決めた、製品の規格 (ISO、IEC、JIS、その他の業界規格など)
  設計・開発・企画のルールや手法
e) その製品について、予想される不良やトラブルの対策

項目が抜け落ちないようにして下さい。
曖昧な内容にせず、明確に決めて下さい。
リストアップした項目同士で、矛盾がないように、バランスを取って下さい。
このリストアップした結果を記録して下さい。

   <補足説明>
  設計・開発でクリアすべき項目【インプット】は、最初に全てをリストアップことはできません。
  設計・開発の進捗に応じて追加して行って下さい
   (例えば、レビュー、検証、妥当性確認の結果を受けて追加する)。



  8.3.4 設計・開発の管理

設計・開発が、正しく行われるように管理をして下さい。

a) 設計・開発の結果として何を作るかを決めて下さい。
  (試作品か、模型か、設計図か、仕様書か、最終製品か、どのような添付資料を作るか)
b) 設計・開発の内容が適切かどうかを確かめて下さい。【レビュー】
c) 設計・開発の結果が、8.3.3でリストアップした条件をクリアしていることを確かめて下さい。
  【検証】
d) 設計・開発でできあがった製品が、実際に使える物か確かめて下さい。【妥当性確認】
e) レビュー、検証、妥当性確認で分かった問題点について、対策を行って下さい。
f) レビュー、検証、妥当性確認の結果を記録に残してください。

   <補足説明>
  設計・開発の、[レビュー/検証/妥当性確認]は、それぞれの役割があります。それ
  ぞれの役割が果たせるのであれば、いくつかを同時に実施しても構いません。

◆レビュー
  設計・開発のレビューとして、開発に参加しているメンバー、及び関係する部門(製造、
  検査、購買、販売、メンテナンスサービス部門など)に内容を確かめてもらう。
  会議でも、個別の打合せでも、書面でも良い。
◆検証
  試作品の試験(量産品)、製品の最終検査(受注生産の機械、ソフトウェアなど)などの
  実際の試験を行う場合がある。製品仕様書、図面や計画書などの、書面のチェックで
  行う項目もある。いずれかの方法で、全てのインプット項目について確認する。
◆妥当性確認
  現場での試運転、顧客による評価、消費者モニター、臨床試験、ソフトウェアの統合
  テストなど



  8.3.5 設計・開発の結果 【設計・開発からのアウトプット】

設計・開発の結果を、まとめて下さい。

そこでは、以下のことが必要です。
a) 設計・開発の結果は、8.3.3でリストアップした項目をクリアしている。
   (検証を適切に行って、それが確認できている)
b) 製造方法が決まっている。 (それがわかる資料を用意する)
c) 検査の合否判定の方法や基準値、品質チェックの基準などが決まっている。
   (それを記した資料を用意する)
d) 製品を、正しく安全に使うために必要なことが決まっている。
   (それを記した資料を用意する。取扱説明書などに記載すべきことなどを含める)
設計・開発の結果を定めた文書や資料を、記録として残してください。



  8.3.6 設計・開発の変更

設計・開発が一旦完了した後に、製品の設計(仕様)を変える時は、その影響で発生する
可能性がある問題を十分に予想し、トラブルが発生しないように管理して下さい。

次の内容を記録に残してください。
  a) 変えた内容
  b) 問題がないことを確認した結果
  c) 変更の承認の記録(責任者、承認内容、承認日)
  d) その時に発生が予想された問題と、それを防止するために行った対策





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