らくらくISO9001講座


口 語 訳
ISO9001
2026年版
【製造業編】

紫字は、JISが用いている用語
緑字は、本文にない、この口語訳独自の補足


7章 仕事をサポートする仕組み
(改訂 2026.10.15)


7.1 会社の運営に必要な物
7.2 スタッフの力量
7.3 スタッフの認識
7.4 情報交換
7.5 文書・記録



  7.1 会社の運営に必要な物 【資源】


  7.1.1 会社の運営に必要な物を用意する

必要な建物、設備、道具などを用意して下さい。スタッフ(従業員)を確保して下さい。必要な
情報が使えるようにして下さい。
そのために、
a) 現在の施設、設備、スタッフなどで、できることと、できないことを、把握して下さい。
b) 新たに購入する必要がある設備や、外注する必要がある業務について考えておいてくだ
  さい。



  7.1.2 スタッフ

どのようなスタッフ(従業員)が必要かを決めて下さい。
必要なスタッフを確保して下さい。



  7.1.3 建物、設備、サポート業務など 【インフラストラクチャ】

仕事に必要な、建物や設備を揃えて下さい。
 (建設する、契約する、購入する、設置工事を行うなど)
建物や設備が正しく使えるように、メンテナンスをして下さい。
特に、生産活動や品質管理に影響するものは、しっかりと管理して下さい。

仕事に必要な、ソフトウェア、輸送手段、IT環境などを使えるように下さい。
 (設備を用意する、ソフトウェアを購入する、スタッフを揃える。外部と契約する など)
これらが継続的に使えるように管理をして下さい。
特に、生産活動や品質管理に影響するものは、しっかりと管理して下さい。
 
   <補足説明> 
  インフラストラクチャには、次のものがあります
  a) 建物(工場、事務所、倉庫、店舗、その他の施設)
    ユーティリティ(電気、水、ガス、圧縮空気、スチームなどに関する設備)
  b) 機械、装置、ソフトウェア
  c) 輸送手段の確保(車両や運転手の用意、運送会社との契約など)
  d) 通信手段の確保、IT環境の整備など



  7.1.4 作業場所の環境

仕事に必要な、室内の環境(工場内、倉庫内、まれに屋外)を作って下さい。
その環境を保つように管理し下さい。
特に、その環境が、製品の品質に影響する時は、しっかりと管理して下さい。

   <補足説明>
  気温,熱,湿度,光,気流,衛生状態,騒音などの物理的な環境を整えて下さい。
  作業者の心理状態が大きく品質に影響する仕事では、働き甲斐、人間関係、ストレス
  の軽減などの、心理的な環境にも配慮して下さい。
  従業員が会社の文化や、倫理的な行動を重視して行動するように、会社の雰囲気を
  作ることも、環境の一部と考えて下さい。



  7.1.5 監視・測定のための装置や道具

  7.1.5.1 監視・測定のための装置や道具の管理

製品の検査や工程の監視に使う機械や道具を揃えて下さい。
a) 機械や道具は、目的に合った種類や性能のものを選んで下さい。
  特に、測定機器(数値が出るもの)は、機器の測定精度が、求められている測定精度
  (仕様・検査基準)と合っていることが必要です。
b) その機械や道具が、正しく機能するように、メンテナンスをして下さい(点検・整備・調整・
  校正、修理などを行って下さい)
点検・整備・調整・校正、修理などを行った場合は、記録を残してください。

 ◆ 数値が出るもの 【測定機器】
   計測器、計器類、検査機器、
 ◆ 数値が出ないもの
   ゲージ、検査用の治具、検査用の薬品、限度見本、検査用のチェックリストなど


  7.1.5.2 測定値を保証する(校正または精度の確認)

測定値の精度が必要な時は、その測定が確かな標準に基づいて行われていることを証明
して下さい。(顧客と仕様や検査基準について約束している時。法律で数値基準が定められ
ている時。自社の品質に対する信用を高めたい時など)

  ノギス・マイクロメーター、ゲージ、重量計、比重計、温度計、圧力計、検査装置
  標準器(分銅、標準ゲージ、標準温度計など)、標準物質など

a) 検査・測定機器の校正または精度の確認を行って下さい。
  もし、校正・確認する項目に、国際的にまたは国が定めた標準(比較対象)が存在する
  場合は、その標準との繋がりが証明できる方法で校正や確認をして下さい。
  【測定のトレーサビリティ】
  そのような標準がない時には、自社で適切な方法や標準を決めて下さい。用いた方法
  と標準を説明する文書または記録を作って下さい。
b) 校正された機器かどうかが、現場で分かるようにして下さい。あるいは校正の有効期限
  が、現場で分かるようにして下さい。(校正ラベルなど)
c) 測定機器は、壊れないように、また精度が狂わないように、正しく取り扱ってください。
  精度の調整が狂わされることが無いように、管理して下さい。

測定機器が正確でないことが判った時、あるいは壊れた時には、これまでの測定(前回の
校正・確認以降)で、不合格品を誤って合格品にしていることがないかを調査をして下さい。
また、そのような製品があった時は、問題の大きさに応じて、適切な対策を行って下さい。



  7.1.6 会社が持つ情報

仕事を進める上で必要な情報(資料、データ、ノウハウなど)が失われないように、保管すべ
き情報を決めて下さい。
その情報の保管方法を決めて下さい。
その情報を活用して下さい。必要な人が使える(アクセスできる)ようにして下さい。
状況の変化に合わせて、新しい情報を入手し、または最新の内容に改めて下さい。その
情報を収集する方法を決めて下さい。

   <補足説明>
  会社が持つ情報には,次のようなものがあります。
   − 社員が仕事の経験から得た知識 (文書にできないノウハウも含みます)
   − 社員が、教育、訓練や、他人から学んだ知識
   − 会社の仕事のやり方。製品の設計・製造工程に含まれる技術
  会社の持つ情報は、文書、デジタル情報、その他の媒体で表現された物があります。

◆ 図面、作業基準など
  図面や作業基準などに含まれている技術情報 など
◆ データベース・保管されている報告書類
  技術報告書、研究報告書、事故報告書、試験報告書、市場調査結果 など
◆ 保管されている記録・データ
  データ分析結果、顧客情報、購買先の情報、クレーム記録 など
◆ 文書になっていない知識
  現場での訓練や経験によって計画的に伝承されている技術など





  7.2 スタッフの力量

a) 品質に関わる仕事をしているスタッフにどのような力量(知識やテクニック)が必要かを把握
  して下さい。
  社員以外で、自社の指揮下にある者も含めて考えて下さい。
b) 仕事は、十分な力量があるスタッフに実施させて下さい。
  力量の把握のために、スタッフが受けた教育(学歴、専門教育など)、訓練(技能的なもの)、
  その仕事の経験について管理して下さい。
c) 力量を持つスタッフを新たに確保するには、訓練、個別指導(メンタリング)、配置転換、
  力量を持った人の中途採用、専門業者へのアウトソースなどの方法があります。
  確保したスタッフの力量を確認して下さい
d) その力量を証明する記録を保管して下さい。

   <補足説明>
  力量を持つスタッフを新たに確保するには、訓練、個別指導(メンタリング)、配置転換、
  力量を持った人の中途採用、専門業者へのアウトソースなどの方法があります。




  7.3 スタッフの認識

   会社は、スタッフ(社員以外の、自社の指揮下にある人を含む)に、次のことを正しく認識して
   もらうために、周知、訓練、指導などを行って下さい。
a) 品質方針
b) 自分の仕事に関係する品質目標
c) 製品・サービスの品質の向上 【パフォーマンスの向上】 と、目標・課題の達成 【品質マネジ
   メントシステムの有効性】 のために、自分がどのような役割を担っているか。
d) 決められたルールを守らないと、どんな問題が起こるか.。




  7.4 情報の交換

   会社は、社内で、仕事に必要な情報(業務指示・連絡・報告・共有データなど)が正しく伝わるように
   管理をして下さい。
   また、社外の関係者との情報のやり取りが正しく行われるように管理して下さい。
   (顧客との情報交換については8.2.1にも定めています)

   それぞれの情報のやり取りについて、次の内容を決めて下さい
a) やり取りする情報の内容
b) 情報のやり取りの実施時期
c) 情報のやり取りの相手
d) 情報のやり取りの方法
   (例えば、定期的な会議、文書の発行、日常的な情報交換、意見や情報の受付、情報の
    収集 など)
e) 情報のやり取りを行う人(社外との情報交換については、担当や窓口となる人)




  7.5 文書・記録


  7.5.1 必要な文書・記録

必要な文書や記録を作り、正しく管理をしてください。
a)  ISO9001が求めている文書や記録は、必ず作って下さい。
b) 仕事がうまくゆくように管理するために、どのような文書と記録が必要かは、自分で決めて
  下さい。

   <補足説明>
  文書や記録の内容の詳しさは、会社の状況に合わせて決めて下さい。次のような事情
  で、詳しさは異なります。
   ・会社の大きさ、業務内容、製品の種類
   ・仕事の複雑さ
   ・スタッフの能力や熟練度



  7.5.2 文書・記録の形式

a) 文書・記録には、必要に応じて、タイトル、文書番号、改訂番号、日付、作成者などを表示
  して下さい。
b) 文書・記録の用途や使い方に合わせて、フォーマットを決めて下さい
   ◆ どの言語で書くか
   ◆ どのようなソフトウェア(種類、バージョン)を使って記述するか
   ◆ どのような図や表を使うか など
  使用する媒体(紙か、電子ファイルか、その他か)を決めて下さい。
c) 文書を制定または改訂する時には、内容を点検【審査・レビュー】して下さい。
  そして、決められた責任者が承認して下さい。
  記録を作成する時も、必要に応じて、点検と承認を行って下さい。
  使用している文書を改訂する必要がないか、時々、内容の点検をして下さい。
  (仕組みが変わった場合、法律が改正された場合、重要な物は定期的に行う など)



  7.5.3 文書・記録の管理

  7.5.3.1 文書・記録を使う

a) 文書・記録は、必要な人が、必要な時に使えるように、仕組みを作って下さい。
  ◆ 必要な人がタイムリーに使用できるように、配置、配付、送付などを行って下さい。
    あるいは、コンピュータでアクセスできるようにして下さい。
  ◆ 文書は最新版を使うように(誤って旧版を使わないように)、配付の管理(最新版へ
    の差し替え)や、コンピュータで表示されるバージョンの管理を行ってください。
  ◆ 文書や記録は、検索ができるよう整理して保管して下さい。
b) 文書・記録のセキュリティ対策を行って下さい。
  ◆ 紙の文書・記録の、損傷の防止、盗難や情報流出の防止(施錠など)を行って下さい。
  ◆ 電子情報の、バックアップ、ウイルス対策や、情報流出の防止を行ってください。

  7.5.3.2 文書・記録を保管する

文書・記録を正しく保管して下さい。

a) 文書・記録を使える状態にして下さい。
  ◆ 適切に配付し、配置して下さい。
  ◆ 必要な人がアクセスできるようにして下さい。
  ◆ 検索できるように整理して下さい。
b) 文書・記録が損傷しないようにして下さい。
  ◆ 紙の文書は、読める(使える)状態を保って下さい(汚染や退色の防止。汚染・退色
    したものは速やかに取り換える)。
  ◆ 記録が、劣化、破損、紛失しないようにして下さい。
c) 文書・記録の変更が分かるようにして下さい。
  ◆ どれが最新版か分かるように、改訂番号や日付の表示を行って下さい。
  ◆ 旧版の文書は、「旧版」と判るような表示(識別)を行って下さい
  ◆ 文書・記録を改訂した場合は、改訂履歴や表示によって、変更された場所と内容が
    判るようにして下さい。
d) 記録の保管のルールを決めて下さい。
  ◆ 記録は期限を決めて保管して下さい。
  ◆ 保管期限を過ぎた記録の廃棄のルールを決めて下さい。

外部で作られた文書や記録も、同じように管理して下さい。
(顧客からもらった図面、手順書、契約書など。購買外注先から提出された検査成績書、
是正処置報告書など)

品質の証拠になる記録や文書は、不正な改竄が行われないように管理して下さい。

  <補足説明>
  アクセスの管理では、機密性がある文書や記録の、閲覧の許可のルールをj決めて下
  さい。また、コンピュータ内の文書・記録の閲覧の許可、及び変更の許可(権限)につい
  て決めて下さい。





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