らくらくISO9001講座

口語訳 ISO22000:2005
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宇野 通 編

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8章 仕組み全体がうまく動いているか

8.1 8章のまとめ
8.2 管理方法が確実なことを実証する
8.3 監視・測定機器の管埋
8.4 食品安全の仕組みの成果を確認する
8.5 改善

改訂 2010.08.23



 8章 仕組み全体がうまく動いているか 確認と改善

 8.1 8章のまとめ
食品安全チームは管理方法が確実なことを証明【管理手段の組み合わせの妥当性確認】するための
  方法を決めて、実行してください。
食品安全チームは、食品安全の仕組み【食品安全マネジメントシステム】に問題がない
  か評価し、改善するための方法を決めて、実行してください。


 8.2 管理方法が確実なことを証明する 【管理手段の組み合わせの妥当性確認】
衛生管理状態の監視【OPRP】及び重要なポイントの徹底管理【HACCPプラン】で決めた、管理
 方法(食品の処理方法・衛生管理の方法)がほんとうに効果的か、仕組みを実行に移す前に、実際の
 製品あるいは現地で検査を行なって確認をして下さい【妥当性確認】
 仕組みの変更を行った場合(8.5.2項で定める場合)にも、同じように確認をして下さい。
 妥当性確認の定義が、3.15項にあります。
 
◆確認すべきこと
  以下の両方を確認して下さい
  a)選んだ個々の管理手段は、狙いとするハザードを、予定通りに除去または低減させることができ
    るか。
  b)管理の方法は組み合わせた状態で、狙いとするハザードを除去または低減させることができるか。
    その結果、安全な最終製品が得られるか(ハザードが入っていても大丈夫なレベル【許容水準】
  になっているか)。

  どちらか一方でも確認できない場合は、管理手段やその組合せ方を変更して下さい。
  (管理手段とその組合せは、7.4.4で決めまています)
  変更後は、それでもう一度確認をして下さい。

◆見直しを実施する項目
  確認の結果必要ならば、以下の項目を変更して下さい。
  1)管理手段(監視する項目を変える、基準を厳しくする、その組み合わせ)
  2)原料
  3)製造技術
  4)最終製品の性格
  5)配送方法
  6)用途の変更


 8.3 監視・測定機器の管埋
◆必要な精度に配慮すること
  会社(組織)は、監視に用いる方法が、必要な情報を得るために適切なものであることを証明して下
  さい。
  また、その時に使う監視・測定機器が、必要な機能や測定精度を持っていることを証明して下さい。

【記録】
◆測定機器の管理方法
  食品の安全を証明するのに必要な測定については、測定機器を以下の通り管理して下さい。
  a)校正(または精度の確認)
・定期的に校正して下さい。または、使用前に校正して下さい。
・校正ができないものについても、定期的に精度を確認して下さい。または、使用前に精度を確
 認して下さい。
・重さ、長さ、温度、時間のように国際標準や国家標準があるものについては、これらの標準に
 繋がるような仕組みで校正(または精度確認)をして下さい。
   一般に、校正専門業者に依頼すれば、このような仕組みで校正ができます。
・国際標準や国家標準がないものについては、自分で校正(または精度確認)の方法を決めて、
 実施して下さい。そして、どのような基準で校正(または精度確認)をしたか記録して下さい
  b)調整
・調整の必要な機器については、確実に調整をして下さい。繰り返し調整の必要な機器につい
 ては、それも確実に行って下さい【再調整】。
  c)識別
・個々の測定機器について「その機器が校正されて、使ってよい状態にあるのかどうか」【校正
 の状態】が、使用者にわかるようにして下さい。
   校正の有効期限を機器に表示するのが一般的ですが、その他の方法でも結構です。
  d)校正状態の保護
・校正や調整された機器が、勝手に操作されて狂わされるようなことがないように、対策を行って
 下さい。
   e)機器の保護
・使用、持運び、保守点検、保管などの間に、測定機器が破損したり、狂ったりしないように、正し
 く保護し、取扱って下さい。

【記録】
◆校正の記録
  測定機器の校正または精度確認の記録を残して下さい
【記録】
◆異常時の処置
 ・会社(組織)は、作業方法や測定機器の精度が狂っていたことがわかったら、それまでにその測定方
  法や測定機器を用いた製品について、問題がないかどうかを調べて下さい。
 ・調べた結果は記録に残して下さい
 ・狂っていた測定機器は、校正、調整、修理、廃棄などの処理を行って下さい。
 ・もし製品に問題があることがわかったら、顧客に迷惑がかかることが無いよう、適切な対策を行ってく
  ださい。

◆コンピュータソフトウェア
 ・コンピュータプログラム(ソフトウェア)を用いて製品の検査や性能確認を行う場合は、そのプログラム
  で思った通りの測定ができることを確認して下さい。
 ・コンピュータソフトウェアが組み込まれた測定機器を使う場合も、同様にそのソフトウェアが狙い通りに
  機能し、予定した測定ができることを確認して下さい。
 ・これらの確認は、最初に使う前に行って下さい。また必要があれば、その後にも繰り返し確認して下
  さい。

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 8.4 食品安全の仕組み 【食品安全マネジメントシステム】 の成果を確認する
8.4.1 内部監査
【文書】【記録】

 ◆全般的な内容
  内部監査とは、自社(自らの組織)の仕事が正しく行われているかどうかを、ISOで推奨される監査手
  法を使って、自主的に調査することです。
  会社(組織)は内部監査を定期的に実施して下さい(実施の間隔を決めて下さい)。

◆調査内容
  内部監査では、次の点を調査して下さい。
  a)決められた通りに仕事をしているか
・個々の製品について決めた通りに仕事をしているか
食品の安全にかかわる仕組み【食品安全マネジメントシステム】を、自社(組織)が決めた
 通りにやっているか
・ISO22000で求める通りに仕事をしているか
  b)仕事の仕組みは良いか
・品質に関する仕事の仕組みが、良い結果につながっているか【実施】
・品質に関する仕事の仕組みが、周囲の状況の変化に合わせてうまく修正されているか【更新】

◆内部監査の計画【監査プログラム】
  会社(組織)は、どの時期に、どんな内容の監査をするかを決めた計画【監査プログラム】を立てて下
  さい
  計画には次の内容を含めて下さい
・基準 基準文書(ISO22000、食品安全マニュアルなど)
・範囲 対象部門、または対象製品や対象とする仕事【プロセス】)
・頻度 監査をする頻度(年間の実施回数、監査の間隔など)。
・方法 監査の手法
  監査は全社(全組織)一律に行うのではなく、次の点を考慮して、より重要な部門や仕事に対して
  ウェイト(が高くなるように計画して下さい(監査する項目、監査に使う時間、年間の実施回数など)。
・仕事【プロセス】の現状と重要さ
・部門【領域】の現状と重要さ
・今までの監査の結果

◆内部監査の実施/内部監査員の選定
  監査は、ルールに基づいて公平に行って下さい。そのため、内部監査員の選択も、ルールに基づき、
  公平に行ってください。内部監査員が自分の仕事を監査することがないように、内部監査員を決めて
  下さい(同じ部門の業務であっても、自分が関係していなければ良い)。

◆内部監査のルール
  内部監査のルールを決めて、そのルールを書いた文書を作って下さい【文書化された手順】
  内部監査のルールの中で、次の項目について、やり方とその責任者を決めて下さい
・内部監査の計画
・内部監査の実施
・内部監査の報告
内部監査の記録とその保管
  これらは、文書に決めた通りに実施してください。また、必要な場合には、決まりと文書を改めて下
  さい。

◆不具合の修正と是正処置
  内部監査を受けた部門の責任者は、すぐに指摘された不具合を修正し、さらに是正処置(再発防止
  対策)を行って下さい。

◆内部監査の事後確認
  内部監査の事後確認【フォローアップ】では、次のことを行ってください。
・不具合の修正と是正処置が行われたことを確認して下さい
・確認した内容を報告して下さい

8.4.2 食品安全チームによる管理状態の確認


◆食品安全チームの再確認
  7.8項では、自社で決めた活動が確実に行なわれていることを確認しました【検証プラン】
  食品安全チームは、担当者が行なったこの確認【検証】の結果を再確認【評価】して、個別の結果が、
  全体として、良い結果に結びついていることを確認して下さい。
  この評価は、計画的で、全体の状況が分かるように【体系的に】行って下さい。

◆問題がある場合の処置
  再確認の結果、問題を発見した時は(基準はずれ、ルールが守られていない、結果としてうまく管理で
  きていないなど)、正しい状態に直してください。加えて、次のような仕組みの点検をして下さい。
  a)仕事の進め方(仕組み、手順)に問題はないか(7.7項)
    社内の情報伝達の方法、外部との情報交換の方法に問題はないか(5.6項)
  b)ハザードの分析(事故の原因となるものの調査)7.4項)の結果に問題はないか
衛生管理状態の監視【OPRP】7.5項)の方法に問題はないか
重要なポイントの徹底管理【HACCPプラン】7.6.1項)に問題はないか
  c)衛生的な環境作り【PRP】7.2項)の内容に問題はないか
  d)従業員の力量に問題はないか。教育・訓練(6.2項)の効果は上っているか。
  これ以外にも必要な項目があれば、仕組みの点検を行なって下さい。

8.4.3 食品安全チームによる結果の分析 【検証活動の結果の分析】

【記録】
食品安全チームは、前項の検証で得たデータや情報を分析して下さい。
 外部監査や内部監査の結果も、分析の対象にして下さい。

◆分析では、以下のような点に着目して下さい
  a)全体として、実際に食品の安全が保たれているか
    全体として、活動の結果が、定めた基準やルールに合っているか
  b)仕組みを変更したり、改良したりする必要はないか
  c)どのようなケース(製品、工程、時期など)で、基準外れやトラブルが起こりやすいか
  d)内部監査の重点チェック項目(製品、工程、部門)を決めるために、情報を整理する。
  e)再加工や追加の処理【修正】、再発防止によって問題が解決していることを、その後の結果から
    確認する。

◆分析の結果を記録して下さい(形式は問わない)
  分析の結果、何らかの対策を行った場合も記録して下さい(形式は問わない)

◆分析の結果は、マネジメントレビューで、経営者に報告して下さい( 5.8.2項にマネジメントレビューの
  報告事項を定めています)

◆分析の結果から、食品安全の仕組み【食品安全マネジメントシステム】の定期的な見直しの際
  (8.5.2項)に必要な情報を整理して下さい。


 8.5 改善
8.5.1 仕組みを改良すること


 会社(組織)は、より良い結果につながるように、常に仕事のやり方をチェックし、改良して下さい。そのた
めに活用する活動は、次のものです。
  ・組織の内外での情報のやり取り【コミュニケーション】(5.6項)
  ・マネジメントレビュー(5.8項)
  ・内部監査(8.4.1項)
  ・食品安全チームによる管理状態の再確認(8.4.2項)
  ・食品安全チームによる結果の分析(8.4.3項)
  ・管理方法が確実なことを実証する(8.2項) 
  ・是正処置(トラブルの再発防止)(7.10.2項)
  ・食品安全の仕組み【食品安全マネジメントシステム】の定期的な見直し(8.5.2項)

8.5.2 食品安全の仕組み【食品安全マネジメントシステム】を最新の状態にする

【記録】

◆経営者は、会社(組織)が、常に食品安全の仕組み【食品安全マネジメントシステム】の内容を、
 確認して、必要な変更【更新】を行うように、指揮して下さい。

◆食品安全チームによる評価
  食品安全チームは、定期的に食品安全の仕組み【食品安全マネジメントシステム】に問題がな
 いか、評価をして下さい。そして、次の項目について必要な変更を行ってください。
・ハザードの分析(事故の原因となるもののリストアップ、判定、管理方法の決定)(7.4項)
衛生管理状態の監視【OPRP】(7.5項)
重要なポイントの徹底管理【HACCPプラン】(7.6.1項)

◆評価に使う情報
  食品安全の仕組み【食品安全マネジメントシステム】の評価は、以下の情報に基づいて行います。
  a)組織の内外での情報のやり取り【コミュニケーション】から得た情報(5.6項)
  b)食品安全の仕組み【食品安全マネジメントシステム】が、
・つじつまが合っているか【適切性】
・実態とずれていないか【妥当性】
・良い結果が出ているか【有効性】
    に関する、様々な情報
  c)食品安全チームによる結果の分析(データの分析)(8.4.3項)
  d)マネジメントレビューの決定事項(5.8.3項)

◆報告と記録
  食品安全の仕組み【食品安全マネジメントシステム】の評価や変更の結果は、マネジメント
 レビューで報告して下さい( 5.8.2項)。
  報告した内容を、記録に残して下さい。



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