らくらくISO9001講座


  
ISO9001
2015年版
【建設業編】

灰字は、JISが用いている用語
緑字は、本文にない、この口語訳独自の補足


1〜4章
(改訂 2018.10.27)

1章 ISO9001の使用
2章 引用規格
3章 言葉の定義
4章 仕組みの全体に関わること
 4.1 会社を取り巻く状況
 4.2 自社の仕事に関わる人や会社
 4.3 ISO9001で管理する仕事の範囲
 4.4 品質に関わる仕組みの概要




1章 ISO9001の使用

   ISO9001を取り入れると,次の効果がある。
    a)  品質管理の実力を証明できる(注文通りの施工ができる。法律を守ることができる)。
    b)  良い仕事で、顧客の期待に答えられる。【顧客満足の向上】
   ISO9001は,あらゆる業種や規模の会社や組織で使えるように作ってある。

  <補足説明1〜3> 




2章 引用規格

   ISO9001は次の3項で、ISO9000:2015の規格の中の「3 用語および定義」を使用することを決め
   ている。ISO9000が改訂されることがあっても、今の2015年版を使う。




3章 言葉の定義

   このISO9001で使う言葉の定義は、ISO9000:2015の「3 用語および定義」に載っている。





4章 全体の仕組み


 4.1 会社を取り巻く状況

   自社が置かれた状況(儲かりそうな話、儲からない話、困っていること、この先に困りそうなこと)
   について、説明できること。【外部及び内部の課題】
@ 工事の出来ばえや、顧客の満足に影響するものを取り上げること。
A 社外の状況と、社内の状況の両方を取り上げること。
B 経営戦略の視点で考えること。
   常に新しい状況の把握に努めること。

   <補足説明1> 
ここで言う動きや状況には,良い話も悪い話もある。
   <補足説明2> 
社外の状況は、次の点を考えると良い。
公共工事の動き、民間顧客の動き、同業他社の動き、新しい工法、世の中の流行、景気の動向、
地域の事情、政府の方針、国際的な動き
   <補足説明3> 
社内については、次の点を考えると良い。
会社の体質、従業員の考え方、持っている情報、利益率、工事の出来栄え




 4.2 自社の仕事に関わる人や会社

  a) 自社の仕事に関わる人や会社(またはその他の組織)をリストアップすること。
ここでは、工事に直接関係する人や会社だけでなく、工事に間接的に影響を与える人も挙げる
こと。
    例) 顧客(発注者、元請業者、デベロッパーなど)、建物のオーナー、建物の使用者、監督官庁、
       検査機関、資材メーカー、協力業者、近隣住民など

  b) それらの人や会社との間とで約束していること、または期待されていることを、把握しておくこと
(説明できること)。

  このような約束や期待について、常に情報を入手すること。




 4.3 ISO9001で管理する仕事の範囲

   このISO9001の仕組みで管理する仕事の範囲を決めること。
   協力業者に任せている仕事について、どこまでを自社の仕事(管理の範囲内)と見なすかを決める
   こと。また、ISO9001の条項の内、存在しない仕事があるかどうかを決めること(設計をやっていない
   など)。

   このような管理の範囲は、次の点をよく考えて決めること。
a) 4.1でまとめた、会社が置かれている状態
b) 4.2でまとめた、関係する[人や会社]との約束と期待
c) 自社が手掛ける建造物の種類

   原則として、ISO9001の条項の全てを行うこと。ただし、業務の性格から見て、自社に存在しない
   仕事(条項)は、実施していなくても良い(建設業では、設計を、やっていない場合がある)。
   「管理する仕事の範囲」を文書(通常は品質マニュアル)に書いておくこと。そこでは「対象となる
   業務」を、外部の人にも分かるような表現で記すこと。
   ISO9001の条項の内、「自社には存在しない」仕事がある時は(設計をやっていないときは)、その
   旨をその文書(品質マニュアルなど)の中で説明すること。
   工事の出来栄えや顧客満足に影響する仕事を、管理する範囲から外してはいけない。
  



 4.4 品質に関わる仕組みの概要


 4.4.1 基本的な考え方
  
  ◆ISO9001全体のまとめ
ISO9001と合うように仕事の仕組みを決めること。この仕組みに従って仕事をすること。必要に
応じて仕組みを変更し、改良すること。

  ◆仕事の管理の考え方【プロセスアプローチ】
会社が、どのような仕事(主業務、工種、間接業務など)【プロセス】の組合せで動いているか
を整理すること。
a) それぞれの仕事について、準備が必要なもの【インプット】と、結果として得られるもの
   【アウトプット】を、意識して管理すること。
b) これらの仕事の繋がり方を、意識して管理すること。
c) それぞれの仕事について、どのように管理するかを決めること。チェックや検査をする項目
   と、その判定基準を決めること。
d) 必要なスタッフを配置すること。必要な機械、工具、仮説設備、車両、OA機器などが使え
   るようにすること。
e) それぞれの仕事の責任者と、決定権がある人を決めること。
f)  6.1で決めた「リスクへの対策」と「機会を生かすための活動」をすること。
g) それぞれの仕事が上手くいっているかをチェックすること。
   良い状態を保つために、必要な場合には、仕事のやり方を変えること。
h) 仕事がさらに上手くゆくように、仕事を改良すること。



 4.4.2 文書と記録
   a)  仕事を正しく行うために必要な文書(手順書、施工計画書、図面など)を用意すること。文書、
  は、必要に応じて改訂をすること。
   b)  仕事が正しく行ったことを証明するための記録を作ること。記録は、紛失や損傷をしないよう
  に保管すること。




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