らくらくISO9001講座


口語訳 ISO14001:2004


監視の巻

4.5 活動の監視・予防・再発防止
  4.5.1  監視・測定
  4.5.2 法律や外部との約束の遵守
  4.5.3 不適合の処置・是正処置と予防処置
  4.5.4 記録
  4.5.5 内部監査

4.6 マネジメントレビュー

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4.5 活動の監視・予防・再発防止

4.5.1  監視・測定

◆監視・測定の実施
  ◇ルールを決める
 会社は、《大きな環境の変化》【著しい環境影響】につながる(つながるかもし
れない)業務や活動について、管理のポイントとなる値(次の項の@〜B)を、日
常的あるいは定期的に、監視や測定をすること。
 その値の監視や測定の方法をルールとして決めること。
 このルールを実行すること【実施】
 状況の変化に応じて適切にルールを改めること【維持】。

  ◇監視・測定の種類
監視や測定には、次の3種類がある。
 @ 環境を表わす数値(汚染物質の濃度、騒音、使用電力量など)を直接計る
   もの
 A 仕事が問題なく進んでいることを監視するもの(処理した数量、仕事の進捗
   度など)
 B 《環境のために何をどこまで変えるのか(長期計画)》 【環境目的】
   《環境のために何をどう変えるのか(年度計画)》【環境目標】
   について、活動の進捗状況を確認するもの

  記録
 これらの、監視や測定から得たデータに加え、それを分析し評価した結果を合
わせて書面(記録)に残すこと

◆監視・測定機器の管理
 監視・測定機器は、ルールを決めて校正や精度管理をしたものを用いること。そ
のために仕組みを作り、実施すること。
 校正や精度管理の記録を残すこと



4.5.2 法律や外部との約束の遵守

4.5.2.1 法律で決められた基準値の監視

  ◇ 会社(組織)は、法令の遵守を約束しており、それを定期的に確認すること。
 ・ 法律で決められた通りに業務を処理し、記録していることを確認する。
 ・ 法律で決められた届出や報告を行っていることを確認する。
 ・ 法律で定められた環境基準値を守っていることを、定期的に監視または測定
  する。
 これらについて、ルールを決めること。
 このルールを実行すること【実施】
 状況の変化に応じて適切にルールを改めること【維持】。
  ◇ 定期的な監視・測定の結果を記録に残すこと。 

4.5.2.2 外部と約束した事項の監視

  ◇ 法律以外の外部との約束についても、守られているかどうか監視すること。これ
は、前項の法律の基づく監視(4.5.2.1)に含めても良いし、別のルールでも良い。
  ◇ 定期的な監視・測定の結果を記録に残すこと。



4.5.3 不適合の処置・是正処置と予防処置

◆不適合の処置
 会社は、環境に関して基準から外れていること【不適合】がわかったら、ただちに
その被害を小さくするための処置をとること。それ以外でも、ルールから外れてい
る【不適合】場合には、修正すること。
 会社は、不適合が発生したら、再発防止の対策【是正処置】を行うこと。
 会社は、不適合や環境汚染の恐れがある場合には、未然防止の対策【予防
処置】を行うこと

◆是正処置と予防処置
 会社は、不適合の処置、是正処置、予防処置に関してルールを決めること。こ
のルールを実行し【実施】、また状況の変化に応じて適切に改めること【維持】。

a) 不適合の内容(発生している問題)を把握すること。状況に応じて、応急処置
  で不適合の発生をストップし、環境汚染の拡大を防止する対策を行うこと。

b) 不適合の原因を調査し、はっきりさせること。
  見つけた原因を取り除いて、不適合の再発を防止すること(是正処置)

c) この不適合に対して、さらに予防処置の必要ないかを判断すること。必要な
  場合には、決めた対策を実施すること(予防処置)

d) 実施した是正処置予防処置の結果を、記録に残すこと。

e) 是正処置予防処置の結果が良かったかどうかを評価すること。

 実施する是正処置予防処置は、問題の大きさや、発生した環境への影響の
重大さに応じて、バランスの取れた内容とすること。
 是正処置予防処置の結果として、文書(ルールを文書化したもの)の変更が
必要になったら、確実に実行すること。

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4.5.4 記録

◆記録の作成と維持
 会社(組織)は、自社が環境を良くする仕組み【環境マネジメントシステム】を守
り、ISO14001にしたがっていることを証明するために、必要な記録を決めて作成
すること。
 作成した記録は、正しく保管すること【維持】。

◆記録の管理方法
記録の作成と、保管は以下のようにすること。
 @ 何の記録かすぐに分かるようにする(表題、見出しなど)【識別】
 A 損傷・劣化・紛失しないように保存する【保存・保護】
 B すぐに探し出せるように整理しておく【検索】
 C 保管期間を決める
 D 誰がどのように廃棄するのかをきめ、実施する

 記録は、読みやすく、何の記録か分かるように作り【識別可能】、製品ロットや日
時を指定すれば、関係する記録が出せるように管理すること【追跡可能】



4.5.5 内部監査

◆内部監査の目的
会社は、内部監査を定期的に行うこと

内部監査は、次の目的のために行う
a) 環境に関わる仕組み(環境マネジメントシステム)がどうなっているかを
  確かめる
1) ISO14001や自社で定めたルールが守られているか
2) 環境を良くする仕組み【環境マネジメントシステム】が順調に動い
  ているか。また、状況の変化に応じて適切に改められているか。
b) この監査の結果を経営者に報告する

◆内部監査の計画
会社は内部監査の計画を作ること【策定】。
この計画を実行すjること【実施】
状況の変化に応じて適切に計画を改めること【維持】
内部監査の計画の中では、監査する仕事の重要さと、今までの監査の成績を考
慮して、部門ごとの監査の頻度や内容を変えること。

◆内部監査の方法
内部監査のやり方に関してルールを決めること。
このルールを実行すること【実施】。
状況の変化に応じて適切にルールを改めること【維持】。
ルールの中で次の点について決めること。
  1) @ 監査の計画(責任者と実施方法)  
     A 監査の実施(責任者と実施方法)
     B 監査結果の報告(責任者と実施方法)
     C 監査の記録の保管(責任者と実施方法)
  2) @ 監査の基準をどのように決めるか  
     A 監査の範囲をどのように決めるか
     B 監査の頻度をどのように決めるか  
     C 監査の方法をどのように決めるか

 監査員の選定や、監査の実施には、客観性と公正性を持って当たってください
(特に、監査員は自分の仕事を監査しないように配置する)。

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4.6 マネジメントレビュー

◆マネジメントレビューの内容
  ◇ 経営トップは、環境に関わる仕組み(環境マネジメントシステム)が上手く働いて
いるかどうか評価し、指示を与える機会(マネジメントレビュー)を作ること。その実
施間隔(時期)を決めること。
  ◇ マネジメントレビューでは、次の観点で仕事の仕組みを評価すること。
 @ 環境に関わる仕組み(環境マネジメントシステム)は適切か【適切】
 A 実態とずれていないか【妥当】
 B 予定通りの結果を出しているか【有効】
  ◇ マネジメントレビューでは、次の点について結論を出すこと
 @ 環境方針、【環境目的】、【環境目標】を改める必要があるか
 A その他、環境を良くする仕組み【環境マネジメントシステム】を改められる部
   分があるか
 B 環境を良くする仕組み【環境マネジメントシステム】を変えなければならない
   部分があるか
  ◇ マネジメントレビューの結果を記録し、保管すること

◆マネジメントレビューへの報告事項【インプット】
 マネジメントレビューを行うに当たって、次の情報【インプット】を経営者に報告す
ること。
 a) 内部監査の結果/法律や外部との約束を守ることができたか
 b) 外部からの苦情/その他の外部からの意見や情報交換の内容
 c) 環境管理の実績(監視や測定の結果)
 d) 【環境目的】、【環境目標】の達成状況や進捗状況
 e) 再発防止活動【是正処置】と未然防止【予防処置】の結果
 f) 以前のマネジメントレビューで決まったことへの対応状況
 g) 環境に関する周囲の状況の変化(法律の変更、外部との約束の変更、その
   他)
 h) 改善のための提案

◆マネジメントレビューに基づく指示【アウトプット】
経営者が出す指示【アウトプット】の中で、次のことを決めること。
 @ 環境方針の変更が必要か。必要な場合にはその実施について決める。
 A 【環境目的】や【環境目標】の変更が必要か。必要な場合にはその実施につ
   いて決める。
 B その他、環境に関わる仕組みの変更が必要か。必要な場合にはその実施
   について決める。

マネジメントレビューの指示事項は、"環境の改善につながる活動を続けてゆく"
【継続的改善】ことについての約束と、つじつまが合っていること。

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