らくらくISO9001講座


口語訳 ISO14001:2004


はじまりはじまり

序文
1 ISO14001の使用目的
2 引用規格
3 用語の定義

計画の巻

トップへ
戻る



序 文
◆環境改善に関心を持つ組織が増えている
 今、会社、行政機関、教育機関、その他の法人、組合など、様々な組織の人々
が、環境問題に関心を持っている。そして、自らの環境に関する方針や目的を決
め、自社(組織)の環境への影響【環境パフォーマンス】を改善する必要性を感
じている。また、そのことの証明を求めている。

このように関心が高まっているのは、次のような動きがあるからだ
 @ 環境に関わる法規制が、だんだん厳しくなってゆく
 A 環境保全を進めるために、経済的な政策が行われる(環境税など)
 B その他、環境保全を進めるために、仕事に対する制約条件が増える
 C 顧客、株主、行政、地域住民などの関係者【利害関係者】が、環境問題に関
   心を持って組織を評価するようになる。

◆環境マネジメントの必要性
 多くの会社(組織)は、自らの環境管理について確認【レビュー】や調査【監査】を
している。しかし、それをだけでは、法律や自社の《環境方針》を守っていることを
(そして今後も守ってゆけることを)確かめたとは言えない。法律や環境方針への
対応を確実に行うには、体系化された仕組み【マネジメントシステム】が必要
だ。

◆ISO14000シリーズのねらい
 ISO14000シリーズの規格が紹介している環境管理の手法は、会社(組織)が環
境管理に関する目標を達成し、かつ他の経営上の課題とも合致し、経済的に成り
立つことをねらっている。
 ISO14001は(ISO9001などと同様)、貿易する際の規制【非関税障壁】として使わ
れることを望んでいない。また、会社(組織)に対して、法律以上に上乗せして何か
を求めるものでもない。

◆ISO14001の内容の特色
 ISO14001は、会社(組織)が環境方針や目的を決めて、実行してゆくための仕
組み【環境マネジメントシステム】について書いている。この環境方針や目的は、
会社が、法律上の決まりと、自社(組織)の活動の中から選び出した《環境に大き
く影響すること》【著しい環境側面】を元に決める。 ISO14001はあらゆる種類や
大きさの組織で使えるように作っている。また、どの地域でも、どのような文化的
背景や社会的背景があっても使えるように考えている。

図1に、ISO14001の考え方の基本を示す。(口語訳では図を省略)

 ISO14001の仕組みは、会社(組織)のあらゆる部門のあらゆる層の人が、約束
したことを実行することでうまく行く。特に、経営者が約束したことを実行することが
重要だ。
 ISO14001に沿って活動すると、以下のことを実行することになる。
  @ 会社(組織)が環境方針を決める
  A 環境方針で約束したことを実現するために《環境のために何をどこ
    まで変えるのか(長期計画)》【環境目的】を決める。また、そのため
    の仕事のやり方【プロセス】を決める
  B 環境への影響【環境パフォーマンス】を改善するための活動をする。
  C その仕組みがISO14001に合っていることを証明する。

 ISO14001の目的をまとめると、「社会の要求や、経済的な問題とバランスをとり
ながら、環境保全や汚染の防止を進めてゆくこと」ということだ。
 ISO14001で決めたいろいろな活動に、同時に取組み、また必要に応じて仕組み
を見直しながら進めてほしい。

◆第2版(2004年版)の編集方針
 このISO14001の第2版(2004年版)では、第1版(1996年版)の分かりにくい点を
書き改めた。また、ISO9001と同時に取組む会社(組織)のために、ISO9001と共
通する部分は、なるべく同じ内容になるように改めた。

◆附属書について
附属書Aとして、このISO14001を使用する際のガイドをつけている。使いやすいよ
うに、附属書Aの項目番号は、ISO14001本文と合わせた。
本文の4.3.3のガイドが附属書AのA.3.3(目的、目標及び実施計画)、
本文の4.5.5のガイドが附属書AのA.5.5(内部監査)、
のように対応している。
附属書Bは、ISO14001とISO9001の項目の対応をまとめたものだ。

◆評価基準とガイドブック
 規格には、次の種類がある
  @ 会社(組織)の取組みを評価(審査・監査)するための基準【要求事項】
  A 技法を紹介することを目的とし、評価には使用しないガイドブック【指針】
 ISO14001は、評価するための基準【要求事項】なので、これを利用して、会社
(組織)が、環境を良くする仕組み【環境マネジメントシステム】を持って活動してい
ることを証明できる。そのことで、会社(組織)の姿勢を利害関係者(顧客、株主、
行政、地域住民など)に知らせ、理解してもらうことができる。

 一方、ISO/TC207(ISOの技術委員会)は、環境に関する技法を紹介した規格
(ガイドブック)【指針】をたくさん作っている。これらは、評価基準ではないので、参
考情報として使ってほしい。
 ISO14001には評価基準しか書かれていないので、その詳しい考えかたや、実施
上の技法を知りたい時はISO14004(環境マネジメントシステム−原則、システム及
び支援技法の一般指針)を見てほしい。

◆数値を定めるのではない
 ISO14001は、会社(組織)の環境への影響【環境パフォーマンス】の度合い
を、具体的な数値として決めたものではない。それらの数値基準は、法律で、利害
関係者(顧客、株主、行政、地域住民など)との約束で、あるいは自ら決めること
になっている(そのことは、環境方針で約束しているはずだ)。
 ISO14001は、数値を決めないので、同じ物を取扱っていても、会社(組織)によっ
て違う基準値を採用し、環境への影響【環境パフォーマンス】の度合いが異なる
場合がある。

◆新しい技法を取り入れること
 様々な環境改善のための技法を実施すれば、全ての利害関係者(顧客、株主、
行政、地域住民など)が満足する結果になるだろう。しかし、ISO14001のみでは、
必ず最適な結果がでるとはいえない。
 それでも、ISO14001を通じて、会社(組織)の【環境目的】(環境のために何を
どこまで変えるのか)を実現するために、経済的な事情と、その効果のバランス
を考えながら、新しい技法を取り入れるように努めてほしい。

◆他の経営の仕組みとの組み合わせ
 ISO14001の中では、環境以外の経営の仕組み(品質に関わる仕組み、労働安
全や衛生に関わる仕組み、財務に関わる仕組み、リスクマネジメントなど)につい
て触れていない。
 しかし、実際の会社(または組織)の活動の中では、環境の仕組みと他の仕組
みを組み合わせ、一つの経営の仕組みとしてまとめて動かすことが行われる。そ
こで、ISO14001は他の仕組みと合わせやすいように配慮している。
 会社(または組織)がISO14001に従った仕組みを作る際に、既に動いている他
の仕組みと共通する部分があれば、それを利用することも可能だ。ただし、どの
部分を利用するかは、会社(組織)の考え方や利害関係者(顧客、株主、行政、地
域住民など)の要望によって変わる。

◆環境マネジメントシステムの複雑さ
 環境を良くする仕組み【環境マネジメントシステム】の複雑さや、文書の量
や、かける人や費用などは、それぞれの会社(組織)の事情(適用範囲の広さ、会
社の規模、製品や仕事の種類)で異なるものだ。
 特に、中小企業が大手企業と同様のやり方にあわせる必要はなく、自社の実情
に合ったレベルで行うことでかまわない。

先頭へ戻る

1.ISO14001の使用目的

◆ISO14001の性格
 ISO14001は、会社(組織)が《環境方針》《環境目的》を作り、実行するため
の仕組みだ【環境マネジメントシステム】
 この《環境方針》《環境目的》を作る際には、以下の@〜Bの内容に配慮す
る。
@ 法律上の決まり、
A 外部の関係者(顧客、行政、地域住民など)との取決め、
B 自社(組織)の活動の中の《環境に大きく影響すること》【著しい環
  境側面】

 ISO14001のルールは、会社(組織)が選び出した《環境に影響すること》【環境
側面】を対象として実施する。
 《環境に影響すること》【環境側面】は、次のいずれかに該当するもの中から、
会社(組織)自身の判断で選ぶ。
@ 会社(組織)が管理できるもの
・使用するもの  ・排出するもの  ・製品の機能 など
A 直接は管理できないけど、働きかければ変えられるもの
・会社(組織)の周辺の環境、
・購入先・外注先・輸送業者などの仕事が環境に与える影響
・販売後・使用後の製品が環境に与える影響
・会社(組織)の活動や製品が巡り巡って効果につながるもの など

 ISO14001は、環境に関する具体的な基準値を決めない。基準値は別に決めら
れていると言う前提で、管理の仕組みのみについて決めている。

◆ISO14001の使い方
ISO14001は、次のような用途に使える。
a) 環境を良くする仕組み【環境マネジメントシステム】を作る【確立】。
   そこで決めたことを実行し【実施】、状況が変わった場合には仕組みを変更
   し【維持】、さらに良い結果が出るように改善する【改善】
b) 自社(組織)が《環境方針》に沿って動いていることを(経営者が)確かめる。
c) ISO14001への適合を示すことで、会社(組織)の取組みについて、外部の関
   係者(顧客、行政、地域住民など)【利害関係者】の理解を得る。ISO14001
   への適合を示すには、次のような方法がある。
1) ISO14001に合っていることを自己宣言する
2) ISO14001に合っていることを、外部の関係者(顧客、行政、地域住民
   など)【利害関係を持つ人やグループ】が確認する。
3) ISO14001に合っていることを自己宣言し、そのことを外部の団体(機
   関、グループ、個人)に確認してもらう
4) 審査登録機関の審査を受け、登録(認証)を受ける

 ISO14001の全てのルールは、あらゆる種類の会社(組織)で使えるように作って
ある。ISO14001をどの範囲で実施するかは、会社(組織)の《環境方針》、製品や
仕事の性質、会社(組織)の立地条件などによって、判断すると良い。

 この規格を利用する際のガイドとして、附属書Aを付けた。



2.引用規格

 この規格で引用する規格はない(1996年版にはこの項目があり、項目番号を変更しな
いために、内容はないが項目として残しておく)



3.用語の定義

 省略
(口語訳は、日常的な用語の意味で読めることを目指していますので、用語の定義は
 必要がありません)


先頭へ戻る

計画の巻へ




トップへ
トップへ
戻る
戻る