らくらくISO9001講座



ISO成功のための10の視点(3)

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  8.ISO対応と通常業務の線が引けないようにする


◆ ISOをサボりの口実にさせない
◆ ISOはなるべく見えないようにする
◆「ISOで決まっているから」と口にするたびに、ISOの値打ちは下ってゆく



 「ISOで決まっている」「ISOの審査で指摘される」と言えば、みんな真剣にやってくれる と
考えていませんか。実は、全く逆です。
 確かに最初は、上の台詞も表面的には効果があります。しかし、やがて皆は次のよう に考
えます。「これは仕事じゃなくてISOだろう」「仕事が忙しいんだからISOなんかやってられない
よ」。

 「ISOだから」と言うのは、ISO事務局にとっては楽です。しかし、これに頼れば頼るほど
ISOは実務から乖離してゆきます。そうならないためには、ISOはなるべく目立たないように
した方が良いです。言葉も、なるべくISO用語は使わないようにしましょう。例えば、

 品質方針        → 経営方針、社長方針
 品質目標        → 事業目標、年度目標
 マネジメントレビュー → 経営会議
 不適合         → 不合格、トラブル

 こんなことを言っていると「そこまでしてISOが必要なの?」と言う声が聞こえてきそうです
が、ISOは表で目立たなくても、大きなメリットがあります。ISOの枠組みを利用することで
会社の仕事が体系化され、システム化されます。定期的に外部のチェックが入り、外 部に
説明することで、確実に業務のレベルアップが図れます。

 この効果は、なぜかISOを目立たなくした方が大きくなるのです。





  9.「これでは審査で指摘されます」の使い方を間違わない


◆「これでは審査で指摘されます」には2種類ある
◆ ISOは良き外圧として使う
◆事務局の権威付けにISOを使うな



「これでは審査で指摘されます」
この台詞に2種類あることを知っていますか?

<正しい使い方>
 ISO導入に当たって、今まではバラバラだった営業所の顧客文書の整理のルールを決め
ました。でも、決めた通りに出来ていません。
   事務局 「これじゃ審査で指摘されますよ」
   営業所長 「みんな審査までには何とかしろ」
 この場合は、両者とも、書類整理は ISOに関係なく必要だと思っています。 その上で、
ISOを気が重い仕事をするキッカケに使っています。

<誤った使い方>
 営業所では、QMSで導入した受注記録が書きにくく、作業効率が落ちて困っています。
   営業所長「ここまで記録する必要ないだろう」
   事務局 「審査で指摘されてもいいんですか」
 この場合は、事務局が、その記録の必要性を説明できないので誤魔化しています。しかも、
ISOを振りかざすことで、自分の発言力を確保しようとしています(コンサルタントにもこういう
人がいます)。こんなことをしていたら、ISOは審査のための記録作りになってしまいます。

 審査を意識することで、本来するべきことが確実にできるのが、ISOの効果ですから、
時には、「これでは審査で指摘される」と脅かしても構いません。
 でも、正しく使ってください。






  10.審査の方向性を決めるのは受ける側


◆審査員は空気を読む
◆審査員は、経営について語る会社でしか、経営の話しをしない
◆第3者審査は企業の姿勢を写す鏡



 「審査員が規格解釈の細部にこだわるので、それに対応するために重いしくみになった」と
いう話を、企業のISO担当者から聞くことがあります。
 でも、審査員だって、経営について熱く語る社長に対して、チマチマした規格の話なんか
できませんよ。逆にガチガチの仕組みの組織に行けば、「もう少し楽にしてもいいんですよ」
と言いながらも、その努力を誉め、細かい審査します。

 審査員はサービス業で、話を聞くのが仕事ですから、場の空気を読んで、企業が力を入れ
ている方面に話題を 向けます。
  ◎審査員は、経営を語る会社では、経営の方向付けについて話を聞きます。
  ◎審査員は、実務について語る会社では、実務の改善について議論します。
  ◎審査員は、規格の解釈を語る会社では、規格の話題で盛り上がります(根が好きで
    すから)。

 もし自社の審査ではISO特有の瑣末な問題ばかり話していると思ったら、それは、審査の
問題ではなく、自社の問題かもしれません。




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