らくらくISO9001講座


ISO9001はまだ必要なのか?
 
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 ISOの新規登録件数が減っています。ISOは一時期のブームに過ぎず、もう役目を終えたのでしょうか? 
そんなに単純なものではありません。ISO9001は、経営や品質保証の基本として、産業に深く根を下ろして
います。時期によって登録数が増減し、将来的には様々な制度の変更があったとしても、品質マネジメントシ
ステムは存在し続けるでしょう。 


 1 必要だから続いている

 ISOで良くなった会社は、実際にはたくさんあります

 ISO9001の導入で組織改革に成功した社長から聞いた話です。
「業界の集まりなどでISOの話をしても、書類が増えたとか、費用がかかるとか、レベルの低い話ばかりで
話が合わないので、外ではISOの話はしない」。
 失敗した会社は声高に批判しますが、ISOを使いこなしている会社は、あまり話しません。

 日本のISOの元締めであるJABがやったアンケート(2009年9〜10月実施 1500件に送り、回答率53.
1% ISO9001・ISO14001含む)では、
製品品質や環境パフォーマンスの向上」については、「期待通り」が9.5%、「ある程期待通り」が70.2%
業務の仕組みの明確化・業務改善」については、「期待通り」が11.9%、「ある程期待通り」が67.1%
となっています。
 まあ、うまく行っている会社ほど回答率が高く、回答するISO担当者はひいき目に見るから、バイアスが
かかっているとしても、5%ぐらいは大成功。半分程度の会社は、それなりに効果を出していると見てよい
でしょう。

 ちゃんと導入して運用すれば、やった分だけのメリットはあります。日本でISO9001登録が始まって15年
以上がたち、国内でISO9001登録企業(事業所)は7万件です。いろいろと、批判を受けていますが、効果
がなければ普及はしません。


 2 ISO9001がないと下請け管理ができない

 機械メーカーや、電機メーカーでは、仕入先・外注先の出来が、自社の製品の品質に直結します。だから、
業者への立入監査や、品質管理の指導が必要です。
 仕入先や外注先にISOを取らせたら、取得のために自分で勉強し、審査機関がチェックや指導をしてくれま
す。ISO9001をベースにすれば、話しは良く通じるし、要求した記録も出てきます。購買する立場から見れ
ば、こんな便利なシステムはありません。


 3 中小企業が使える数少ない経営手法の一つ

 次々といろいろな経営手法(アルファベット3文字のヤツ)が出てきますが、どれも大企業を想定したもの
で、中小企業ではうまく使えません。
 でも、ISO9001ならば、自由度が高く、業種や規模に合わせてカスタマイズしながら使えます(本当だよ)。
ISO9001は、もともと下請け会社にやってもらうための道具なので、中小企業向けなんです。品質の改善、
業務の効率化、従業員のモチベーションアップなど、いろいろな目的で使えます。今のところ、ISO9001の代
わりになるものはなさそうです。



 4 新興企業が信用を得るための有力な手段

 新しい企業が信頼を得る手段としては、ISO9001は依然有効です。
 人員的に余裕のない小さな企業にとっては、体勢を整えてISO9001をとることは、高いハードルになりま
すから、取得すれば他社との差別化になります。
 そもそも、小企業やベンチャー企業は、個人のスキルで運用されていて、システムとして動いていないこ
とが多いですね。これでは、外部から見るとブラックボックスです。
 ISO9001を導入することで、システムが整備され、自社の仕事のやり方を外部に示せます。看板としての
効果だけでなく、実態として顧客を安心させる手段となります。


 5 法律に組み込まれてゆく

 工場の品質管理の状況を調べるのは、何もISOの登録審査だけじゃありません。安全や健康に関わる
分野では、行政が検査を行う仕組みになっています。
 このような行政の検査に、ISO9001が:取り入れられています。医療機器のGMPはISO9001をベースにし
たものであり、医薬品GMPもまもなくそうなります。
 国際的には、ISOの認証が、法的な検査に変わる仕組みになっています。CEマークの品質保証体勢の
証明がこの形であり、日本のJIS マークの工場審査もISO9001を使用することになりました。登録制度だけ
でなく、品質管理のベースとしてISO9001が広く使われています。



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