らくらくISO9001講座



口語訳 ISO9001:2008
サービス業用

5章 経営の仕組み
 5.1 経営者の役割
 5.2 顧客に対する考え方
 5.3 品質方針
 5.4 仕事の仕組みを決める
 5.5 組織
 5.6 マネジメントレビュー

青字 は2000年版から変更された部分です    
緑字 はこの口語訳で独自に追加した補足説明です
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作成 2009.05.23

5章 経営の仕組み


5.1 経営者の役割

 経営者の責任
経営者は、以下のことを実行する責任があります。
1)ISO9001に合った会社の仕組みを作る【品質マネジメントシステムの構築】
2)その仕組みを実行する【実施】
3)良い結果が出るように、常に仕組みを見直して改良する
  【有効性の継続的な改善】

 経営者がすること
この責任を果たすために、経営者は特に次のことを行ってください。
a)従業員の全てが顧客との約束を守り法律を守ることを重視する、会社の体質
  (社風)を作る。【重要性を組織内に周知させる】
b)品質方針を決めて、経営の方向を定める。
c)各部門に品質目標を決めさせ、品質方針の実現のために活動させる。
d)マネジメントレビューを行って、定期的に会社の状況を確認する。
e)必要な施設や設備を用意し、必要な人を配置する。【資源の使用】




5.2 顧客に対する考え方

経営者は、顧客と約束した内容【顧客要求事項】をはっきりさせ、確実に守るため
の、会社の体制を作ってください(顧客と約束した内容は7.2.1で整理します)。
これによって、顧客の期待に答えるように、努めてください【顧客満足の向上】。
(顧客の期待に答えたかは8.2.1で調査します)




5.3 品質方針

  経営者は、品質方針を決めてください

  品質方針の内容
a)会社の業種や、規模に、ふさわしい内容とする。
b)仕事(サービス)の品質に関する目標を入れる。【要求事項への適合】
  仕組みを改良することを約束する。【品質マネジメントシステムの有効性の継
  続的な改善】
c)実現しようとする内容が具体的にイメージできるものとする。
  そのことで、品質目標を決め、その活動内容の評価【レビュー】ができるよう
  にする。

  品質方針の管理
d)全従業員に、品質方針の内容を知らせ、理解させる。
  (派遣社員、パートなども含む)
e)品質方針が、市場や会社の実情とずれないように内容を確認する(そのタイミ
  ングを決める)。


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5.4 会社の仕組みを決める(計画)
 
5.4.1 品質目標を決める
 
 品質方針の実現のために、目標(品質目標)を決めてください

1)品質目標は、部門ごと(製造課、営業課など)、あるいは階層ごと(事業所、
  部、課、係など)に決めてください。
  部門や階層の分け方は、品質目標の活動がうまく行くように決めれば良い。
2)仕事(サービス)の品質【製品要求事項の満足】に関する目標がある場合は、
  品質目標に入れてください。(仕事の品質について7.1a)でまとめます)
3)活動中や終了後に進捗状況がわかるように、判定できる目標値を決めてくださ
  い。数値目標とした方が管理しやすいが、これに限らない。
4)品質目標は、品質方針とつじつまが合っており、その実現手段になっているこ
  と。


5.4.2 仕事の仕組みを決める

 ISO9001に合った仕事の仕組みやルールを作ってください。

 a)品質目標を達成し、ISO9001で決めたこと(4.1で総まとめしたこと)が実行できる
   ように、仕組みやルールを作ってください。
この条項に対応して、何か特別な作業が要るわけではありません。会社全体と
して、仕組みを構築し、「品質マニュアル」などの文書を整備することが、必
要だと言っています。

 b)組織、施設、設備、業務形態などの変更があるときは、速やかに仕組みやルール
(責任分担、仕事の手順、これを定めた文書など)を修正して、管理された状態
【インティグリティ】を保ってください。





5.5 組織

5.5.1 責任と権限を決める

それぞれの業務について、責任を持つ部門や人を決めてください。
決定を伴う業務については、誰が承認するのか(決済権限)を決めてください。ま
た、誰が誰に業務を指示することが出来るのか(指揮命令権限)について決めて下
さい。
それぞれの業務の責任権限を、誰が持っているかが、関係者に分かるようにして
ください。


5.5.2 管理責任者

 管理責任者の任命
経営者は、管理責任者を任命してください。
管理責任者は、会社に所属する人で、組織を管理する立場の人【管理層】の中から
選んでください。
 管理責任者は、経営者の仕事の一部を代行する人であり、全部門に対して指示す
 る権限を持ちますから、それなりの地位があって判断できる人という意味です。
管理責任者には、自分の本来の仕事(管理責任者以外の仕事)や役職とは別に、管
理責任者としての責任や権限を持たせてください。
 経営者は,管理責任者が、兼任している業務や、本来の地位(部長であるとか,
 課長であるとか)と関わり無く,会社全体を指揮できるように,責任と権限を与
 えて下さい。

 管理責任者の仕事
管理責任者には、次のような役割りがあります。
a)会社に必要な仕事【品質マネジメントシステムに必要なプロセス】が正しく行
  なわれるように管理する。
  ・そのために、仕組みやルールを決める。【確立】
  ・ルールに沿って実施する【実施】。
  ・状況の変化に合わせて仕組みやルールを改める【維持】。
b)仕事の進み具合と、改めなければいけない点を、経営者に報告する。
c)従業員が、顧客との約束を重視する、会社の体質を作る。

 <補足説明> 
管理責任者は,上の役割に加えて,審査機関や顧客(主に品質保証に関わる問題に
ついて)に対する,組織の窓口となると良いでしょう。


5.5.3 社内の連絡体制

社内で必要な連絡や報告ができるように、仕組みを作ってください。

ここでいう仕組みとは、次のようなものを差しています
 1)会議(定期会議、日常の打合せなど)
 2)通信網・ハードウェア(内線電話、携帯電話、コンピュータネットワーク、
   テレビ会議システムなど)
 3)コンピュータソフトウェア(データベース、物流システムなど)

仕事の結果がうまく行っているか【品質マネジメントシステムの有効性】につい
て、確実に情報の交換をしてください。


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5.6 マネジメントレビュー

5.6.1 マネジメントレビューで実施すること

  経営者は定期的にマネジメントレビューを行ってください

 マネジメントレビューで確かめること
マネジメントレビューで、会社の仕組みについて、以下の点を確かめてください。
1)仕組みが、仕事の内容に合っているか【適切】(その状態が保たれているか)
2)仕組みが、実態と合っているか【妥当】(その状態が保たれているか)
3)仕組みがうまく機能して、思った通りの結果がでているか【有効】

合わせて、次の点についても、確認してください
4)改善しなければならない点はないか
5)品質方針や品質目標を変更する必要がないか
6)その他、仕組みを変更しなければならない点はないか

 マネジメントレビューの記録
マネジメントレビューの結果を、記録として残して下さい(記録を保管する方法に
ついては4.2.4に決めます)。


 5.6.2  マネジメントレビューでの報告事項

 マネジメントレビューでは、以下の点を経営者に報告してください

 a)内部監査・外部監査の結果
ISO9001では、監査を、経営者が会社の状況を把握する手段として重視しています
 b)顧客による評価に関する情報
自社のサービスの市場での評価、顧客満足調査の結果、苦情の発生状況など
 c)仕事の進み具合
品質目標の進み具合や結果
主業務の実施情況、企画の進み具合、改善活動の進み具合 など
   仕事の良し悪し
不良やトラブルの発生状況 など
 d)予防処置・是正処置
予想される問題と実施された予防処置
発生した問題とその是正処置
 e)前回の課題
前回までのマネジメントレビューで指示された課題の進み具合
 f)変わったこと
外部の経営環境の変化(顧客、市場、技術、法律など)
社内の仕組みの変更(仕事の内容の変更、組織、設備など)
 g)改善の提案


5.6.3 マネジメントレビューでの指示事項

 経営者は、マネジメントレビューで次の点を指示してください

 a)仕組みの変更
全体の仕組み【品質マネジメントシステム】や個々の業務【プロセス】の改良の指
示。仕組みが、良い結果に結びつくように改良します。【有効性の改善】
 b)サービスの内容の改良
顧客の要望に答え、顧客との約束を果たすために必要な、仕事(サービス)の内容
の改良についての指示
 c)資源の用意および使用の指示
目標の達成あるいは指示を実行するための、担当者・施設や設備・必要な予算など
の決定



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