らくらくISO9001講座


  
ISO9001
2015年版
【製造業編】

灰字は、JISが用いている用語
緑字は、本文にない、この口語訳独自の補足


9章 仕事の結果の評価
(改訂 2016.02.14)

9.1 仕事の確認、その分析や評価
9.2 内部監査
9.3 マネジメントレビュー



 9.1 仕事の確認、その分析や評価


 9.1.1 確認・分析・評価の方法を決める

   会社は,仕事の進み具合や、仕事のでき映えをチェック(確認)して下さい。【監視及び測定】
   必要な場合には、チェックした結果を分析し、また評価をして下さい。

   次のことを決めて下さい。
a) チェックをする項目
   (これには、9.1.3で決めている項目を参考にして下さい)
b) チェック・分析・評価の方法。
   各々の仕事を適切に進め、適切な結果を得るために、必要なチェック・分析・評価
   が行えるように決めて下さい。
c) チェックを行うタイミング
d) チェックした結果の、分析や評価を行うタイミング

   会社は、これらのチェックを通じて、仕事の成果がでているか【パフォーマンス】、またその
   仕組みがうまく機能しているかを確かめて下さい。【品質マネジメントシステムの有効性】

   会社は,チェック・分析・評価の結果を記録して下さい。この記録を保管して下さい。



 9.1.2 顧客の見解

   会社は、「販売した製品が、顧客のニーズや期待に答えるものだったか」について、顧客
   の見解を調査して下さい。

   会社は、この調査の方法(次の項目)を決めてください。
◆情報を入手する方法 【入手】
◆情報の内容をチェックする方法 【監視】
◆情報の内容を評価する方法 【レビュー】

  <補則説明> 調査方法の例
   これには、顧客に直接聞くだけではなく、間接的な情報をもとに判断することも含みます。
   例えば、次のような調査方法があります
◆顧客満足アンケート
◆苦情などの情報の調査
◆顧客が調べた結果をもらう(受入検査の結果、不良の発生数など)
◆顧客との会議や打合せを通じた情報入手
◆市場シェアの調査と分析
◆顧客から誉められた内容の調査
◆販売後に損害の補償を求められたケースの分析
◆ディーラー(商社、販売店)からの報告



 9.1.3 分析と評価

   会社は、検査や仕事のチェック(仕事の結果、進み具合、製品やサービスの品質、情報
   など)で得たデータを分析してください。
   また、分析の結果を元に、評価をして下さい。
   品質マネジメントシステムを結果に結びつけるために必要な、分析・評価が行えるように、
   実施する項目や方法を決めて下さい。

   このような分析を行う事で、次の項目を判断して下さい。
a) 製品・サービスが、規格や基準に合っているか(検査結果、不適合品の発生状況など)
b) 顧客が満足しているか
c) 仕事の成果【パフォーマンス】が得られているか。
   仕組みがうまく機能しているか【品質マネジメントシステムの有効性】
d) 品質目標やその他の計画が、結果に結びついているか。
e) リスクへの対策が、うまく行ったか。
   機会を生かす活動が、良い結果に結びついたか。
f) 購買品や、外注した製品やサービスの品質(受入検査結果、苦情の発生など)
g) 会社の仕組みの改善が必要か。

  <補足説明>
    データを分析する際に,統計的品質管理の手法を活用すると良いでしょう。





 9.2 内部監査


 9.2.1 内部監査の目的

   会社は,内部監査を実施して下さい。
   内部監査は、定期的に行って下さい。
   内部監査では、次のことを調べて下さい。
a) ルールを守っているか
   1) 会社が決めたルール
   2) ISO9001が定めているルール
b) 仕組みが上手く機能して、良い結果が出ているか。


 
 9.2.2 内部監査の実施

   会社は、内部監査を次のように進めて下さい
a) 内部監査の年間計画を決めて下さい。
   年間計画の中では、次のことを決めて下さい
@ 内部監査の実施回数
A 実施方法
B 責任者
C 個々の内部監査を行う際のルール
D 報告の方法
   年間計画を決める時は、次の点を考慮に入れて下さい
@ 監査する個々の仕事の重要さ
A 仕組みの変更があった部分(影響が大きいもの)
B 今までの内部監査の結果
b) 各監査について、次のことを決めて下さい
@ 監査基準(監査の元になるルール)
A 監査範囲(監査の対象の部門・製品・場所・仕事)
c) 監査は、特定の立場にとらわれず【客観性を確保】、公平に行うこと。
  そのような立場で監査ができる監査員を選ぶこと(監査する仕事に直接関係がない)。
d) 監査の結果を、関連する管理職に報告して下さい。
e) 判明した問題については、速やかに、不適合を正しい状態に直し【修正】
   再発防止対策【是正処置】を行って下さい。
f) 実施した監査の内容(年間計画、実施日、監査の目的、監査基準、監査した範囲、
   出席者、時間など)と監査の結果(指摘事項、監査結論など)を記録してください。
   この記録を保管して下さい。

  <補則説明>
   内部監査の参考書としてISO19011があります。





 9.3 マネジメントレビュー


 9.3.1 マネジメントレビューの実施

   経営者は定期的にマネジメントレビューを行ってください
   ここでは、品質に関わる仕組み【品質マネジメントシステム】が、うまく機能しているかを
   確かめて下さい。
   次のことについて確かめて下さい。
◆実施していることが、仕事の目的に見合っているか 【適切】
◆結果として、製品の品質やその他のルールを守れているか 【妥当】
◆期待通りの結果がでているか 【有効】
◆会社が経営戦略として目指している方向と一致しているか。



 9.3.2 マネジメントレビューでの報告

   マネジメントレビューでは、以下の点を経営者に報告してください
a) 前回までのマネジメントレビューで指示された課題の進み具合
b) 社外の状況および社内の状況の変化(製品の品質や顧客満足に影響するもの)
c) 仕事の結果。
   特に、以下のものは必ず含めて下さい。
   1) 顧客満足に関する情報。その他、苦情、評判、意見などの顧客からの情報。
   2) 品質目標がどこまで達成できたか
   3) 各業務の進捗状況や結果【パフォーマンス】、製品の品質(検査結果など)
   4) 不適合の発生。実施した是正処置.
   5) 検査や仕事のチェックの結果
   6) 内部監査・外部監査の結果
   7) 購買・外注品の品質、購買先・外注先の品質
d) 要員、建物、設備は適切か
e) 「リスクへの対策」「機会を生かすための活動」を実施した結果(リスクは軽減したか、
  機会は行かせたか)
f) 改善の提案



 9.3.3 マネジメントレビューでの指示事項

   経営者は、マネジメントレビューで次の点を指示してください
a) 改善の指示
b) 全体の仕組み【品質マネジメントシステム】や個々の仕事【プロセス】の改良の指示。
   製品の改良の指示。
c) 担当者・建物や設備・必要な予算など【資源】の決定

   マネジメントレビューの結果を記録して下さい。この記録を保管して下さい。



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