0.1 ISO9001の原則
経営戦略として
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ISO9001は経営の考え方について書いてあります。ISO9001を導入するかどうかは、会
社や組織の「経営戦略」として決めるべきです。
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同じ仕組みを求めているのではない
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どのような仕組み【品質マネジメントシステム】を作るかは、会社をとりまく、次
のような状況によって異なるものとなります。
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会社の組織の形(階層、部門の分け方、事業所の数など)
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ISO9001は全ての会社に同じ仕組みで仕事をしてもらおうとか、同じ文書を作っても
らおうとは考えていません。ISO9001が決めるのは、大まかな原則だけで、具体的な
方法は各々の会社や組織で考えてください。
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製品について決めるのではない
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ISO9001は、製品の具体的な基準について決めているのではありません。個々の製品
の基準は決まっているという前提で、それをうまく管理する方法について定めてい
ます。
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用途(使う人)
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ISO9001を使うことによって、会社が、顧客と約束した通りの製品を作る実力があるか,また法令で
定められたことを実施できるか、自らルールを決めて実行してゆく力があるか、が分かります。
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・会社や組織が、自分の実力を評価するために使えます
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・顧客や外部の関係者が、会社や組織の実力を評価するために使えます
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・審査登録機関が、会社や組織の実力を評価するために使えます
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(この項には2008年版で用語の変更がありますが、意味は変わりません
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品質マネジメントシステムの原則(8原則)
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このISO9001は、2000年版を作るの際にまとめられた8項目の原則を考慮して作られ
ています【品質マネジメントシステムの原則】。この8項目の説明は、ISO9000と
ISO9004にあります。
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8項目とは次の通りです(JIS訳文のまま)。
a)顧客重視
b)リーダーシップ
c)人々の参画
d)プロセスアプローチ
e)マネジメントへのシステムアプローチ
f)継続的改善
g)意思決定の事実に基づくアプローチ
h)供給者との互助関係
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0.2 プロセスアプローチ
ISO9001の仕組みを有効に利用するために、「プロセスアプローチ」の考え方を取り入
れることを薦めます。
プロセスとは
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会社や組織の活動は、いくつもの業務【プロセス】が集まって出来ており、この一
つ一つの業務を管理しなければなりません(ここで言っている業務は、個々の作業
を指すことも、ひとかたかたまりの仕事を指すこともあります)。それぞれの業務
について見れば、
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・インプット (部品、原料、中間製品、必要な情報)
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があり、ある業務のアウトプットが、次の工程のインプットになるというように、
業務が繋がってゆきます。
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プロセスアプローチとは
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プロセスアプローチとは次のような方法(考え方)です
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・仕事を区分し、いくつもの業務【プロセス】に分ける
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・それらの業務【プロセス】の繋がり方【相互関係】を理解する
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・これを踏まえて一つ一つの業務【プロセス】を管理する
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・繋がっている業務の全体を一つのシステムとして管理する
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プロセスアプローチの利点
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プロセスアプローチを取り入れて管理すると、日常の業務を進める中で、自然に、
全体の仕事の流れや、各々の業務【プロセス】の間の繋がりが管理できます。
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実施すべき点
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プロセスアプローチの効果を出すためには、以下の点をきちんとやって下さい。
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a)決まっているルールや約束【要求事項】を把握して、その通りに実施する
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b)業務【プロセス】ごとに、この仕事にどのような役割【付加価値】があるかを
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c)各々の業務【プロセス】を着実に行い、良い結果を出す
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d)仕事のやり方を改良する。これは、感覚的に進めるのではなくて、各々の業務
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図1の説明(図は省略)
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図1は、ISO9001に定める経営の仕組み【品質マネジメントシステム】を表現したも
のです。この中では、ISO9001の4章から8章に書いた内容を「プロセスのつながり」
として図示しています。
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この図の左端には「顧客」が大きく書かれています。顧客の要望が、この仕組みの
最初の段階で、大きな意味を持っていることを表しています。図の右端も「顧客」
です。顧客の期待に答えること【顧客満足】がISO9001の目的ですので、それにどの
ぐらい答えられたかを調べなければ、仕組みが回りません。
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ただし、図1に表したのは、大きな全体の仕組みだけです。実際には、この中にた
くさんの小さな業務【プロセス】があり、それぞれについて計画、実行、評価が行
われているのです。
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<補足説明> PDCAの考え方
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今までの品質管理の中で強調されてきたPDCAの考え方(仕事の整理の仕方)は、ISO
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P(Plan)仕事の目標と、実施する方法【プロセス】を決める
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C(Check)仕事の方法【プロセス】と、製品の品質を評価する
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(組織の方針、仕事の目標、製品についての約束が、判断の基準となる)
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A(Act)仕事【プロセス】の結果を良くしてゆくための処置を行う
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0.3 ISO9004について
ISO9004は、ISO9001と合わせて使えるように作られています。この2つを合わせて使
えば、より良い効果が得られます。ただし、片方ずつ使うこともできます。
ISO9001の性格
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ISO9001は、会社や組織の仕事の仕組み【品質マネジメントシステム】を判定す
るための基準です。次の場合の基準として使うことが出来ます
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ISO9001は、顧客との約束を果たす上で、役に立つ仕事の仕組みについて書かれてい
ます。
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ISO9004の性格
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ISO9004は、2008年12月の時点で改訂の作業をしています。
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ISO9004の新しい版は、世の中が激しく複雑に変化する中で、会社が良い成果を出し続けるため
の、手引きであり、経営者に使ってもらうことを想定しています。
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ISO9004は、ISO9001より広く目標を設定した規格です。というのは、ISO9001が顧客の期待に答
えること(顧客の満足)を目指しているに対し、ISO9004はすべての利害関係者(顧客、株主、従業
員、取引先、行政、地域)の期待に答え【ニーズ及び期待】、納得してもらうこと【満足】を目指して
いるからです。
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そのために、実態として成果を挙げ、目標が達成すること【パフォーマンス】が必要です。またそれ
は、計画的な活動に裏付けられたもので、継続できなければいけません。【体系的かつ継続的な
改善】
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ただし、ISO9004は(ISO9001とは異なり)次のような用途で使うことは想定していません。
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0.4 他の経営システムとの組み合わせ
ISO14001との関係
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このISO9001は、ISO14001とを合わせて使う際に、矛盾がないように作っています。
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添付資料Aに、ISO9001とISO14001の条項の対応を、表にしてあります。
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他の経営の仕組みとの組み合わせ
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ISO9001の中では、品質以外の経営の仕組み(環境に関わる仕組み、労働の安全に関
わる仕組み、財務に関わる仕組み、リスクマネジメントなど)について触れていま
せん。
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しかし、実際の会社の活動の中では、品質の仕組みと他の仕組みが組合わせ、一つ
の経営の仕組みとしてまとめて動かします。そこで、ISO9001は他の仕組みと合わせ
やすいように考えて作りました。
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会社がISO9001に従った品質の仕組みを作る際に、既に動いている他の仕組みと共通
する部分があれば、それを利用することも可能です。
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