らくらくISO9001講座

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お荷物ISOのやり直し

(3) メリットが出るISOに


  8 スリム化だけでは意味はない
 ここまではわざと「スリム化」と言う言葉を使っていません。確かに、機能していない文書や記録を削
減しますから、スリム化にはなります。しかし、それは本質ではありません。
 スリム化と言っても、中身のない骨抜きの仕組みにして、審査をすり抜けるテクニックを磨くのでは、
今までのインチキISOと本質的には変わりません。2重システムのままで、ISOによるマイナスの幅を小
さくしただけです。
 そうじゃなくて、余分な仕組みを取り除いた上で、ISOをプラスにしようと言うのです。普段は意識しなく
ても、マネジメントシステムが仕事の中で自然に実行される。ただし、改善に関わるところは、少しがん
ばる。それで成果を出すことを目指しています。


  9 目的を決める
 ISO9001のシステムを構築するにあって、何を重視するかを決めましょう。方針でも、目的でも、スタン
スでもかまいません。
 強化したい点は? 解決すべき課題は? そもそも何をしたいのか?

 ISO9001は、具体的な管理の方法や、管理のレベルを決めていません。
 管理方法や管理レベルを決める根拠は、「会社が何をしたいか」です。それをクリアにしておかないと、
ISOは使いこなせません。だから、仕組みの改造を始めるに当たって、社内で確認し共通認識とします。


  10 本業は自然体で
 契約、受注、製造、サービス提供、出荷といった本業の部分に関して、ISO9001にはほとんど具体的
な要求がありません。たから、本業については、従来のやり方で問題が無いならば、そのまま続けて
行けばよいでしょう。

 もし、お荷物ISOで、余分なことをしているのなら、ISOは気にしなくて良いので、自分達が仕事をしや
すいように変更してください。


  11 本気で改善する部分
 ここまでは、役に立っていない仕組みを止める話しをしてきましたが、ISO9001のメリットを出そうと思
えば、強化したほうが良い部分もあります。

   品質目標、技能訓練、図面管理、購買先管理、データ分析、苦情管理、是正処置

 このあたりは、きちんとできていない組織が多く、ISO9001で強化したいところです。 これらについて
は、ISO9001の形式は忘れて、実態に合った、本当に管理レベルがアップする方法を考えてください。
 実態に合った仕組みを作り、最後にポイントだけ合わせば、ISO9001には対応できます。


  まとめ
 「今は経営に余裕がないから、ISOなんかに手を掛けられない」という経営者がいたら、それはまだ
ISOは“お荷物”という発想から抜け出せていません。経営者がそう思っていると、社員も同じように考
え、ISOと称して無駄な仕事をすることに、疑問を持ちません。
 ISOは、トラブルをなくし、無駄をなくし、従業員の認識を向上させることで、利益につなげるための仕
組みです。景気が悪くて、少しでも無駄を減らしたい、従業員のモチベーションを保ちたい時にこそ必要
です。少し仕事が減って、時間の余裕がある時が、基礎固めのチャンスです。社長さえ本気になれば
(あと、良い推進者を着ければ)、貴社の”お荷物”ISOも、みるみる会社を発展を支えるツールとなりま
す。やってみませんか。



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