らくらくISO9001講座


口語訳的ISOの読み方


第10回 顧客満足の巻  



組織は,品質マネジメントシステムの成果を含む実施状況の測定
の一つとして,顧客要求事項を満たしているかどうかに関して顧客
がどのように受けとめているかについての情報を監視しなければ
ならない。

JIS Q 9001:2008 8.2.1 顧客満足 より)



口語訳ISO9001:2008

8.2.1 顧客による評価
 販売した製品が、顧客の用途に適したものだったか(性能や品質に問題がな
かったか)について、顧客から情報を集めて下さい。
 この調査の結果は、会社の仕組みがうまく行っているかを判断するための情
報の1つです。



 口語訳的ISOの読み方

 8.2.1項の対応として「顧客満足度アンケート」をやっている企業は多いです
ね。審査の時には、「このように顧客に満足頂いています」と集計結果を示しま
す。担当者は「満足という結果が出てるんだから、顧客満足の審査はOKです
ね」と言いたげです。
 
ウ〜ン ISOの審査は、「顧客の情報をフィードバックする仕組み」を審査する
のであって、顧客満足調査の点数を評価する訳じゃないんですけどねえ・・・・。
だいだい、「顧客が満足している」なんて調査結果は、会社にとってあんまり役
に立たないでしょ。それよりも、顧客が満足していない情報の方が貴重です。そ
こから、顧客を失わないように対策が出来るし、新しい製品やサービスのアイ
デアに繋がります。

 「顧客満足」という日本語が、様々な誤解の元になっています。顧客満足は
「customer satisfaction」という言葉の翻訳なのですが、その本来の意味
と、日本語でイメージする「顧客満足」とではずいぶん中身が違います。
 日本語の「満足」は「心の充足」です。だから、みんな8.2.1項では「顧客の心
の中を聞かなければいけない」と思ってます。しかし、心の充足には際限がな
いから、「顧客の期待を越える性能やサービスで、感動を与えるのが本当の顧
客満足だ」なあんて話まで出てきます。
 一方、原文の「satisfaction」は、決められたことを守る(決まりを満足する)
という趣旨です。8.2.1項でも「顧客要求事項を満足しているか」つまり「顧客との
約束が守れたか」を監視するように言ってます。ただし、「顧客の受け止め方」
とありますから、自社の判断でなく、顧客の見解に注目しています。

 したがって、ここで調査するは「自社の製品が、顧客にとって適切なものだっ
たか」です。これは、営業戦略や開発の方向付けを決める重要な情報です。だ
から、形だけの調査ではなく、会社にとって必要な、本当の顧客情報を得られ
るように工夫してください。



中小企業のためのワンポイントアドバイス

顧客情報を集めるには、顧客満足アンケート以外にどんな方法があるの?
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