口語訳的ISOの読み方
8.2.1項の対応として「顧客満足度アンケート」をやっている企業は多いです
ね。審査の時には、「このように顧客に満足頂いています」と集計結果を示しま
す。担当者は「満足という結果が出てるんだから、顧客満足の審査はOKです
ね」と言いたげです。
ウ〜ン ISOの審査は、「顧客の情報をフィードバックする仕組み」を審査する
のであって、顧客満足調査の点数を評価する訳じゃないんですけどねえ・・・・。
だいだい、「顧客が満足している」なんて調査結果は、会社にとってあんまり役
に立たないでしょ。それよりも、顧客が満足していない情報の方が貴重です。そ
こから、顧客を失わないように対策が出来るし、新しい製品やサービスのアイ
デアに繋がります。
「顧客満足」という日本語が、様々な誤解の元になっています。顧客満足は
「customer satisfaction」という言葉の翻訳なのですが、その本来の意味
と、日本語でイメージする「顧客満足」とではずいぶん中身が違います。
日本語の「満足」は「心の充足」です。だから、みんな8.2.1項では「顧客の心
の中を聞かなければいけない」と思ってます。しかし、心の充足には際限がな
いから、「顧客の期待を越える性能やサービスで、感動を与えるのが本当の顧
客満足だ」なあんて話まで出てきます。
一方、原文の「satisfaction」は、決められたことを守る(決まりを満足する)
という趣旨です。8.2.1項でも「顧客要求事項を満足しているか」つまり「顧客との
約束が守れたか」を監視するように言ってます。ただし、「顧客の受け止め方」
とありますから、自社の判断でなく、顧客の見解に注目しています。
したがって、ここで調査するは「自社の製品が、顧客にとって適切なものだっ
たか」です。これは、営業戦略や開発の方向付けを決める重要な情報です。だ
から、形だけの調査ではなく、会社にとって必要な、本当の顧客情報を得られ
るように工夫してください。
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