口語訳的ISOの読み方
さあ、ISO9001の中でも、特に難解な、「プロセスの妥当性確認」です。
今回に取上げた文は、7.5.2項の結論にあたる重要な所なんですが、この文
があることにすら気がついていない人も多いようです。
読んでの通り、「プロセスの妥当性確認」とは「計画どおりの結果を出せる
ことの実証」だといっています。後から検査ができない工程については、仕事
のやり方(製造条件)が正しいことを、証拠を示して説明しなきゃいけないので
す。しかし、多くの会社は、そこまでできていませんね。
医薬品や医療機器の製造では、昔からこの「プロセスの妥当性確認」が法
令で義務付けられていて、これを「バリデーション」と呼んできました。
代表的な例を挙げれば、医療機器には無菌パックに入れられたものがあっ
て、これの殺菌をする工程(滅菌といいます)について、バリデーションが義務
づけられています。なにしろ、悪い菌が死んでいるかどうかは、目で見えない
し、製品ひとつずつを検査することもできません。そこで、あらかじめ滅菌の方
法が正しいことを、実証するわけです。
まず、滅菌条件が適切かどうかを、事前に実際の装置で試験をして確認しま
す。設定した運転条件で、装置内のすべての場所が規定の条件(温度、湿度
など)に達し、試験用の菌が確実に死ぬことを確認します。包装形態や、製品
の積み上げ方も影響するため、実際に製品を入れて確かめます。
でも、これだけでは「実証」としては不完全です。実際の製造で、決めたとお
りに実施されない可能性があるからです。そこで、毎回、温度、時間、滅菌ガス
の圧力などを記録して、正しく実施されたことを実証します。定期的な計器類の
校正も必須です。
こういうのが、プロセスの妥当性確認の典型的な実施方法です。ただし、こ
こでやっていることは、特別なことではありませんよね。
新製品を生産する時に、実際の製造ラインで試作をして、適切な製造条件を
決めるのは、多くの製造業でやっていることです。そして、日常の工程監視もす
るはずです。7.5.2項は、検査が難しい工程について、「実機試作をやって製造
条件を確認すること」そして「その製造条件が守られていることを監視すること」
という、当たり前のことを求めているのです。
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