らくらくISO9001講座


口語訳的ISOの読み方


第9回 プロセスの妥当性確認の巻



      妥当性確認によって、これらのプロセスが
      計画どおりの結果を出せることを実証しなければならない。

JIS Q 9001:2008 7.5.2 製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認 より)



口語訳ISO9001:2008

7.5.2 検査で確認できない工程の管理

 その製造条件で、間違いなく目的の品質の製品ができることを、試験やデー
タに基づいて証明してください。



口語訳的ISOの読み方

 さあ、ISO9001の中でも、特に難解な、「プロセスの妥当性確認」です。

 今回に取上げた文は、7.5.2項の結論にあたる重要な所なんですが、この文
があることにすら気がついていない人も多いようです。

 読んでの通り、「プロセスの妥当性確認」とは「計画どおりの結果を出せる
ことの実証」だといっています。後から検査ができない工程については、仕事
のやり方(製造条件)が正しいことを、証拠を示して説明しなきゃいけないので
す。しかし、多くの会社は、そこまでできていませんね。

 医薬品や医療機器の製造では、昔からこの「プロセスの妥当性確認」が法
令で義務付けられていて、これを「バリデーション」と呼んできました。
 代表的な例を挙げれば、医療機器には無菌パックに入れられたものがあっ
て、これの殺菌をする工程(滅菌といいます)について、バリデーションが義務
づけられています。なにしろ、悪い菌が死んでいるかどうかは、目で見えない
し、製品ひとつずつを検査することもできません。そこで、あらかじめ滅菌の方
法が正しいことを、実証するわけです。

 まず、滅菌条件が適切かどうかを、事前に実際の装置で試験をして確認しま
す。設定した運転条件で、装置内のすべての場所が規定の条件(温度、湿度
など)に達し、試験用の菌が確実に死ぬことを確認します。包装形態や、製品
の積み上げ方も影響するため、実際に製品を入れて確かめます。
  でも、これだけでは「実証」としては不完全です。実際の製造で、決めたとお
りに実施されない可能性があるからです。そこで、毎回、温度、時間、滅菌ガス
の圧力などを記録して、正しく実施されたことを実証します。定期的な計器類の
校正も必須です。
 
 こういうのが、プロセスの妥当性確認の典型的な実施方法です。ただし、こ
こでやっていることは、特別なことではありませんよね。
 
 新製品を生産する時に、実際の製造ラインで試作をして、適切な製造条件を
決めるのは、多くの製造業でやっていることです。そして、日常の工程監視もす
るはずです。7.5.2項は、検査が難しい工程について、「実機試作をやって製造
条件を確認すること」そして「その製造条件が守られていることを監視すること」
という、当たり前のことを求めているのです。



中小企業のためのワンポイントアドバイス

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