らくらくISO9001講座


口語訳的ISOの読み方


第5章 人的資源の巻  



 a) 製品要求事項への適合に影響がある仕事に従事する要員に必要な力量
   を明確にする。
 b) 該当する場合には(必要な力量が不足している場合には),その必要な
   力量に到達することができるように教育・訓練を行うか,又は他の処置を
   とる。
 c) 教育・訓練又は他の処置の有効性を評価する

(JIS Q 9001:2008 6.2.2 能力、教育・訓練及び認識 より)



口語訳ISO9001:2008

6.2.2 必要な人の確保/訓練/認識
 a) 必要な力量の整理
製品の品質に影響する業務のそれぞれについて、必要な力量(テクニッ
ク、経験、知識、資格など)を整理して下さい。
 b) 必要な力量を持つ人の確保
必要な力量を持つ要員を養成するために、訓練を行なって下さい(それ
が可能な場合)。
または、新規採用、人の異動、派遣社員の使用などにより、必要な力量
を持つ人を確保してください。
 c) 力量の確認
要員の訓練をした場合は、必要な力量がついたかどうかを確かめてくだ
さい。また、その他の方法により人を確保した場合は、必要な力量の人
が得られたかどうかを確かめてください。



口語訳的ISOの読み方

 皆さんの会社では、どんな「教育・訓練」をやっていますか。社内のスキルアッ
プ研修。外部の学会や講習会への参加。ISO登録前であればISOのお勉
強・・・・・・。確かに、それぞれ必要なのですが、大切なものが抜けています。

 b)項の「教育・訓練」の原文は「Training」です(Educationは入ってません)。
座学での勉強(教育)ではなく、仕事を覚えさせる「訓練」のイメージです。
 確かに、顧客の視点で見れば、座学もいいけど、まずは不良品を出さないよ
うにしっかり現場で訓練をしてほしいですよね。OJTってヤツです。しかし、OJT
は座学用の記録用紙には書きにくいので、「それはOJTでやってますから、記
録はありません」なんて平気で言う会社も多いですね(不適合だぞ)。

 6.2.2項が言っている「訓練」を実例で説明すると、次のようなイメージです。

 機械で製品を組み立てる現場に、新人の恩田君が入ってきます。彼には、早
く機械の操作方法を覚えてもらわなければいけませんね。これがa)で言う「必
要な力量」(=機械が操作できる)です。そこで、しばらくベテランの中尾さんと
一緒に仕事をさせて、操作を覚えさせます。つまりOJT、b)の「必要な力量が
持てるように訓練」です。
 1ヶ月月ほどしたら、現場に杉本課長がやって来て中尾さんに尋ねます。「恩
田君は、そろそろ1人でできるかな」「ええ、もう大丈夫です。しっかり覚えまし
た」。これがc)の訓練の有効性(結果)の評価。「じゃあ、来週からローテーショ
ンに組み込んでいいよ」と、課長が力量を認定して、6.2.1項の「要員は訓練を
根拠として力量があること」が実現されます。

 どうです。ISOに関係なく、どこの現場でもやっていることですよね。



中小企業のためのワンポイントアドバイス

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