らくらくISO9001講座


ISO9001:2000 サービス業編


8. 仕事の評価と改善活動
 8.1 8章のまとめ
 8.2 仕事の評価
 8.3 不良品・サービスの不良の処理
 8.4 データの分析
 8.5 改善活動

改訂 2004.05.10

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8.仕事の評価と改善活動

8.1 8章のまとめ

会社は、仕事の評価と改善活動を計画的に行うこと。
これによって、次のことを実現する。
a) サービスの品質を証明する
b) 会社の仕組みをISO9001に適合させる
c) 仕事のやり方を続けて改善する。

仕事の評価と改善活動のために、適切な手法(いわゆるQC手法など)があれば使用すること。必要に応じ
て、統計的手法を使うのも良い。



8.2 仕事の評価

8.2.1 顧客満足
会社は、顧客がサービスに納得しているかどうか(注文通りのサービスを受けたと思ってくれているか)を調
査し、その結果を活用すること。これは、ISO9001に基づくシステムがうまく行っているかどうかの指標の一
つとなる。


8.2.2 内部監査
◆内部監査の目的
会社は、定期的に内部監査を行い、品質に関する仕組みがうまく機能していること確かめること。内部監査
では、次の点を調査すること。
a) 会社のルール及び実施計画(7.1で定めるもの)に沿って、仕事をしているか。
b) それが良い結果(サービスの品質、仕事の質)に結びついているか

◆内部監査の計画
会社は、監査の計画を作り、監査の基準(規格・規定・法律など)、範囲(部門・現場)、頻度(部門や現場ご
との実施回数)及び方法(部門毎か現場毎かなど)を決めること。内部監査は、全ての部門や業務を同じレ
ベルで行うのではなく、対象となる部門及び業務の重要性や、今までの監査の結果を考慮して、ウェート付
けを行うこと。
監査の内容や、担当する監査員は、受ける側が有利になるような決め方をしないこと。監査員が、自分の仕
事の監査を担当しないように計画すること(部門は同じでも、現場が違えば良い)。

◆内部監査のルールの文書化
以下のルールについて定め、定めた内容を記した文書【文書化された手順】を作ること。
 ・内部監査の計画の方法   ・内部監査の実施の手順   ・内部監査の結果の報告の方法、
 ・どのような記録を残すか(4.2.4の対象)   ・これらの管理の責任者

◆不適合の是正
内部監査で不適合が発見されたら、監査を受けた部門の責任者は、ただちに、見つかった不適合を修正
し、再発防止の対策(不適合の原因の除去)を行うこと。取られた対策の結果を確認し、内部監査の報告に
含めること(8.5.2是正処置に該当する)。

参考 監査に関わるISO規格(参考)
 JIS Z 9911−1(ISO10011-1)品質システムの監査の指針―第1部:監査
 JIS Z 9911−2(ISO10011-2)品質システムの監査の指針―第2部:品質システム監査員の資格基準
 JIS Z 9911−3(ISO10011-3)品質システムの監査の指針―第3部:監査プログラムの管理 


 なお、2002年10月に、2000年版に対応する監査規格である ISO19011:2002(JIS Q 19011:2003)が
 発行され、ISO10011(JIS Z 9911)は廃止されました。


8.2.3 仕事の監視
会社は、各々の仕事(仕事の単位・プロセス)が予定通りに進むように監視(あるいは監督)すること。監視
の方法は、仕事の進捗具合を管理するために、適切な方法であること。
計画通りに行かない事が判明したら、適切な対策及び是正処置(再発防止)を行うこと。


8.2.4 検査/品質チェック
◆検査・品質チェックの実施
会社は、サービスが計画通りに行われていることを確認するために、可能な場合には、サービスの途中ある
いは終了後に、検査や品質チェックを行うこと。 (これができない場合は、7.5.2で管理すること)
検査や品質チェックは、実施計画(7.1で定めたもの)に従って、適切なタイミングで行うこと。記録には、合
否判定の結果と、判定を承認した人の名前を記すこと(4.2.4の対象)

◆緊急処置
実施計画で、検査や品質チェックの終了後に実施することが定められている作業(または引渡し)は、必ず
その終了の後に行うこと。ただし、事情があって終了前に次の作業に進む場合は、あらかじめ決めておいた
責任者の承認を得ること。また、必要な場合には、顧客の許可も得ること。

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8.3 不良品・サービスの不良の処理

本項のサービス業への適用
本項は、不良品の誤使用・誤出荷の防止に重点を置く項目で、特に製造業において重要な項目である。こ
れは、サービス業で、材料や商品を伴う業種でも同様である。
一方、サービス内容の不良もこの項に沿って整理することが必要である。8章は適用除外が認められてい
ないので、本項は材料や商品を伴わない業種にも適用される。

◆材料や用具の不良品
会社は、不良の【不適合の】材料、用具あるいは中間製品が誤って使用されることがないよう、表示や置き
場の区別を行い、適切に処理すること。
処理は、次のいずれかの方法で行うこと。
a) 手直しして使用する。不具合部分を除去して使用する。
b) そのまま(あるいは若干修理して)使用する。これは、最終の品質に影響しない場合、あるいは許容でき
  る場合であって、あらかじめ決めておいた責任者の許可を得て実施すること。必要な場合には、顧客の
  了解も得ること。【特別採用】
c) 返品または廃棄する

◆商品・アイテムの不良品
不良の商品やアイテム(顧客に渡す品物)が誤って顧客に引渡されることがないよう、表示や置き場の区別
を行い、適切に処理すること。
処理は、次のいずれかの方法で行うこと。
a) 手直しして使用する。不良部分を除去して使用する。低級品や値引き品として使用する【再格付け】。
b) そのままにする。あるいは、完全に直らなくても、若干の修理をすることで許容する。これらの処理を行う
  時には、あらかじめ決めておいた責任者及び(必要に応じ)顧客の許可を得ること。【特別採用】
c) 廃棄する。仕入れ品であれば返品する

◆実施したサービスの不良(引渡しまでに時間があるサービス)
引渡しまでに時間があるサービス(清掃、調査、修理、事務処理、会場準備、飲食物の用意、運送業で運
搬中に不具合が判明した場合など)において、サービスの仕上がりに不良が見つかった場合は、適切に処
理すること。
処理は、次のいずれかの方法で行うこと。
a) 引渡しまでにやり直す
b) そのままにして(あるいは若干の修正を行って)顧客に引渡す。あるいは、納期を変更してやり直す。こ 
  の場合は、あらかじめ決めておいた責任者及び(必要に応じ)顧客の許可を得ること。【特別採用】
c)  サービスを中止する(契約や受注が履行されなかったものとして処理する)

◆実施したサービスの不良(顧客に直接働きかけるサービス)
顧客に直接働きかけるサービス(接客サービス、旅客輸送、イベントの進行、運送業で到着時に不具合が
判明した場合など)を実施した結果、不具合があった場合は、適切に処理すること。
処理は、次のいずれかの方法で行うこと。
a) 可能な場合、顧客の許可を得てやり直す
b) やり直しが不可能な場合、または拒否された場合は、不良のまま終了することについて顧客の了解を
  得る(値下げ等も含む)【特別採用】
c)  サービスを無効とする(契約や受注が履行されなかったものとして処理する)

参考 省略

◆ルールの文書化
以上の不良品やサービスの不良について、処理方法を決める責任者と、管理の方法を定め、定めた内容を
記した文書【文書化された手順】を作ること。

◆記録
不具合(不適合)の状況、及び処理の結果を記録に残すこと(4.2.4の対象)。

◆再確認・再検査
手直しや修理をした場合には、その結果の再確認(時には再検査)を行うこと。

◆後に判明した不良
サービス実施後に材料や商品の不良が判明した場合や、後日にサービス内容の不良が判明した場合(回
復が可能な場合、被害が予想される場合)は、会社は不良による影響に応じて適切な処置を行うこと。

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8.4 データの分析

会社は、仕事の仕組みがうまく行っていることを証明し、または改善のタネを見つけるために、デーの分析を
行うこと。どのようなデータが必要かを決め、データを集め、分析すること。データは、仕事の監視や検査を初
めとする、種々の情報源から得ること。

次の点について、データの分析を行うこと。
a) 顧客満足(3.2.1より得たデータ)
b) 検査結果、不具合の発生、クレーム
c) 統計的方法に基づく業務の分析(不具合発生の予兆を捕らえ、必要に応じ予防処置を実施する)
d) 取引業者の実績



8.5 改善活動

8.5.1 継続的改善
会社は、より良いサービスを実施できるように、仕事のやり方を続けて改善すること。そのために、品質方
針、品質目標、内部監査、外部監査、データの分析、是正処置、予防処置及びマネジメントレビューを活用
すること。

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8.5.2是正処置(再発防止)
会社は、発生した不具合(クレーム、検査不合格、やり直し、納期遅れ、事故、仕事の仕組みの不具合な
ど)が二度と起こらないように、再発防止の対策を行うこと。再発防止のために、不適合を起こした原因をつ
ぶすこと。
なお、ISO9001では「手直し」(8.3に定める)は「是正処置」ではないので注意すること。「是正処置」は、次
の作業や現場で、同じ失敗をしないための対策である。
是正処置にかける労力やコストは、発見された不具合の影響とバランスが取れたものとするもの。

是正処置について、以下のルールを定め、定めた内容を記した文書【文書化された手順】を作ること。
a) 不具合の状況を確認する。(何が不具合なのか)
b) 不具合の原因を調査する。
c) どのような再発防止の対策が適切か(あるいは再発防止を行わないか)を判断する。
d) 処置方法を決めて実施する。
e) 実施した処置を記録する(4.2.4の対象)。
f)  以上の活動が適切に行われたことを確認する。

参考 省略


8.5.3 予防処置(未然防止)
会社は、実際には起こっていないが、起こるかもしれないトラブル(クレーム、検査不合格、やり直し、納期
遅れ、事故など)を防止するために、未然防止の対策を行うこと。未然防止のために、その考えられる原因
をつぶすこと。
予防処置にかける労力やコストは、予想される不具合の影響とバランスが取れたものとするもの。

予防処置について、以下のルールを定め、定めた内容を記した文書【文書化された手順】を作ること。
a) 起こりそうな不具合と、想定される原因を予想する。
b) どのような未然防止の対策が必要か(あるいは未然防止を行わないか)を判断する。
c) 処置方法を決めて実施する。
d) 実施した処置を記録する。(4.2.4の対象)
e) 以上の活動が適切に行われたことを確認する。

参考 省略


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